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MOD同好会のお仕事その⑥ 『vs.プールの幽霊?』

 夜の八時頃。

露出狂という名の姉貴がそこらかしこにもっこりと出没してもおかしくない時間帯。俺、紅音さん、柚香サァン、そして新しく加入したハスキーちゃんを含めたMOD同好会の面々は水泳部から依頼されたプールに出現したと噂される幽霊の調査の為に学園のプール前までやって来た。


「あれ? ケンケン、まだそのおもちゃの手錠してたの? よっぽど好きなんだねえ、拘束されるの」


 我らが紅音さんは俺の両手首を使えなくしている手錠をチラ見して、ケロッとした顔をする。ホント、お花畑脳だな、この人。しまいに犯したろか、このガキ、ほんまに。


「ちょっと…半径一キロくらい離れてくれないかしら? それか、全裸になって首輪でも装備して情けない嬌声を上げながらお尻を左右に振ったりとかしてペットみたく振る舞ってくれないかしら? 手錠を装備した常識外れの男と同行なんかしてたら私達の見識が疑われるわ」


 柚香サァンは冷たい瞳で俺を見ながら溜息を吐く。ちょっと尋常じゃなく俺君に対して情け容赦がなさ過ぎやしないですかね、柚香サァン?ていうかそんな必死で僕は只の人間じゃないですアピールしてる方が見識を疑われると思うのですが。


「ところで、葵先生はいらっしゃらないのですか? こういう時って普通何かあったときの為に顧問の先生が同行すると思うのですけれど」


 ハスキーちゃんは怪訝な顔つきで、俺に向かってそう呟く。セクハラ先輩として俺の事を目の敵にしている割にこうやって普通に喋りかけてくるあたり、彼女の心根は真面目で優しくて俺のことをちょっといいカモ…なんて秘かに慕っている典型的なラヴコメのヒロインなのかもしれない。


「あっ! ナニを心の中でニヤニヤしてやがるのですかこの虫●マニア先輩! お前のケツの処女をゲジゲジで奪ってやるですよ!! さっさと私の質問に答えて、ちん●を差し出すのです!」


 俺の心の中の感情を読めるハスキーちゃんは悟りを開いた真祖か何かかな?ていうか、最近彼女とか周りの女子に罵られるのが当たり前になり過ぎて、ちょっと快感になりかけているのは変態の兆候なのかもしれない。誰だ、お前は既に変態だろとか言った男子は。ちょっと、四つん這いになってこっちに来なさい。

 

「ああ、あの人、怖いものを見ると身体中に蕁麻疹が群生して失禁しちゃう乙女な体質だから。怖いのヤダーとか言って地団駄踏んで、くだまいて一目散に逃げちゃったよ」

「最低ですかその先生!? それでも教職に就く大人のやる行為ですか!?」

「ていうのは建前で本音はちょうどこの時間帯にトレンディドラマが観たいから後はお前ら勝手にヨロシク的な」

「本音も最悪です! ていうか、酷い建前で酷い本音を隠しても意味無いと思うのですけれど!」


 ハスキーちゃんは訳が分からないといった表情で俺にそう声を荒げる。まあ、確かに教師としてどうなの実はあの人教師と見せかけた幼稚園児なんじゃないのって感じは否め無いが、何か問題があった時は全力で身体で責任を取ってくれるだろう。倫はそういう奴である。……身体で責任とか言ったが、精々全裸土下座だろう。


「まあ、いいじゃない。幽霊じゃなくて違う意味で危ない奴が登場したらその時はそいつと健児を撲●して桜の木の下に埋めてやれば済むことだし」

「あの、柚香サァン? 全力笑顔で怖いことさらりと言うの止めてもらえませんかね? そして、何故か何の罪もない俺氏も巻き添えですか?」

「安心しなさい、掘り返して今度は完全に息の根を止めてあげるわ」


 え?

安心する要素が何処に?


「さー、さー! ゆずゆずも悪質な冗談はそれくらいにしてプールサイドに入るよ……け、ケンケン、先頭は託し!」

「健児、変な気を起こしたらあんたの汚くて黒くて臭い雑草をもぎ取るわよ」

「虫●マニア先輩、とっととプールサイドに入って幽霊に水の中に引き込まれてゴールインするが良いです」


 俺は不自然にハムスターのように震える紅音さんに背中を押され、柚香サァンとハスキーちゃんに罵倒を浴びせられながらプールサイドに入っていく。俺くん、まだ何にもエロい事してないのに何でこんなに罵倒されてるの?もう、お家に帰って安らかな天使のような顔でオ●ニーしても良いですか?今日の女子に罵倒されてるのを思い浮かべながらな!あかん、それ俺くん只の自虐的な変態や。


「ちょっ、ちょちょちょ……ちょっと、紅音さん! 押さないでどどぅわぁ!?」


 ザッヴァァァァン!


 紅音さんがグイグイと俺の背中を押すものだから案の定、プールサイドで足を引っ掛けた俺はそのまま死に往く匍匐前進兵のような体勢でプールにダイブしてしまう。ヒャァァァン!なにこれうそやだ冷てえ!ヌルヌルする!気持ちわりぃ!薄い絵本に高確率で登場する触手マンに埋もれてるみたいですう……当然だが、ヌルヌルしないし触手なんてものはない。あったら、ちょっと興奮しただろなとかそんな感じである。


「なーにをベっタベタなネタをやっているのかね、ケンケン。そんなんじゃ、芸人失格だがね!」

「……。虫●マニア先輩、マイナス一億ポイント。全然面白くないです。そのまま溺死して下さい」

「健児、そういうのは透け透けビキニ女子がやってはじめてウケるのよ。アンタがやっても誰も得しないわね、間違ってホモに掘られて悶え死になさい」


 う、ウケ狙いでやっとらんわいや!!

ていうか、今日の皆さん一段と酷すぎないですか!?特に紅音さんはね!アンタが押たんでしょうが!あれか、水泳部の部長さんを見ておっきくなったのがいけなかったのか!?ちくせう!いつも、精神的にも肉体的にもいぢられる俺であるが、あまりにも理不尽な扱いに堪忍袋の緒が切れちゃったぞ!思いの丈をこのメス共にぶちまけてやらないと気が済まない!そして、うっすい絵本に登場するエロイン(※)みたく思いきりめちゃくちゃにしてやるんだ……心の中でな!


「え、ええ加減に聖闘●星矢! あんまり舐めてると犯したるで!」


 プゥッ


 いや、今のは俺の放屁ではない。

水中で何の気なしに腕を動かした瞬間、左腕の肘に何か柔らかいマシュマロのようなものが当たった。ん?水中に全裸のパツキンネーチャンが俺を今か今かと待ち構えているのか?肘が当たった柔らかい物体の方へと目をやる。


「も、もう~……槌ちゃんはえっちな娘です! 桃の胸を触るなん……て、えっ?」

「…………えっ?」


 本当に全裸の女子が俺を今か今かと待ち構えていたでござるの巻。


「……ぎっ、ぎぃ! ぎゃああああああ!! うぎゃああああああ!」

「キャアアアアアア! ウキャアアアアアアン!!」


 全裸の女子が悲鳴を上げると、俺も呼応するようにエテ公のように悲鳴を上げてしまう。えっ、えっ、えっ!?な、ナニコレ!何なんすかこれ!た、確かに心の中ではきょぬーのネーチャンが全裸水泳してたら俺の夜の部活動も捗りますねとか思ってたけれど!いや、目の前の全裸女子はどちらかというとペッタンこ幼女ですね、って冷静に分析している場合ではない!


「なんですか、なんですかっ、なんなのですかあなたは!」

「い、いやっ、おれ、おれっ、俺くんはっ! 松阪健児くんですっ!」


 な、なんでこの状況で自己紹介しているんだ俺は?


「へ、変態ですううう!! この人、変態ですううう!!」

「へ、へっへへへ変態はお前だろ! な、何で、裸で泳いでんだ!」

「ナニを言ってるのよ健児、先刻あんたハッキリと言ってたじゃない。『舐めて犯したるで!』って」

「な、なんか微妙に台詞が変わっていませんかね!? そ、それは、ちが……」

「ヒェッ……! や、やっぱり! も、桃の柔肌を狙う変態さんじゃないですか!」

「違う! お、俺は……『お菓子を買ったるで!』って言っただけです……はい……」

「な、何で徐々に声のトーンがさがるのですか! 無理がありすぎですぅ! ま、まさか……『危ないお菓子を喰らわせる』とかそういう!」


 危ないお菓子ってナニ!?

食べると口の中で弾ける綿飴のことか?


「も、桃、桃じゃないですか! ど、とうして、桃がこんなところに」

「あっ、た、助けてください蓮ちゃん! 変な手錠をつけた護送中の変態さんに汚されそうになってるです!」

「ご、護送中じゃねえ!! しかし、ご馳走さまでした」

「ぎゃあああ! やっぱり、変態さんじゃないですか! あっちいけです!」


 し、しまった、つ、つい……。


「ちゅ、虫●マニア先輩! 生まれたままの姿で恥さらしの桃を今すぐ開放するのです!」

「は、恥さらし……も、桃は恥などさらしてません!」


「というわけで、ケンケン! お前をわいせつ物公然陳列罪でタイーホするっ!!」


 がっちん!


 エッッ!?

まさかの本日二度目のタイーホですか!?ていうか、どちらかというと目の前の女子の方がわいせつ物をさらしに晒していると思うのですが!そんな心の叫びが響くわけもなく俺氏は紅音さんに問答無用でしょっぴかれるのであった。

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