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MOD同好会のお仕事その④ 『VS.水泳部』

放課後。

クスリをキメた中毒患者のように瞳をギラギラさせたエキサイト気味の紅音さんに連れられて、俺と柚香サァンは水泳部の連中が活動する学園の屋内プールにやって来た。鬼頭相武学園は私立であるので、成果を出して頑張っちゃってる部活にはこういう立派で厳かな施設を作ってあげているのだ。ちぃ、屋内プールもいいが、さっさとあのチワワも尻尾振って逃げ出すクッソ不味い学食を作る妖怪おやぢを解雇してどこぞのホテルから一流シェフでも呼べばいいのに。


そして、話が少し逸れたが水泳部だ。

水泳部というと確か以前お手伝いという名の奉仕をうちから志願したが、断られたという経緯があったな。それなのに今の今になってこうもタイミングよく応援要請の依頼が来るとは……水泳部の連中はハゲちゃびんの学園長に何か弱みでも握られているのだろうか。例えば、水泳部の盗撮写真を脅しの材料に使われて為す術もなく仕方なく電波同好会の依頼と己の身体を差し出すとか。

…………。

よくよく考えてみるとあの清々しいハゲが水泳部を脅してまで電波同好会を支援する理由は無いな。女子の身体目的ならありえそうだが……ははは、三流ポルノビデオ見過ぎだな。


「悪いね、東条さん。この間は断ったのにこうも都合よく頼るみたいな形になっちゃって」

「いいってことだよん高橋さん! 同期のよしみじゃないか。それに、うちの同好会の活性化にも繋がるしね!」


紅音さんはプールサイドで練習中の水泳部の連中を見守るぶっちょーさんの高橋先輩に向かって、陽気に笑いながら応対している。練習中と言う事は水泳部の皆様はスク水着という名の半裸状態な訳で。しかも、しかもですよ?見たところ、男根生徒はいない、つまり!二つの武器という名のおぱーいを装備した方々が、キャピキャピとそこいらでぶるんぶるんっ揺らしながら練習しているのだぜ?この場に伊藤がいないのが至極残念だが……ヤバい、俺のリアルトカレフが今にも火を噴きそうだぜ。


「あんたナニ、前屈みになりながら喜んでんのよ。高橋先輩! こいつ、高橋先輩や水泳部員のスクミズ姿で勃起してますよ!! ほらっ、おっきくなってます!」

「ちょっ、ちょぉっ!? ゆ、柚香サァぁン!?」


中腰状態の俺の情けない姿を隣で一部始終観察していた柚香サァンは俺のおいなりマンに指差しながら、傍で話し込んでいる高橋先輩と紅音さんに向かって声を張り上げる。しっしまったあ!男根生徒の生理現象を恥ずかしげもなく堂々と平気な顔してカミングアウトする悪鬼が此処におるの忘れとったでえ!


「……東条さん。ここ、男子禁制なんだけどな」

「たはは……ごめんね高橋さん、一応この子もうちのメンバーだからさ。こらケンケン! 女子のはしたない恰好を視姦して、そこをヴィンヴィンさせたらだめだゾ! メッッ!!」

「え、えぇ……? は、はしたない恰好って……東条さん、それもどうかと」


紅音さんも柚香サァンと同じく、俺のおいなりマンを思い切り指差して、俺を物心ついていない赤ん坊のようにしかりつける。高橋さんはその隣で微妙な顔して、紅音さんを見つめている。ふ、二人して俺の股間を指差して俺を否定しおって!何か俺の勲章についてダメ出し喰らってるみたいで滅茶苦茶屈辱的だ!


「ご、誤解です! 視姦なんかしてない! ヴィンヴィンしてない!」

「嘘おっしゃい。あんた、『えーぶい男優に無理矢理に不自然にたくし上げられたようなスク水の股の喰い込みがたまらんですたい、ぐふふふ』とか『そしてその股の食い込みから偶にでて毛を指摘してヤリタイよね。羞恥心に満ちた女子の顔を観察するのが実に堪らんのだよ、うひひひ』とか嬉々として言ってたじゃない」

「うっそでしょオイ! よくそんな真顔で口からベラベラベラベラ……次から次へと出まかせを言えますねあんた! も、もしかして、貴方は口から先に生まれた悪魔の生まれ変わりですか柚香サァン!?」


俺と柚香サァンのやり取りを見ていた高橋先輩は自分の身体を両腕で抱えるように隠し、俺との距離を取りながらジト目で俺を睨んでいる。ヒィ!もうドン引かれてるYO!


「えっと、あなた……確か『松阪イン●くん』だったっけ? その股の付け根についてるオゾ松なものを切り落として女の子になってから出直してくれるかな?」

「初対面の人間に対してすごいこと言いますねあんた! しかも俺の名前、真ん中の『ん』しか合ってねえし!」


高橋先輩は口を押えて、俺の顔と下半身をチラチラと交互に観察している。

こ、この人も紅音さんに負けず劣らず重ね重ね失礼な人だなおい!やっぱり、紅音さんに知り合いにはまともなヒューマンがいないのかあ!?……あ、その理論で行くと柚香サァンは兎も角、俺もまともじゃないよって結論になるぞ。


「仕方ないよケンケン。この場の長は水泳部部長の高橋さんだからさ。高橋さんのご命令は絶対なのだよ。だから、睾丸を切除して女の子になろ? ……ネッ?」

「……ネッ? じゃねーよ!! そ、そんなこと出来るわけないでしょ! あ、あんたら絶対に頭がイッチャッてるYO!!」


紅音さんは紅音さんで、口角を上げて両手指でカニさんのようにチョキを動かしながら俺にそう言う。わ、分かってて俺をおちょっくとるなこの幼女。ふざけんな、ふざけんな!よし、こうなったら……脳内でお前を滅茶苦茶にしちゃる!心の中で目の前の悪ふざけを嚙ます幼女を言葉では表せないような行為をしている光景を思い浮かべていると、俺のお坊ちゃマンはいつの間にかグングンと起立していた。……やだ、身体はとっても中学生。


「そこでいつまでも中腰になってる無能くんは放置しておいて、高橋先輩、うちの同好会に応援要請って一体何なんですか? 頼ってくれるのは嬉しいですけれど……正直、うちにできる事って無いと思うんですけど」


柚香サァンは腕を組んで神妙な顔して、高橋先輩に尋ねている。

む、無能言うな!?しかし、柚香サァンが言う事もごもっともであるように思える。ナニしてるかよう分からん部及び同好会なら兎も角、水泳部は当然大会優勝を目標に抱えたうちの学園では比較的支援されている部である。そんな部がうちのカス汁のカスのような同好会に頼るのは何かオカシイ。水泳に関してドがつく程の素人のうちに助っ人として呼ぶのは何だか違和感があり過ぎる。まあ、一歩譲ってあえて言うならば柚香サァンは運動神経良いし頼るのは分からんでもないが……前に其れを本人に言ったら、『だ、誰が床がうまいって!? ぶぶぶぶっ殺すわよ!?』とか言って魔物のような顔でぶん殴られた経緯があるが。絶対、柚香サァンは脳に何かしらの障害があると思いまーす。


「ああ、いやいや、そんな大層な事じゃないんだけれどね。あのね、うちのプールに幽霊が出たって噂が部員の間で立っちゃってさ。その噂の真偽を確かめて欲しいの」

「あ、え……ま、まさかまさかのオカルト系ですか。お、お姉さん、できればそういの怖いのはちょっとご勘弁願いたいんだけどなー……」


紅音さんは高橋先輩のお困りごとに若干、足をすくませる。

そうか、確かこの人、怪奇!とか心霊!とかそういうキーワードを口にするとションベンをダダ漏らす系統の人だったな。どんな系統何だって言う……まあ、それは言い過ぎかもしれないが。


「贅沢言ってる場合じゃないわよ紅音さん。で、高橋先輩、目撃したのって何時くらいの話ですか?」

「ああ、えっと、うちは結構練習に力入れててね。大会前は結構の時間まで練習する時があるから。部員が着替え終わって帰る頃だから八時頃かな? パシャパシャ……って、水音がしたからプールを覗いてみると二つの黒い影が……いつの間にかシュンッって消えたそうだよ」

「随分と出勤の早い幽霊ですね。私の予想ですけれどそれって、幽霊という名のただの変質者じゃないですか? 女子水泳部員の汗やら体液を吸い取ったプールの水をがぶ飲みしてる変態じゃないんですか? 『うっひゃあああ! 少女のダシが効いた生水だぁああああ……がぶがぶがびゅ、ずりゅずりゅっずるずる……た、たまんねえええええええ』とか日頃から言ってる健児なんじゃないですか?」

「た、小鳥遊さん……あの、そういうドン引きするようなたとえ話をするのは止めてくれないかな? あと、イ●ポくん……君は普段から女子にそんなお下劣な事を言ってるのか?」

「ケンケンっ! お前をタイーッホする!!」

ガッチン!

「ちちちち違いますっ!! 濡れ衣です!! それは柚香サァンの上の口から飛び出した出まかせで……って、うわぁあああ、どっから出したこの手錠! うわああああああ!!」


な、何だこれ!?いつの間にか紅音さんの手によって俺の両手首は鉄の輪で拘束されていた!くっそ、俺は両手首に装着された手錠を必死に左右揺らすがビクともしない。あ、な、ナニをパ二くってるんだ俺は……鍵が無いと取り外せるわけないじゃないか。


「兎も角だ。部長としてこの不穏な噂は見過ごせないんだ。例え、それが超常現象だとしても、心霊現象だとしてもね。それに小鳥遊さんが言う様に、もし本当に変質者がプールに忍び込んで居たら警察沙汰にもなるからね。調査と解決をお願いしたいんだ。こんなこと、なかなか顧問や他の教師にはお願いできないしね」

「任せて下さい、MOD同好会として必ずや良い結果を報告しますよ……紅音さんと無能くんが」

「にゃああああああ! ゆ、ゆずゆずの裏切り者ぉおおお!!」

「ぬぁああああああ! か、鍵はどこじゃあああああああ!!」


──一時間後。


「成程。『つるペタしこしこ同好会』『ホスト同好会』『水泳部』……その内、『水泳部』の依頼に関しは今夜、調査・決行とのことだな。いやはや、中々に活発化してるじゃないか」


職員室にて。

とりあえず、ロリ顧問もとい倫の課題期限が今日までなので紅音さん、俺、柚香サァンの三人は倫が普段生息している職員室までやって来て現状を報告する。ていうか、現状も何ももう時間もクソも無いけれどね!俺君のお財布の中身も無いけれど!


「こう、並べてみるとロクなのないな……外から見たら一見、水泳部は真面そうだが、部長がアレだからな」

「アレ……とはなんだ? ところで、松阪。お前らが職員室に入って来てから気になっていたのだが、お前のその手首についてる手錠は何だ?」


倫は怪訝な顔して、俺の装備している鉄の輪に指差して、訪ねてくる。


「俺の趣味だ」

「何だ東条、小鳥遊? こいつは気が狂ってるのか?」

「葵先生、私たちよりも先生の方が健児の事はご存じでしょ?」

「そうだねー、センセはケンケンを知らない仲じゃないでしょ?」

「東条、そういう誤解を招く言い方はよせ。……ま、生徒の悪趣味に口出すつもりはないが」


倫、紅音さん、紅音さんの三人は俺から距離を取り、遠巻きで生暖かい目で見守っている。あれ?何で三人揃って俺に対してそんなゲスな視線を送っているのですかね。しかも元凶の紅音さんまで。手錠の鍵を牧場の馬のエサに混ぜて喰わせてしまったとかワケの分からないこと言って、てへぺろってたの貴方ですよね。俺君、そろそろ人間不信になっちゃうよぉ。


「でもあれだな。結局、新入会員は見つからなかったな……はあ、俺いったいどうなっちゃうんだろ」

「ああ。そうだったな……残念ながら松阪、お前は社会的に死ぬ」


何でだよ!オカシくない!?その俺だけがまったく得しない強制イベント!?


「というのは冗談だとしてだ。何と、喜べ! こんな奇想天外で摩訶不思議な同好会に是非とも入会したいという変人が現れたぞ!」

「えっ……ほ、本当ですか!? い、いったい誰ですか……こんな支離滅裂で不届き千万な同好会に入会したいという宇宙人は!?」


倫は鼻の穴を大きくして、俺達に発表する。それに対して柚香サァンは目を丸くして、倫に尋ねる。こ、コイツら、当事者のくせして我関せずみたいな顔してよくそんなボロクソに言えるな。俺の隣で赤ん坊のようにキャッキャして笑っている紅音さんも色々と可笑しいと思うが。


「まあまあ、そう慌てるな。実はお前らが来るとだろうなと思って既に此処に呼んでいる。そろそろ、来るはずだが……」


倫は自分の腕時計と職員室の扉を交互にチラチラと見ている。

し、しかし、倫や柚香サァンじゃないがいったいどんな人なのだろう。言い方が悪いが、えむなんたらかんたら同好会は正直言って、最初に進んで入るような同好会とは到底思えない。どうしても所属したい部活が無くて、帰宅部は嫌だからと余り物の饅頭を手に着けるような気分で選ぶ同好会だと思う……あ、俺もか。それも時期的に中途半端な時期だし。それは兎も角、ど、どんな奇抜な奴なんだろう。色々と考えていると突然職員室のドアが高速でひとりでに横に開いた。おっ、来た……な?


「失礼します! 今日からお世話になります一年B組に所属する『一之瀬蓮希』です! よろしくお願いします!」


職員室に入ってきた小さく全体的にいろんなところがこじんまりとした女子生徒は斜め四十五度で丁寧にお辞儀し、俺達に向かってそう声を上げた。う、うっそーん。 

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