俺のお袋と親父が怪物過ぎてこの国の未来がヤバい。(※パパは美味しく●●されました)
『じゃあ、プレゼント見よっか。健児くん』
健児くん。
この甘美な想い人の一言に俺は濡れ、ド興奮してしまった。
な、何故だろう……企画もののワザとらしい女優の艶技を画面越しで見ていても、ちっとも濡れ、興奮しない絶倫野郎の俺が想い人の下の名前攻撃に一瞬にして濡れ、ド興奮するのは。もうその後の俺は伊藤とのデート中も終始、上の空であった。自分がナニをやっていたのか覚えてもいない。伊藤から話を振られても、『ハイ』『ウン』『イイネ!』『ナイスショット』とかそんな端的なロボット言語しか言えてなかったかもしれない。
今になって言えることであるが、冷静に考えればおかしな話ではあると思う。
今の今まで普通のクラスメイトである女子が苗字で呼んでいたのに、いきなり何の前触れもなく名前呼びなんて。しかし、心の中がボッキー状態の俺はそんな些末な事を考える精神状態ではなかったし、その理由を聞く程の勇気も甲斐性もなかったのである。そして、楽しい時間は無情にもあっという間に過ぎてゆく。プレゼントも買い終わり、名残惜しくも伊藤との別れの時、伊藤は俺にこう口にする。
『今日はありがとう、松阪くん。親戚のお姉さん、喜んでくれるといいね』
その時の俺の脳内は有頂天で、イキ顔で伊藤の台詞に答えていたと思う。
しかし、伊藤と別れ、帰りの道中。熱が冷めた俺は改めて考える。あれ、何で先刻は不意打ちに名前呼びだったのに、また苗字呼びに戻ったんだ。いや、普段の伊藤が俺を苗字呼びするのは普通である。では、先刻の伊藤がおかしかったのか。いやいや、アレも確かに伊藤である。ご、誤植か?俺はナニを言っているんだ。混乱してしまう、小さな事かもしれない、矮小な男だと思われるかもしれない、しかし、その小さな出来事が俺の中で繰り返し反芻されて、何だか胸の中に嫌なしこりが残る。
「健にぃ、ずっとムツカシイ顔してる……何かあったの?」
伊藤と別れた後、帰りの道中で偶然出会ったユキが俺の隣で心配そうな顔してそう尋ねてくる。
ふぅ……やめやめっ、分からんことを何時までもグダグダ考えていても仕方あるまい。そして、意識を目の前に向けるといつの間にか自宅前であった。
「何にもないよ。それよりユキちゃん、貴方のハウスはお隣でしょ。美少年のイキ顔収集家のお姉さんがお待ちかねよ、早くお帰りなさい」
もう日はとうに暮れ、変質者という名の姉貴が出てきそうな時間帯。
末っ子のユキの帰りが遅いと、小鳥遊さんちのママさんやパパさんが心配するのは勿論、姉である柚香サァンは咽び泣いていることだろう。そして、俺がユキちゃんと二人っきりで今ここにいるという事実はシスコンに服を着せたような柚香サァンには耐えがたい苦痛で、そしてそのことが柚香さんにバレチャウと俺は忽ち、そこいらのスーパーで陳列されている肉塊にされてしまうだろう。嗚呼、何と恐ろしいことでせう……。
「やだー。今日は健にぃのお家で健にぃとご飯食べて、健にぃとお風呂入って、健にぃと寝るんだから」
「えぇ……ぼくちゃんのお家でまんまぁ食べちゃうのぉ……? え、お風呂? 寝る……? うっそでしょぉオイ、僕ちゃん、貴方のお姉さんにコロッコロされちゃうよぉ」
「だって、健にぃ、童貞の癖に元気なさそうだから……」
「ユキちゃん、童貞の癖にとかそれ余計だから。晩飯はまだいいとして、風呂とか、同禽とかヤバいから、絵的に無しだから、俺はロリコンではないから、少しはTPOを弁えておくれよ」
想像してミロ。
もじゃもじゃすね毛を誇らしく思うエロ男子高校生と未発育な小●生が狭いバスルームで生まれたままの姿でいろんなところを洗いっこし、そしてお風呂に上がった後は二人で一緒に仲良くホームランバーを舐めあいっこし、眠くなったら二人で同じベッドで一夜を過ごす……とっても、絵的にヤバいです。そして俺の股間の膨張具合もとってもホームランです。
「むぅ。何かとっても失礼な事、言われた気がするけれど……わかった。お風呂と寝るのは我慢する」
「そうしなさい。お袋の悪魔的殺人トラウマ料理でいいなら、だけど」
まあ、ぶっちゃけ男の子としてはユキを歓迎してやりたい。しかし、幼馴染としては断固として反対する。ユキは俺の中で、女の子というよりも仲の良い幼馴染という設定であるので、秤にかけたら無論、答えは既に決まっているのである。そして、ユキを引き連れ、自宅のドアノブを握り……。
「う゛っ……」
ドアノブが照れている?
いや、違う。金属製のドアノブから何かとてつもなく嫌などす黒いオーラ的なナニかが……ドアノブを掴んだ瞬間、俺の全身に駆け巡る。昨日みたいな毒々しい臭いはしないが、俺は恐る恐る慎重にドアを開き、隙間から玄関の内をそーっと覗き込む。
『ぐっ……うっ、うぅ……く、くる…………ちぃ…………ヴぉ、ばぶう』
『うふふふふふふ、私のパパ、私だけのパパ…………青白いメロンみたい。とってもおいしそうです……』
ばたん。
…………。
何故かベビー服を身に纏い鼻に栄養剤を送り込むチューブみたいなもんを装着した親父がナース服の姿のお袋に馬乗りされ、首を両手で絞められていた。何ですかこれどういう状況?俺は夢を見ているのだろうか。俺はもう一度、静かにドアを少しだけ開く。
『あっ……あっ、あっ、あぁ……あぁああ…………』
『うふふふふふふ、あぁ、私だけのパパ……私だけのパパ……私だけの、私だけの、わた……んちゅ』
やっぱり、ナース服姿のお袋がベビー服姿の親父の首を絞めている。
首を絞め続けられてる所為か、親父は涎をダラダラ流し、うつろな目は焦点が合っていない。そして、嬉々というより鬼気とした表情でお袋は親父の首を絞め続け、パパと連呼しながら半開きの親父のだらしない口にディープキスをする。ナニコレ、祝えばいいの?喪服姿でおめでとうございまーすぱちぱち……って。
「? 健にぃどうしたの? お家に入らないの」
「幼女はもう寝る大人の時間です。とっとこ、ハウスにお帰り下さい」
「意味わかんない。早く入ろ」
ユキに促され、渋々うちの中に入る俺。
仕方あるまい。この目の前のマイペースロリにも衝撃的な光景を見せてやるしかないか。そうすれば、とっとこお家に帰ってくれるだろうし、大人の厳しい世界を目の当たりにできるというモノ。俺は荒療治であるが、鬼畜思考でユキをしつけることにする。
「あっ、あっ、あっ。き、キモチE~~……」
仰向けで仰け反っているアへ顔親父の感動のご対面である。
……あっ、そういうことですか、プレイ中ですか。俺はようやくお袋と親父の状況を把握した。
状況の把握はしたが、理解はできない。何でこの方達はそういう行為を玄関口でやるんですかね……せめて、寝室とかにしませんか?寝室とかでも夜中に聞こえてきたら嫌だけど。
「うふふふふふふ、私の健児君……お帰りなさい。今日の晩御飯のめにゅうは……ママのタ●ポン野菜炒めとパパの佃煮、それにパパのミルク一番搾り……です、うふふふふふふ、パパ、もっと絞らせてください……ネェー!」
グッグッ
「あっ、アッ、アーッ! しぼっ、し、絞られるぅ!! パパ、ママんに搾取されちゃうよぉ! 」
聞いてもいないのに猟奇的でお下劣な今晩のメニューをアナウンスするお袋。
そしてお袋に首を絞められ、赤ん坊のように四肢を動かし、ジタバタ暴れる親父。
命の危機に晒されているのに何でそんなに嬉しそうなんですかね。これが、一家の生活基盤を支える大黒柱ですか。もうヤダこの両親、堪んないです。息子が帰ってきても心中プレイを興じる変態両親を置いといて、ユキちゃんの様子を見る。
「おばさん、おぢさん、こんばんわ」
あれ?
「あらぁ……ユキちゃん、いらっしゃい。今日は柚香ちゃんはいないのね……残念。あ、うふふふふふふ、そうだぁ、ユキちゃんも晩御飯食べていきなさい、うふふふふふふ。今日はイキが良いのがあるから……ネェー!?」
「ぐぉおおおおっ、け、健児! た、助けてくれ!! イ、イク! もうすぐ、俺はイってしまう! ママにイカされてしまう! 一番搾りが出てしまうでゲソ! 健児ッ、健児ッ、健児ッ、健児ッ、健児ッ、けんじぃいいいい!!」
「あの、息子の名前を連呼しながら助けを求めてシャウトするのやめてもらえませんかね……一番搾りとか言う表現もちょっと……アレ過ぎやしませんかね」
俺はぼんやりしながら考える。
親父の義妹にあたる倫や凪咲さんがこの光景を見たらどう思うだろうか……と。凪咲さんはああいうエキセントリッキーな人だから平気な顔してスルーしそうだが、真面目に服を着て歩いているような倫がこの光景を見てしまったら衝撃過ぎてその場で泡吹いてぶっ倒れてしまうのではないだろうか。クソ姉貴何かはむしろ、一緒になって参加しそうだが。
「ねえ健にぃ、おばさんとおぢさん、相変わらず仲がいいね」
ユキは微笑ましく嬉しそうな顔で玄関口で懇ろがえっている二人を見つめながら口を開く。
えっ、う、うん……仲がいい、ある意味、世間一般的に言えば究極的に仲が良いのだろうが、ベクトルが可笑しすぎやしませんかね。そして、ユキちゃん。優しげな瞳で見守るんじゃない、絵が可笑しすぎる。単純に仲が良いという感想で済ませられるユキちゃんはある意味大物かもしれない。
「それより、健にぃ、お腹空いたー。今日は凪咲、来てるかな。カレー、食べたい」
俺とユキは変態両親をその場で放置してリビングに向かう。
凪咲さんか。今日も朝、コウーフンしてたからきっとあの人の性格からして来ている可能性が高い。ていうより、絶対来てるだろう。俺の報告待ちってところだろうか。しかし何故、あの方は俺の恋愛事情にすぐ口を出したがるのだろう。やたら俺と伊藤をくっつけたがるし。面白半分?俺をからかっている?いや、あの人はあー見えて、根は意外と真面目なのである。昔、『私の座右の銘はゆうげんじっこーだからねー』とか前に宣っていた気がする。
……やべえ。
自分の思うような結果をすぐに求めたがるあの手は、俺が伊藤とくっついていないという事実を知った途端、どういう行動を起こすのだろう。い、怒り狂うのではないだろうか。それこそ、有言実行を確実に……うおおっ、やべえ!!会 い た く ね え 。今、ダントツでクソ姉貴以上に会いたくないランキング第一位になったぞ。どうかこのリビングの向こうに待ち構えていませんよーに……俺はそう思いながらリビングのドアをゆっくり開く。
「おっかえりー、ケン! さあ、首尾はどうだったかねねねねねね!!」
俺は今どんな顔をしているのでせうか……。
絶望という名の言葉が全身に駆け巡り、そして。
「何であんたはそんな恥激的な恰好をしてるんだああああああ!!」
凪咲さんは水着の上からエプロンをしているいわゆる『水着エプロン』という出で立ちであった。
アカン……やっぱ、うちのおかんの親族は頭おかしいのしかおらんでえ……あ、それを言うなら俺もか。




