ボッキークエストの報酬はJKの脱ぎたての制服でございます勇者様!……みたいな?
いてて……あー、頭がマサイ族に槍で思い切り突かれたみたいにズキンズキンするぞ。
お、俺は、ここは一体……起き抜けにあたりを見渡す。あれ、俺の部屋?カーテンとカーテンの隙間からお天道様の恵が差し込む。あ、いつの間にか朝だぜ。寝落ちしてしまったのか?い、いや、待てそうじゃない。確か……そうだ、思い出したぞ。昨夜柚香サァンから放たれたブラジリアンキックが脳天にモロに直撃したんだ。其れで気絶して、寝室に直葬(誤字)……ってそのまま放置プレイですか。な、何て薄情な女だ。しかし、そのおかげもあってか今日はけったいな夢を見ることは無かったな。俺は寝ぼけ脳をいい加減冷まそうと左の手のひらを敷布団に置く。
ぽにょんっ。
ン、なんだ?
今の崖の下から生まれてきそうな擬音と感触は。俺は掌で掴んだ柔らかい物体に目をやる。
「むにゃむにゃ、ケン……」
んっ、ん~~……?
ごしごしっ。俺は目を擦り、もう一度じっくりと件の低反発物体に注目する。
「お姉ちゃんは繊細なイキ者なんだぞ~……もっと、丁重に厳重に優しく扱ってくれなきゃ……ナメル。むにゃむにゃ」
ごしごしっ、しこしこっ、ごしごしっ。
お……な、何度見ても俺の隣にはショートへアーの色白美人なお姉さんしかいない、ぞ。一瞬、またあのクソが詰まった便器煩悩姉貴寝込みを襲ってきたのかよクソボケちんカスだだだっ大しゅきぃでしゅうとか思っていたのだが、ここにいるのは別人である。別人というか、凪咲さんであった!な、何故、この方がここに……。髪が寝癖で乱れ、口の端からタラタラと涎を流している美人の姿に俺はモーニングボッキーした。いかんエキサイトおっきしている場合ではない。兎にも角にもここは現状把握すべきである。俺は夢の世界に旅立っている凪咲さんの肩をゆっさゆさと揺らす。
「おーい、ちょっと、凪咲さん、起きてくだしゃい」
「ん、ん~、もちょっと、ちょびっと寝かせろよ~……あー、何か酸っぱい臭いとイカみたいな臭いがして気分わるーい……」
俺が肩を揺らすと、顔をしかめて鼻をつまむ凪咲さん。
「うわぉおおおん! やめてあげてっ、やめたげてよぉ、そういう微妙に傷つく台詞をサラッと吐くのやめてぇ!! ていうか、あんたもう起きてんでしょ! 早く起きて下さいよ凪咲さん!!」
「あーうー、もー。うるさい……な、って、あー……ケンじゃん。おっはよー……」
凪咲さんは俺がさらに前後に肩を揺らすと眠そうな眼を擦り、上半身だけを起こす。
上半身だけ起こしたものだから掛け布団がペロンと捲れ上がる。そして、俺が最初に視界に入ってきたのはミロのヴィーナスの如く白くそしてもちもちした肌に、上半身を起こした反動で上下に揺れる二つのおいしそうな白桃。
「ちょああああっ!! な、何でアンタは裸族になってるんだぁ!!」
「ん? 裸なのは私だけじゃなくてケンもだよ? あー、ビーチクがヴィンヴィンに勃ってるー、かーわいいんだ」
「えっ、おっ、うっそ、やぁあああん! いつの間にかワテクシも裸じゃない! は、恥ずかしっ……!!」
「んふふふ、昨夜はお姉ちゃんがたっぷり可愛がってあげたんだよケン? 寝ているケン、とっても悦んでたなぁ……」
「ひゃああああっ、そしてまさかまさかの睡眠姦!?」
俺は頭を抱え、ハ・ジ・メ・テの行為に恥ずかしさを覚える初心な女子のように布団に顔を埋める。ま、まさか、こ、こんな知らない間にチェリーボーイを脱却してしまうなんて!俺は寝ている間にえーぶいのような変態行為をされていたのか!ワタクシの身体は重油で汚染された水面のよう。伊藤、ごめんようごめんよう。俺は心の中で謝罪を反芻する。そして、申し訳ないキモチとは裏腹に俺のマジカルスティックはお行儀よく、ぐんぐんと起立していた。やだ……先生、とってもマジカルです。
「ってうそうそ、ジョーダンだよ。お姉ちゃんである私がケンにそんな酷いことするわけないじゃん。いくら私でもそーいうのはケンにちゃんと宣戦布告してからするよ」
「お、おっふ……そ、そうっすか。良かったあ、良かったよぉ、良かったんだよぉ……」
「にへへー、めんごめんご」
俺が胸を撫で下ろすと目の前にいる凪咲さんは頭を掻きながらはにかむ。何か今軽くとんでもない事を言われたような気がするが気のせいだろう。危うくその堕天使のような笑顔に理性が崩壊しそうになったがグッと我慢する。凪咲さんは行為自体は無かったと言ったが、何故凪咲さんが全裸なのか、何故俺がパンツ一丁になっているのか、そして何故俺と凪咲さんが同じ床に就いているのか……色々と疑問は尽きない。ほっ本当に、何にもなかったんだよ……ね?
「ぎゃああああああ、けけけけケンくぅんがっ、ケンくぅうううんが、ケンくぅうううんが! ぎゃああああああ! よーごーさーれーたああああああ!!」
凪咲さんの言葉をいまいち信じ切れずに疑心暗鬼になっていると、突然森のクマさんのような咆哮が俺の部屋に響く。咆哮の発信源に向かって首だけ動かすと、部屋の入り口にジャージ姿の姉貴が立っていた。クソ姉貴はマナーモードみたくプルプル震え、俺と凪咲さんを交互に指差して思いっきり狼狽えていた。ちっ……またややこしい妖怪が出てきたな。状況が状況だし、適当に激マズうん●とか言って、追っ払ってしまうとするか。俺が口を開こうとすると凪咲さんが俺を手で制す。んっ、んっ、ん~~?この手は何ですの。
「あぁー! でたなー、偽物めっ!! 私のケンに近付かないでよ!!」
凪咲さんはお返しとばかりに姉貴に指差し、声を荒げる。
え、えぇ……な、何でこの方、この状況下でいきなり横恋慕情婦みたいな台詞吐いてんの。ややこしい輩にそんな台詞は泥沼必至ですやん……やん。
「に。偽物っ!? なっ凪咲ちゃん! 私が偽物ってそれどどどどっどういうことですか!?」
「言葉の通りだよ! 夢……貴方にケンのお姉ちゃんである資格はありません! 今日から私がケンのお姉ちゃんです!!」
凪咲さんは俺を抱き寄せ、声高らかにおっぱい姉貴に向かってそうおっぱい宣言するおっぱい。
て、展開がおっぱい過ぎて俺の頭ではとてもおっぱいついていけんおっぱい。そして、おっぱい凪咲さんが俺を抱き寄せたおっぱい行為でおっぱいのもにょもにょとした感触が俺の頬にモロにおっぱい押し寄せてくるおっぱい。だ、だめだ、俺の心の中はおっぱいでおっぱいです。
「ぎぁああああっ! やめてやめてやめてやめてええええええ!! 私のケンくんにそんな汚らしいパイ乙を押し付けないでぇ! に、妊娠しちゃう!! ケンくんが妊娠しちゃう!! ケンくんが凪咲ちゃんの子を身籠っちゃうよぉ!! 取り返しがつかないことになっちゃうよぉ!」
姉貴は泣きながらすぐさま俺と凪咲さんを引き剥がそうとする。
な、何言ってんだこのクソ姉貴……クスリでラリッってんのか、どうか正気に戻ってください。デフォルトが正気じゃないから正気に戻れって言うのは酷な話か。
「いたいっ、いたいよ、夢! 髪を引っ張らないで!! 夢みたいな売女はスラム街で黒人にア●ルフ●ックされちゃえばいいんだ!!」
「キッ、キィイイイ! な、何て酷いことを言うの凪咲ちゃん! ケンくんのお姉ちゃんは私だけなのよ! ケンくんの汗も、涙も、血も、唾液も、聖水も、愛液も……ぜんぶ、ぜんぶ、ぜーんぶ、お姉ちゃんであるわたぢだけのものなのにぃいい! ひーどーいーよーうぇえええええん!」
姉貴は思いの丈をぶち撒け、赤子のように咽び泣く。
ひ、酷いのはお前の頭と言動だよ。俺の目の前で、俺のマイベットで、姉貴と凪咲さんのプロレスごっこの鐘が鳴る。な、何ですかこの修羅BAR的な展開。終いに俺が泣きたくなってきますわ。俺はもう深く考えるのを止めにした。
「きもいっ、とってもきもいよ夢! 何でそういう液体系しか愛でられないのカナ!? もっと、ケンにもいいところあるでしょ! 乳首とか、ビーチクとか、乳頭とか……乳首……いっぱい、ケンにもいっぱい魅力があるんだから!!」
どうでもいいけれど、何で乳首推しなんですかね。
「えぇええん、えぇえええん、う゛ぇええええ! ひどいぃ、ひどいよぉおおお、なぎさちゃ、おろろろろ~~~~!!」
げーろげーろげー
「ぎゃああああああっ、ゲロの濁流が俺の顔にぃいいいい、い、いきなり吐くんじゃねぇええええええ!!」
──リビング──
俺は風呂場でクソ姉貴の吐瀉物を洗い流し、タオルで顔を拭きながらリビングに入った。俺の顔面にゲロを顔射した姉貴は罰として布団で包んで縄でグルグルに縛ってベッドの上に放置しておいた。縛っている最中に『あ……後でお楽しみってことね。お姉ちゃん、待ってるから』とか気が狂いそうな台詞を吐かれたがガン無視した。くっそ、まだ顔面にゲロの感触が残って気持ち悪いぜ。何の因果で気持ちの良い朝に気持ちの悪い液体をぶっ掛けられなきゃならんのだ。男のぶっかけとか誰得だよ。液体をぶっ掛けるのは美少女もとい伊藤の顔だけにしてくれ。ピンク色な事を考えていると、リビングのテーブルには珍しい組み合わせが揃っていた。
「おはよう健児。何だそのだらしない顔と恰好は……もっとシャキッとせんか、シャキッと」
「おっはよーん、ケンケン。朝ごはん頂いちゃってるよー、ゆずゆずのごはんはおいしいねえ」
四人掛けのテーブルの向かって正面に朝から俺に向かって小言を言う似非ロリータ教師である叔母の葵倫、そしてその隣に、口の周りにご飯粒を付けたおねーさん先輩、紅音さんがいた。珍しい組み合わせと言ったが、この二人は某電波同好会の顧問とその会長という関係である。
「東条。お前も子供じゃないんだから……もうちょっと行儀よく食え」
「だってさ、ケンケン……んっ」
紅音さんは己の口の周りのついたご飯粒を指差し、俺に向かってジェスチャーする。
翻訳すると、『ロリババア先生にお行儀悪いって言われちゃったよ。ケンケン、私の口の周りについてるご飯粒取って?』ってところかな。
「それくらい自分でやれよ……まったく、ぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」
「文句を言いつつ、やってくれるケンケンはおねーさん好きだなあ。良かったらその指先に着いたご飯粒、パクッーって獣のように『こっこれが紅音さんのほっぺにべっとりと付着していたご飯でしゅううはあはあ』とかきんもい台詞言いながら食べてもいいよ?」
「やらねぇわっ! ……ん、で、珍しい組み合わせですね、今日は二人して何か用なのか倫?」
俺は今の今まで紅音さんと一体化していたご飯粒を咀嚼しつつ、倫に尋ねた。『あー! 本当に食べた! 食べちゃったケンケンのえっちすけっちわんたっち!』とかぎゃあぎゃあ喚く声が聞こえたがスルーした。
「倫じゃない、葵先生と呼べ。ああ、実はな……あー、悪い、小鳥遊! 白米じゃなくてはんばぁがぁはないか?」
白米の入ったお椀を載せたお椀を運ぶ柚香サァンに、そう言う倫。
……おい、どうでもいいことで話の腰を折るのはヤメローよう。
「そんなものこの和食メインの朝食にあるわけないでしょ先生……どうしてもっていうのならそこの冷凍庫から探してみますけど」
「んー、あーいい。いいよ。そうだよな、そうだよなあ……はあ」
倫は溜息を吐きつつ、朝食を摂り始める。
どうやら、倫のハンバーガーが主食って言う話は本当のようだな。そして、妹に比べてまな板なのはそういうB級フードばっか喰い散らかしているからだろうなと納得した。
「柚、その人の言う事、あんま真に受けちゃだめだよー。主食をはんばぁがぁにする人なんて、この世でその人と宇宙人くらいしかいないと思うから」
リビングに女子高の制服を身に纏った凪咲さんが入ってきた。
あ……良かった、服着てる。先刻まで一糸纏わぬ姿の凪咲さんを見てたから安心感があるな。
「うへへ、この制服、可愛いよねケン」
凪咲さんはスカートを両手で掴み、俺に向かってにやにやとイヤラシイ笑みを浮かべる。
な、何故、そういうことを俺に聞いちゃうのぉ?ほ、ほらあ……何か、そこにいるアヘ顔モンスターが俺を睨んでくるからそーいうのはやめてちょーだい。しかし、他所のJKの制服姿は新鮮で、ボッキークエストに値するのも確かである。クエストの報酬はJKの脱ぎたての制服でございますお客様!みたいな。
「こ、こら! 実の姉に向かってその言い草は何だ凪咲ぁ!! そんなこと言う奴は英語の評点を下げるぞ!!」
凪咲さんの言動にキレた倫はテーブルを両手で叩き、メシを頬張りながら声を荒げる。
教師としてお前のソレもどうなのよ……。
「んべー。お姉ちゃんの学校に通ってないからそんなの私には関係ないですー。じゃあ、行ってきまーす」
凪咲さんはあっかんべーしながらリビングから出て行く。
はあ、やっと慌ただしい人がいなくなったな……。
「まったく、あいつは……子供なんだからぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」
「あ、あの、それで? 何か用事があるんじゃなかったのか?」
「あ、ああ……用事、そうだった。あのな……お前、マジでヤバいぞ」
マジでヤバいのは姉貴と両親とアンタの姉妹でもう充分です。




