俺のアーントと姉貴がゴーストゴーバイしてこのカントリーの崩壊が止まらない。(byルー松阪)
「わっわわ……私のケンくんにナニしてるのよ凪咲ちゃん!!」
リビングで凪咲さんと言い争っていると、いきなりピンポン玉の如く姉貴が横入りしてきた。
つい今の先刻までごく普通な制服姿だったのが、何故に恥激的な貝殻ビキニに更新されているのですかね。
思いっきり硬球を何球も投げつけてヤリタイ衝動に駆られたが、それはそれで悦びそうで嫌悪感を感じた俺はナニもしないことにした。ナ 二 も し な い、これが変態を黙らせる上で重要なファクターであるとこの時の俺は思ってもみなかったのである……なんのこっちゃ。
「ナニって……ケンの痛々しくて嬉し恥ずかしポエマーエピソードを聞いてるんだよ」
晩飯の仕込みをあらかた終えた凪咲さんはエプロンを脱ぎ、リビングのソファで寛ぎながら根も葉もない嘘を吐く。ちょっと、エプロンを脱ぐ時の髪が上にぶわって上がって良い苺系のシャンプーの匂いがして女子の独特な匂いでコウーフンしたのは此処だけの秘密である。
「言ってないよね!? 痛々しくてポエマーなエピソード! しれっと当たり前のように嘘を吐くのは止めてあげてね凪咲さん!?」
「ケンくんの嬉し恥ずかし……!? ま、まさかケンくんが赤ちゃんの時にお姉ちゃんである私(※一才)のおっぱいに『オオッパ、オイチィ、オニギリ』とか言いながらスッポンのような口先でちゅるちゅるでお姉ちゃんのおっぱいを吸い付いてきたり、ケンくんが幼稚園の頃には親の仇のようにお姉ちゃんの豊満な胸を見ながら『お姉ちゃん、パイ乙でおにぎり握ってよ』とか言ったり、ケンくんが小学生の頃に『お姉ちゃん、脇の下でおにぎりつくってくれよ』とか言ったり、ケンくんが中学生の頃に『汝、我に汝の愛汁で永久で聖なる輝きを放つ三角、主なる神から与えられし遺産をせしめよ!』とか言ったり、高校に入学した直後も『なあ、姉貴……俺さ、姉貴のおしょんしょんで炊いたふっくらご飯から作ったおにぎりを死ぬまで頬張りたいんだよぉ……』って遠い目をして言ってたエピソードのこと!? ヒギイイイィーお、おぉおおおお姉ちゃんとっても恥ずかしいよー!! ふっふぉおおおおおお」
「支離滅裂な嘘を吐くんじゃねえ! きめえ!! 長げえ!! 創作臭が半端ねえ!! 三重苦!! えげつない夢小説はチラ裏で勝手に書いてろ!!」
ていうか、どうでもいいけれど何で俺は中坊で厨二発症してる設定になっているんだよ!まあ、確かに……?中坊の頃、教室で昼休み『俺がふぁんたじぃな世界で勇者様になって美人でパイ乙ぼいんっぼいんで俺の事が好きで好きでたまらないお姫様×13人+俺なるハーレム一行と一緒に混沌とした世界をカッコよく救って見せる!』とかいうライトノベルを書いては友達に見せてたことはあるがな。まあ、思春期で多感なお年頃の男子なら普通にあるような話じゃん?友達に見せたら、腹抱えて爆笑してたからまあ今となっては香しき良い想ひ出である。
「ヘエ、ケンってば『恥垢将軍おにぎりマーン』だったんだね……あたしは自分の体液でおにぎりはちょっといくらなんでも作れないかな……ドン引き♭」
「何その変な渾名!? 凪咲さんも真に受けないであげてね!? 絶対嘘って分かって言ってるよね貴方!?」
「まあ夢の妄言は置いといて……本当の事言うとあたしはそんな話はしてないんだよ。ケンに『女の子とハジメテのハメハメ波したいんだよお』とか涙ながらに迫られたから恋愛相談の話を聞いてあげてるんだよ」
「なぁあああぎぃいいいさぁあああさああぁぁん!! あんたの言う事さっきから嘘ばっかじゃねえですか!! お願いですからシモ的に甥をいぢるのはやめてあげて!!」
凪咲さんは昔から年下の男子をこうやってからかう傾向があるのだ。
本人は楽しいからやっているんだろうけれど、ヤラレル方は堪ったもんじゃあない。しかし、いつからこんな下ネタ大好き女子になってしまわれたのでせうか。顔は美人なのに言動は残念な女子である。
「なっ……ケンくんってば、そんなにお姉ちゃんのこと……嬉しい……思いっきり合体、しよ?」
「ユー、とっても狂ってる」
「まあまあ、落ち着いて聞いてあげてよ夢。ケンってばおっぱいぼいんぼいんの伊藤ちゃんって娘に恋してるんだってさ。年上のお姉さんとして、ここは何としてもケンの恋を実らせてあげようかと」
「oh……イマ、ココニ、人類最期ノ爆弾ガ投下サレマシタ……ニッニゲテクダサイ……ヤンチャナコネコハウスニ……」(←錯乱状態)
しまった。口止めするのを忘れていた。
凪咲さん自身は分かってやってんのかどうかは分からんが、姉貴は伊藤の名を聞くと蕁麻疹が出る体質であることを。つまりは毛嫌いしている。そんな放送禁止用語的な禁句をポロリした日には……。
「い、いと……う? お、おっぱい……ぼいんぼいんの……伊藤サン……は先日お亡くなりになりました……ごっご愁傷さまでござる……」(←ちょっとどころかだいぶ錯乱状態)
「なってねえ!? 勝手に俺の嫁を殺すなクソ姉貴!!」
「およ? 夢はケンの片想いすぎる恋を応援してあげないの? ケンに独り勃ちしてもらいたくないの?」
「すぎるとか言うのやめてあげてっ、嘘じゃないけれど悲しくなるだろうがよ!! あと、独り勃ちって心なしか字が違うような気がするのは俺の気のせい!?」
「だ、だって、そんなどこの馬の骨とも知らぬ清純そうな顔したビッチなんかよりもぴゅあぴゅあはぁとなお姉ちゃんと結婚式もとい開通式をした方が絶対ケンくんの将来は安定だもん」
「……は? 夢、貴方、頭おかしいの?」
凪咲さんは自分の頭を指差しながら真顔で淡々と姉貴に向かってそう答える。
凪咲さん、その台詞は俺が言いたかった。そして、ツッコんでる内容そのものはおかしくはないのだがエキセントリックなあんたがそれを言うか、と心の中でツッコんでおくことにする。
「と、とにかく!! ケンくんはお姉ちゃんとスーパーパコット大戦するべきなのよ!!」
何を言ってるんだろう、この子。
「うーん、ホントに頭おかしいじゃないかな夢。姉妹で結婚なんてドブネズミとアリゲーターが交尾するのと同じくらいおかしいよ」
ごめん、凪咲さん。
何か姉貴に正論ぶつけて、姉貴の俺への偏屈的な恋を諦めさせようとしてくれているんだろうけれどその例えいまいちよく分かんないや。
「うううううう~~~っ、ケンくぅん……凪咲ちゃんが私の言う事分かってくれないぃ……ケンくんは……恋人の言うことをちゃんと聞いてくれるよゐ子だよね……?」
姉貴は俺に縋りつくように上目遣いでそう聞いてくる。
何時からお前と恋人同士になったのですかね。俺は姉貴の手を振り払う。姉貴は「きゃぁんっ……」とか犬っぽい悲鳴を上げながら言いながらリビングの隅っこの方でさめざめと泣き始める。嘘泣き悲劇のヒロインごっこは余所で一人でやってくれませんかね……前回もソレ、やってましたよね。
「んー、まあいいや。うるさい夢は黙ってくれたし。じゃあケン、先刻の続きだけれどケンは伊藤ちゃんとラインしてるの?」
「あ、ああ……一応な。『よろしく』『うん、こちらこそ』で終わってるけど」
「エロい! じゃなくて、エライ! ヤル事やってんじゃないか性少年! じゃあ、さっそくだけれどお姉さんにスマホを貸して?」
とびっきりのここ一番な笑顔を浮かべて、俺に右手を差し出してくる凪咲さん。
……。
だめだっ、何かとてつもなく嫌な予感しかしねえ!!
「だ、断固として拒否す……ひゃぁんっ」
ビシッ
「こらーっ! 男の子がそんなへっぴり腰でどうすんだー!! 罰としてこのスマホはボッシュートする!!」
どこから取り出したのかハリセンで俺のケツを叩く凪咲さん。
ぐあ、変な声を上げてしまったがその衝撃でスマホを落とした俺を見逃さなかった凪咲さんはシュッと風切る音のような速度で俺のスマホを奪い取る。し、しまったあ!
「ふんふん、こうしてこうこう……と、あ」
「か、返せっ!」
しかし、俺はスマホが手元にないと足先から壊死して正常でいられない体質なのだ……というのは冗談だが、すぐさま凪咲さんの手から俺のスマホを奪い返した。そして、スマホの液晶画面を見るとラインが立ち上がっていた。
○/●(×)
既読 8:15『よろしく』
伊藤『うん、こちらこそ』9:00
今日
『伊藤ダディー、トゥモローユーちゃんとトゥギャザーにデートしないかぁい?』
「何してくれてますのん!? 貴方!?」
「ああ、これねー。翻訳すると『伊藤ちゃん、明日一緒にデートしない?』って聞いてるんだよ」
「そんなことは聞いてねえ!! これはどういう」ピンポン♪ピンポン♪
「あ、返信キタ、キマシタワー。お姉さんに見せて見せて見せてマルコメみそ」
今日
既読 19:06『伊藤ダディー、トゥモローユーちゃんとトゥギャザーにデートしないかぁい?』
伊藤『……?(;´・ω・) ど、どうしたの……松阪くん?』19:07
「ほらあっ!! 絶対、心の中で『松阪くん、何か変なキノコ食べたのかな』とか思われてるって!! 凪咲さん、どうしてくれ」ピンポン♪ピンポン♪
「てへっ、ごっめーん、また送ちゃってた」
「早過ぎませんかねっ」
今日
既読 19:06『伊藤ダディー、トゥモローユーちゃんとトゥギャザーにデートしないかぁい?』
伊藤『……?(;´・ω・) ど、どうしたの……松阪くん?』19:07
既読 19:07『アンダースタンディング!アンダースタンディング!とりあえず、コンバインしよう。』
伊藤『…………( ゜Д゜) あ、あの……コンバインって何だろ、何だろ……』19:08
既読 19:07『俺はマスターのミステリーマークな身体の中身をノウしたいな……そこのラブネストで』
伊藤『うっ、うう……あの……ほんとに、わかんなくて……その』19:08
「ルー語はもうええっちゅうねん!!」
「おー、いいよいいよあと一押しじゃん」
「何がっ!? めっちゃ、戸惑ってるやん! 伊藤さん、わけの分からん頭のおかしい日本語で滅茶苦茶困ってるやんけっ!?」
「ケンって関西人だったっけ? まあ、いいや可愛いジャブはこれくらいで……ほほいのほいっと……」
「あぁっ!? また勝手に…………【ピンポン♪ピンポン♪】…………するなと言ってますよね」
今日
既読 19:06『伊藤ダディー、トゥモローユーちゃんとトゥギャザーにデートしないかぁい?』
伊藤『……?(;´・ω・) ど、どうしたの……松阪くん?』 19:07
既読 19:07『アンダースタンディング!アンダースタンディング!とりあえず、コンバインしよう。』
伊藤『…………( ゜Д゜) あ、あの……コンバインって何だろ、何だろ……』19:08
既読 19:07『俺はマスターのミステリーマークな身体の中身をノウしたいな……そこのラブネストで』
伊藤『うっ、うう……あの……ほんとに、わかんなくて……その』19:08
既読 19:08『伊藤、明日買い物に付き合ってくれないか? 親戚の女の子が誕生日でさ、女の子にナニあげたらいいかよく分かんなくて。伊藤なら分かるかなと思って』
伊藤『えっ……そ、そうなんだ。いいよ、明日ならちょうど空いてるし男の子はよく分かんないよね』19:09
既読 19:09『ありがとうな。昼飯は奢るから明日、12時前にハチ公前でどうかな?』
伊藤『うん、いいよ。ありがとう、明日、楽しみだね』19:09
「嘘やろ……」
「どや。お姉さんを褒めてあげてもいいのよ、この完璧なミスリードに」
「どの辺がミスリードなのかよく分からんが、途中で唐突に人が変わったみたいに普通になってビックリするわ。絶対、クスリでもキメてたのかな、とか勘違いされそうだ……」
「あっ。ごめん、ケン……手が滑って、『ウサギとクマーさんが後●位で仲良くしてるスタンプ』送っちゃった……ごめんね」
「だぁああああっ!! 何しちゃってんのくらぁあああああっ!!」
こうして。
凪咲さんの策略により、なし崩し的に俺は明日伊藤とデート(表向きは買い物)をすることになったのである。しかし、ほんのひそかにちょっとどころかだいぶ……凪咲さんに心の中で感謝している俺がいた。




