太ももソムリエの私はイケないお店で写真指定しました。『私、写真と顔違うでしょ』『店長(シェフ)を呼んでくれたまへ』それは私がその店のリピーターになる瞬間であった……。
「ほんっとーに、申し訳御座いませんでしたあ!!」
只今、ワテクシ、松阪健児ちゃんは美少女四人組に囲まれての土下座プレイを実施中でございます。
俺が全裸であるならば只の安っぽい企画もののえーぶいにしか見えないこの状況は客観的に見ればどう思われているのだろうか。そして、明らかに下着姿なのに水着と言い張るちょっとオツムがアレなちびっ子二人組もいるし!エンコーとか勘違いされていないだろうか。
「い、いいよ、松阪くん。わざとじゃないんだよね、私の悲鳴を聞いて駆けつけてきてくれたんだよね?」
両手をパタパタと振り、俺の淫猥(ではないと信じる)行動にフォローを入れて下さる愛天使伊藤。
あ、とっても優しい。しかし、俺から少し目を反らし、柘榴のように頬を染めている様子から見るに伊藤が気を遣ってそう言っていることがヒシヒシと伝わってきます。ああああ、お、俺は何と罪深いことをしてしまったのぉおおお……。
「ち、違いますぅ、ワザとでなんですぅ。ぼ、僕ちんは伊藤ハムしゃんの淫らでダラシナイ猥褻な白い肢体を観察しに来たのですぅ、げへへへ、おるぁ、一発ヤラせんかい」
「このメス豚めっ!! ハムみたいな身体しやがって!! 猟奇的にお前を喰らってやろうか!? お前もスーパーの引き出物にしてやろうか?!」
さらなるドゲーザ+謝罪プレイを敢行しようと試みるが、その台詞は二人のちびっ子の台詞に阻まれる。
紅音さんはダミ声でナニかを揉みし抱く様なゼスチャーをしながら犯罪的な言動を、ユキちゃんは悪魔閣下的な発言で伊藤に対して口汚く罵る。
「何ソレあんたらもしかして俺の真似ですか!? やめてっ、謝罪の後にそんな鬼畜言動はやめて差し上げて!! あと、ユキちゃん!? 貴方、お口悪すぎィ! ワテクシ、そんな下品な娘に育てた覚えありませんよ!」
「ユキがこうなったのも全部アンタのせいよパンチ!!」
「ヴゥッ! とっても理不尽!!」
店員のコスプレイをしている柚香サァンに鳩尾に拳を叩きこまれ、豚のような悲鳴を上げて背中から床に倒れる俺。わ、分かってたよ。分かってましたよ、ワタクシ。柚香サァンの目の前でのユキちゃんの粗相は大概、ワテクシに跳ね返ってくること……ああ、無情ナリィ。
「でもさ、ケンケン。正直な話、役得役得、ラッキィスケベぃとか思ってんでしょ」
「はい。とっても嬉しかったです、手を合わせて……ご馳走様でした……はっ」
「…………っ」
「…………健にぃの変態大使」
「ペッ、このチン●スが」
俺は紅音さんの問いに反射的に本音がポロッと出てしまった。
し、しまったあ。な、何て狡猾な誘導尋問なんだ!傍で聞いていた伊藤はさらに頬を染め、俯く。ユキちゃんはジト目で俺を睨みつける。柚香サァンは唾を吐き捨て、暴言を吐く。はいー、いつもの俺氏に対する罵詈雑言大会が始まりますよーどんどんぱふぱふ。
「ズルいっ、ずるいなり! 紅音さん、その質問は誘導尋問だっ、お前を税務署に訴えてやる!!」
「あはは、な、なんだかんだ言ってテキトーに誤魔化してくれると思ってたんだけどなあ……おねーさん、ケンケンがそこまで肉食系の獣だとは思わなかったよ」
「肉食系の獣とか言うのやめてあげてっ、男は生まれ落ちた時から皆、おち●ちんに正直な生き物なんです!!」
「健にぃの馬鹿ぁ!! 浮気者! スケこまし! 恥知らず! 親知らず! 鬼畜道弁慶! 早漏! ヤリ●ン! ロリコン! ショタコン! 独りでは生きていけないマザコン! ばかばかばかばかぁ!!」
「いたっ、あいたっ、ゆ、ユキちゃん! よく分からないけれどとりあえず思いついたこと言っちゃえ的な言葉並べてるだけだろそれ!」
身を乗り出し、俺をポコポコ殴って来るユキちゃん。
ゼロ距離で俺を殴って来るから身体の柔らかな感触が……しかも、下着姿……は、はなぢぃが……。
「……ロリコン」
「やめて、柚香サァン。マジなトーンで言うのやめて? そういうのじゃないんだよ? これは男の子の防衛的な生理反応であって信号で言うならば赤、赤信号は渡らないでしょうん渡らないです赤信号的なナニかが私の身体にビビッと伝わりそして下半身に電撃が走るあぁっやべえこれはべらべらべらべら」(←後ろめたい男は口数が多くなる典型的な図)
「伊藤さん、こんな危険生物とこんなピンクでアヴノーマルな場所で一緒に買い物してたらいつか襲われるわよ。悪い事言わないから、買い物するなら私たちとしましょ」
「あ……小鳥遊さん。う、ううん、大丈夫だよ……松阪くんの親戚への女の子のプレゼントで来てるし、松阪くんがいないと、だし。それに、皆で買い物しないかな。いざとなったら小鳥遊さん、守ってくれるんだよね……?」
「…………ぐふっ」
「た、小鳥遊さん? どうしたの?」
「伊藤さん、もしかしてマジ? だとしたら、女殺しだわ」
「えっ、えっ、え……わ、私、何か変な事言っちゃったかな」
「い、いや……何でもない。そ、そう、伊藤さんがそういうなら一緒に買い物しましょうか(わ、私としたことが今この一瞬、ドキッとしちゃったじゃないの)」
俺の男の子の勃起的レクチャーを無視し、柚香サァンと伊藤は会話を進める。
水着売り場をピンクでアヴノーマルと来ましたか。そして、くんかくんか……ビッミョーにゆりんゆりんな匂いを感じるのは俺の気のせいでせうか。さらに、いつの間にか『俺と伊藤』ではなく、『俺と伊藤+不愉快な美処女たち』で買い物することが決定しているではないか!ぐぐぐぐっ、お、俺のでぃと計画がががががが……。
「よーし、そうと決まったら! 皆の衆! 『MOD同好会』活動として、『誰がいちばん親戚の女の子悦ばれるプレゼントを見つけられるか』大会をしようじゃないか!! さっそくだけれど、私は宝石店見てクルー」
「あんたは自由だな! 電波同好会は全然関係ねえじゃん! ていうか、伊藤とユキちゃんは会員じゃねーだろ!! ていうか、喜びって心なしか字が違うような気がするんですが! 官能アイテムの捜索大会みたいになってる!!」
「健にぃは気にしすぎー、じゃあ、私は雑貨見てくるー、びゅーん」
「ああっ、二人とも行ってしまい、って、ああああっ、あんたら服、服、服ぅ! ちゃんと服着ないと捕まるぞこらああああああ」
「ったく、仕方ないわね……紅音さんとユキは私が見てくるからあんたは伊藤さんと買い物してなさい」
「え、でも、柚香。伊藤は俺と二人でいたら危険って」
「はあ。健児、あんたって奴は…………えいっ」
バチンッ
「ヴッ」
「細かい事は気にしなさんな。しっかりやんなさい」
そして、柚香さんは紅音さんとユキを追って人ごみに消えて行った。
あれ?何で俺、今、ビンタされちゃったの。すごく、すごく……意味、分かんないです。
「……ま、松阪君」
そして、再び二人っきりになる。
う、ウレシイのだが……ケダモノ疑惑の直後のこのタイミング!い、伊藤はちょっと引き気味で俺を見つめている。う、うわああああ、やべえ、先刻までちょっといい雰囲気だったのに!ちょっとアヴノーマルな雰囲気になっちゃってるよぉ。俺の今の心境はいけないお店の写真で指定した女の子が自分で『私、写真と顔とっても違うでしょ、ぐふふ』とカミングアウトされ、お前がそれ言っちゃうのぉ……という何とも言えない外れくじを引いた微妙な心境であった。
「い、伊藤、あの、その」
「お、襲わない……?」
「オソワナイ! オソワナイ! オレ、オソワッチャワナイ!」
「ふふっ。ふふふ……」
「あ、あれぇ……い、伊藤?」
「健児くんって、正直さんなんだね」
「えっ……あ。そ、そうかな……欲望に忠実ともいえるけれど、あ! い、今のなし! のーかん、のーかん!」
「誤魔化さなくてもいいよ。ふふ、やっぱり、健児くんも男の子、なんだね」
伊藤は微笑みながら、何か納得するようにそう呟く。
男の子……ど、どういった意味で男なんだろう。下半身が男の子?脳内が男の子?どうにも中学生脳の俺は『男の子=ピンク野郎』と捉えているフシがある。ちょっと待て。今、伊藤の台詞の中で大変に不自然な単語を聞いたような気が。
「じゃあ、プレゼント見よっか。『健児くん』」
け、健児君!健児君!け ん じ く ん !




