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『Q. 俺の愛天使がアカフン族でした。おっきが治まらないです……先生、これはもしかして泌尿的な病気なのでせうか?』『A. 大丈夫、それなら先生も病気だよ』

『松阪くん……これ、似合うかな……』


頬を朱色に染めて、伺うような眼で俺にそう問いかける美少女。

美少女の名は愛天使環、またの名を伊藤環という。俺の未来(予定)の嫁である。その彼女が水着売り場の試着室にて俺の目の前で冒頭の台詞を問いかけているのだ。


アカフン(※赤いふんどし)姿で。


いや、俺もアダルトなヤングま~んだからこれが俺の痛々しい夢であることはこの時点ですぐに嫌という程わかっちゃったぜ。大体な、俺の清楚でキャワワな想い人がこんな変態で下品で猥褻で淫猥で甘美な姿をする訳がないんだよ。冒頭から『』とか萎えるカギカッコ使われてるし。麦藁帽に白のワンピース姿で隣にいる男の子に天使のようにえへへとはにかむ……それが彼女のキャラクターなんだよ。それが、何だ?豊満なおぱーいを両手で必死に隠して、またに喰い込み過ぎちゃったどころか喰い込み過ぎちゃって大事なところが見えちゃいそうな赤い褌姿は…………とっても、視覚的に宜しいではないか。いいぞ、もっとヤリなさい。しぇんしぇにもっと大事なところを曝け出しちゃいなさい。


『えっと、松阪くん? な、何か言って欲しいな……』


伊藤は何の反応も示さない俺に対し、両胸を腕をクロスさせて隠し、内股姿でその場でモジモジしながら狼狽える。これが年配の腹の肥えたオッサン(一級ギャランドゥ保持者)やボンレスハムのデパートのような喪女だったら、今頃その場でドつき回して肥溜めに叩き込んでやるところだが、そこはほれ、この美少女じゃよ。夜モード学園の俺だったら絶対に押し倒して畜生のようにせっせぱこぱことプレイに勤しんでいることだろう。


『こ、このカッコ……と、とっても、恥ずかしい……よ。う、ううっ……』


シコシコと、しくしくと涙を両の瞳から流し、俯く彼女。

じゃあ、何故貴様はそのような我を悦ばせるシコリティズムな恰好になったのか、と黒の騎士団のように問い詰めたいところなのだが、これは夢である。己の頭の中で生み出した妄言に対して、正論ツッコミは対して意味を成さない。それどころか、この夢見の世界では『不合理こそが正論』なのである。自分でも何を言っているのかよく分からない。これもまた一つの不合理であろう。しかし、一方で夢は現状の生き方に対してヒントを与えてくれるとも言われている。つまりはアカフンが俺と伊藤の明るい未来を案じているヒントアイテムである……とも解釈できるのだ。


『恥ずかしいのはイナフわかってるさ。カムナウ伊藤さん、俺にもっとそのラブリーなチェストとプリティーなアカフンとボトムをショーしてくれ』


お前はもう出てこんでええっちゅうねん。


『えっ……そんな、や、やだ。やだよ、絶対やだよルー松阪くん……そんなの友達同士がすることじゃないよ……』


……。

肌面積の方が広い痴女的な恰好の人が言う台詞じゃないよね、あと名前の前に余計な単語は入れないであげてください、とか正論をブチかましたい衝動に駆られたが、これは夢である。野暮なツッコミは野郎のシリアナにパンパンッと突っ込んでおきなさぬぁあ゛ああああ(ナニかの痛みに耐える男の図)。


『いかんな伊藤呉服君、それこそが友達同士がすることなのだよ。サァ、オジ様にその瑞々しい羊羹のようなおケツを晒し上げなさぁ~~~い♪』


だ、誰だ、お前。お、俺はどこ行っちゃったの?


『……っ、いやっ、いやだよプリンツァケウ゛ェルトェンツトゥェル伯爵! 臀部のおでき的なつぶつぶを見られたら……私、もうショックで溺死しちゃうよ……!』


……プ、プリッ……は、伯爵????

な、何だその百人中九十九人は噛みそうな長い名前は。ほ、本当に誰なのぉコイツ。どっから沸いて出たんだよ。ショックで溺死ってどこの赤い弓兵だよ!!あと、夢の中とはいえ俺の伊藤が臀部にできもんがデキてたとかちょっぴりどころか絶望的にショックなんですけれど。……いや、『その時』が来れば割と興奮……いやいやいやいやっ、これは夢!夢!夢!夢です!圧倒的夢!だから現実の伊藤はそんなもんは出来ていないのだっ。


『そ~ん~な~ことはないさ~~ワタクシノォ~~胸に飛~び込んで~きなさいぃ~~~』


チョビひげを蓄えたおじさんは紳士服を脱ぎ去り、アカフン姿となった。

……何でちょっとミュージカル風なんですかね。


『えっ、ああっ……そんなっ……嬉しいよ……プリッ、プリケツ伯爵……抱いてくれるかな?』


夢の中の俺の似非伊藤は目の前の訳の分からん伯爵に涙し、そう問いかける。

うっうーん、今の会話中のどこに感動するところがありましたかね。あと、略すな。


『そうか、君はこのオジ様とセクシャル的なハッスルをチュパチュパチャップスしてくれるというのか……いいともー! しかし、断る』


断わんのかよ。あと、チュパチュパチャップスってナニ?


『う、うれしいよ! とっても、お姉ちゃんうれしいよぉおおおお、じゃあヌグー!』


おいおいっ、会話のキャッチボールを全力で暴投すんな!!

鼻息を荒くし、舌なめずりをしながらその場でアカフンを脱ぎ去る伊藤……ってゲェー!

あ、姉貴!?お、俺の伊藤がいきなり姉貴に下位互換したぁ!?う、うっそだろ……な、何故、うちのクソ姉貴がクソみたいな姿でクソ顔でクソみたいな俺の夢の中でクソ登場してんだよ!!


『うん、俺もヌグー!』


おいっ、急にキャラ変わんなっ!


『はぁああああんっ、けけけ、けつ……ケンくん、大好きぃ、ああああああああ゛!!』


ケンくん言うなっ。


『う゛っ、うぉおおおおおおおお』

『ぬっぅ、ぬあぁあああああああ』


シコシコ、パコパコ、パンパン、ズコズコ(←何かの取り返しのつかない音)


「うわうわっうわわうぁああああああっ、やめやめやみゃああああああっ、俺は姉貴で童貞卒業何ていやだぁあああああああっ……はっ」


……。


ゆ、夢……か。

ゆ、夢、夢……夢で本当に良かったよぉ。ありがとう神様、ありがとう仏様、ありがとうご先祖様、ありがとう伯爵様、ありがとうアッラー様。俺は心の奥底から今日も今日とて平和に寝床から起きることができた事に神様仏様ご先祖様お天道様に感謝した。そして、こういう欲求不満たらたらな夢を見た直後は男としていや……一人前の男根として必ず確認しなければならない事があるだよな。俺は己のパジャマの少し擦り下ろして、履いているトランクスの現状を確認する。


「朝立ちOK。うんうん、とりあえずは大丈夫みたいだな」

「あーん、残念。折角、ケンくんの夢精ショウタイムが拝めると思ったのに……」


……。

何故か俺の隣でトランクスを覗き込むクソ姉貴がいた。

しかも、アカフン姿の。


「ねえねえ、ケンくん……お、お姉ちゃんに……そのケンくんのおっき爆発を……って、あれれ? やーんっ!」


俺はクソ姉貴の首根っこを猫のように掴み、部屋の外へ放り捨てた。

何が、おっき爆発だよ。お前の頭を爆発させてやろうか。部屋の外から『開けて開けてーお姉ちゃんの蕾を開けてー』とか『開けてくれないなら交尾してやるー』とか解読不明な台詞が聞こえてきたが全部、無視することにする。寝起きにクソ姉貴のアカフン姿はバターをオカズにマーガリンを食べているようなものだな……つまりは精神的にも肉体的にもキツイということだ。まあ、あのクソ姉貴がキツイ存在だから何を言ってもキツイ台詞にしかなりえないのだが。頭の中で悪態を吐きながら扉から離れ、己の部屋に目を向ける、と。


「おはおっはー」


ユキちゃんがいつの間にか俺のベッドで腰かけていた。

……アカフン姿で。


「……何だ。流行ってんのかアカフンは。最近のトレンディアイテムなのかアカフンは」

「何を意味不明なことを言ってる。ケンにぃ、朝の挨拶は一日の始まりだよ」


ユキちゃんに真面目に返される俺。

俺としてはそのユキちゃんの恰好の方が意味不明で意図が読めないのだが。


「……おっぱー。ところでユキちゃん、二つ程聞きたいことがあるのだが……①どうやって俺の部屋に珍入した? ②そのアカフン姿は何なの? ③お前の姉を桜の木の下に埋めよう」

「二つじゃなくて三つになってる……しかもそのうちの一つは質問じゃなくて猟奇的なお願いになってるし……。①夢お姉ちゃんに匿ってもらったから②こういうの挙動不審で変態のケンにぃは好きだよね③やだ」

「こらこら、年上のお兄ちゃんに向かって、挙動不審の変態とか行かず後家とか言わないの。罰として一緒にお前のお姉ちゃんを学校の体育館裏に埋めよう」

「しつこいよケンにぃ。あと、行かず後家は意味が違うような……」

「まあ、いいよ。問題はその格好だ。何だ其れは……押し倒してくださいって意味ですか?」

「何言ってるかわかんないけれど。大丈夫だよ。これ、ふんどしって言っても下に見せパン履いてるし……シャツも着てるし。ね?」


ユキちゃんは俺の目の前でクルッと一回転しながら同意を求めるような瞳でモノを言う。

いや、いいだけどさ。ユキちゃんにお前をそれほどまでの行動にかき立てる褌とはいったい何なのか、その履物にどれほどまでの魅力があるというのだろうかと小一時間問い詰めたかったが、変に意固地なユキちゃんの事だ。言っても時間の無駄である。


「こらあ!! さっさと起きなさいよ、この水虫から生まれたうん●製造機!!」


バンッとどでかい音を響かせながら俺の部屋の扉が誰かに開かれる。柚香サァンである。

俺、トランクス姿。ユキちゃん、アカフン姿。ベッドの上で近距離討論中。

オレ、キット、シヌ。ヤバイ、イタイ、キモチ、イイ、アリガトウ、サンクス。


「……なっ、なななっ……け、健児ィイイ!! あんたぁあああ、ナニ、ユキとアカフンプレイしてんのよぉおおおおお!!」


……そうだ。

今日は伊藤と合法的にいちゃいちゃできる日だったなあ……と己の顔面に迫りくる鉄拳を笑顔で見つめながらそんなこと思う俺君でした。

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