3 紅茶とはちみつ
「あったかい紅茶でかぜ予防しようかな」
本の虫のにゃっぷるが、7人分のお茶を入れています。
みーにゃんがソワソワとおちつきなくのぞきこみます。パダさんとぽこりんも同じようす。
「しょうがを少々とはちみつをたっぷり」
にゃっぷるの言葉に
「やったー」
と言ったのはみゃうとくうちゃん。2人はめるみのうでにぶらさがって、遊びながら台所へ。
「はちみつしゅき」
くうちゃんは紅茶よりもはちみつのびんに気をとられています。しかしめるみからは、ぜったいはなれません。
そもそもめるみは、みゃうとくうちゃんを相手に遊んでいるわけではなく、たまたま両腕に2人がぶらさがってきただけのこと。
トレーにカップをのせて、にゃっぷるが広い居間の窓際に運んでいくうしろを、みんなぞろぞろとついてきました。
大きな窓のそばにすわり、広い庭をながめながら紅茶を飲みます。しばし、みな無言。と、突然くうちゃんがさわぎだしました。
「あたちも、ぽこりんやめるみみたいに、おんもちたい」
「んー」
みーにゃんが悩ましそうに
「お庭はおうちの周りぐるりにずーっと広がっているのよ。くうちゃんのあとをついて歩いて、くうちゃんがつかれたら背負ってくるの大変だと思うの」
と、言いました。
「めるみが背負ってあげる、くうちゃんのこと」
めるみは言いながら、くうちゃんを背中に背負って玄関をとびだして行きました。みんなあっけにとられて「まあ、待ちましょう」というふぜいです。
その頃門の外ではさばとらねこのとらさんが、すぐ近くに出向いた帰りに、立ち止まって門の中を見ていました。そして一言
「狭い」
と言い、ふっと消えてしまいました。
そうここは外から見ると、とても小さなただの空き地なのです。しかし一歩中に入ると、門の中は広い広い庭に大きなお屋敷があり、ねこやぱんだたちが幸せに暮らしています。
ところで、とらさんはどうしたのでしょう。
とらさんは空間をとびこえて行商をして歩く、SFねこでもあったのです。






