俺のお袋と姉貴が妖怪過ぎてこの国の崩壊が止まらない。(※パパは既に●●されました)
夕刻。
疲労から表情に死相が色濃く残っている男根生徒や雌猿のように黄色い悲鳴をきゃぴきゃぴ上げる女子生徒と共に学畜イベントの地からバスで離れ、ようやく家路に着いた俺、クソ姉貴、柚香サァン、ユキ。柚香サァンとユキは『大量にアサリが獲れたから、後で持ってくるって夕陽おばさんに伝えておいて』とか嬉々というより鬼々とした表情で言われた時は何かの嫌がらせですか?とまで思ったね。い、いらねえ……正直、もう自分の死期が訪れるまで見たくないな。今なら漏れなく、『アサリを見ただけで嘔吐と悪阻のとっても素敵で愉快な大感謝祭』になる自信はあるね。自分でも何を言っているのか意味不明ではあるが、兎にも角にも二度と貝類はお目にかかりたくないぞ。
「んっふっふ、ケーンくん! 今日はとっても楽しかったね、えへへ……またお姉ちゃんの鮑、いっぱい獲ろうね!!」
家の前で恋人のように腕を絡めて、意味不明な台詞を呟くクソ姉貴。
腕を蛇のように絡まれた瞬間、腕ひしぎ十字固めでもカマしてやろうかと思ったが、場所が場所だ。前に近所の公園で姉貴が俺に密着して来たときに、三角絞をお見舞いしてやった際に姉貴が『うわぁいっ、けけケンくにぃ、疑似フ●ラ行為を強要されちゃってるよ~~ぺろぺろっ、ううっ、うへへへっ』とか男でもドン引きしそうな変態台詞を言われたので近所のおば様ママン方に『やだ、姉妹で不潔……』とか『近親相姦……アリね』とか陰口を叩かれたので、あんまり大っぴらに暴力的に過激な事はできないしな。
「全然楽しくなかったし、もう二度と見たくねえよそんなもん……それより、腹減ったな。今日のメシは何だろ……う?」
姉貴が『あん、いーけーず』とかブリッコぶりながらプリプリしているが、そんなことはどうでもよく俺は家のドアを開く瞬間、ぴたっとその行為を止めてしまった。……なーんで、家の前からシンナーみたいな匂いが漂ってくるのですかね。メシの匂いで溶剤の匂いが混在するって絶対的に絶望的に悪魔的にありえないし、おかしいですよねこのご時世。この臭いがした瞬間、家に帰るのがとてつもなく嫌になったが、そういう訳にもいくまい。切腹する前のちょんまげ侍のような気持ちで俺はドアを開けた。
「うふふふふふふ、お帰りなさい……私の健児くんに、夢ちゃん……今日はおちんち」
ばたん。
玄関のドアを開けた瞬間、反射的にドアをしめてしまった。……うーん、今何か、玄関口で紺色のスクール水着を身に纏ったいい歳こいた年配の女性がいたような気が……もしかしてもしかするともしかしなくても、僕は帰る家を間違えちゃったのでせうか?俺はもう一度、表札を確認する。
『松阪』
……うーん、幻覚かな。
「あれ、ケンくん、ドア閉めちゃってどしたの? 早くはいろーよ、私とケン君の愛の巣に……あっ、も、もしかして……『今日はお前を帰さないぜ』とかそういうお姉ちゃんとやんちゃな行為をしたいお年頃って奴? いやん……お姉ちゃんの準備は……はっ、はあはあ……ばばばばっっちこーい!!」
さらに腕を絡め、はあはあヴォイスを俺の耳元に吹きかけてくるお姉様。
この痴態にまみれたお姉さまも俺の幻覚かな。俺は姉貴の腕を振り払い、もう一度、玄関の扉を開く。
「うふふふふふふ、お帰りなさい……私の健児くんに、夢ちゃん……今日はおち●ちんはとってもヴィンヴィンですね……うふふふふふふ」
ばたん。
また、無意識で玄関の扉を閉めてしまった。
……ここは、ピンサロかな?
「あー、またケンくんが扉を閉めたー……で、でも……ケン君の肉塊で上のお口を閉められるのも……うへ、うへへへへっ……」
いかんいかん、これじゃあさっきと同じ繰り返しだぞ。
そろそろ、現実を直視して次に進もう。変な妄想をしている姉貴を無視して、俺は玄関の扉を再度開いた。
「うふふふふふふ、お帰りなさい……私の健児くんに、夢ちゃん……今日はおち●ちんはとってもヴィンヴィンですね……うふふふふふふ」
俺のお袋はNPCなんですかね。
学校指定のスク水を身に纏った土下座体勢のお袋に玄関で出迎えられた。何だろう、こんなにも嬉しくない女子のスク水姿何てボクちゃん、はじめてだよぉ……。考えてみろ、自分のいい歳こいたお袋が嬉しそうにスク水姿で元気な息子の元気な息子を褒めながら帰りを出迎える……嫌過ぎる……俺が反抗期だったら自殺しているぞこんなもん。こんなもん人の面を被ったただの妖怪以外の何者でもないだろ。出来るだけお袋の姿を見ないように俺は口を開く。
「ただいま。お袋、今日のメシは何なんですか?」
「うふふふふふふ……今日は……私の健児くんの大好きな……パパの脱ぎたての靴下と私の脱ぎたての生理用品からとっただしで……うどんを作りました……前菜にパパのタン塩、デザートにママの一番搾りです……皆様、どうぞ美味しく召し上がれ……」
「あの、気色悪さと猟奇的なもんが合わさって、ものすごく吐き気と悪寒が催すんですけど……そろそろ、一人暮らししてもいいですか?」
「お・い・し・く・な・あ・れ…………にゃあ……ん……にゃあ……ん……うふ、うふふふふふふ」
「いや、あの……そんなメイド的なおまじないというか呪文を唱えられても……」
「あー、お母さん!! な、なななっ何で、その中に、『お姉ちゃんの使用済みの下着』は入ってないの!? ムキー!!」
「お前は画面から出てくるなっ!!」
あー、もうこの方達と関わっていると変な病気が移りそうだぞ。
俺は玄関口で地団太を踏んでいる姉貴と不気味な呪文を唱えるお袋を放っておいて、リビングに向かった。……あれ?玄関の外では溶剤の匂いがしたのに、リビングからは割と言い良い匂い、カレー的な匂いがするぞ。もしかして、玄関先の不吉な臭いはお袋のオーラ臭か?不思議に思った俺はリビングの戸を開ける。
「あー、はろはろー、おっかえりー。お腹空いたでしょー、待っててねー、もうすぐできるからね!」
快活な笑みを浮かべ、元気な声を発する短髪黒髪高校生美少女がリビングで料理していた。
高校の制服姿にエプロン、出るとこ出過ぎず、引き締まったバディ……世の成人男性や老人はその場でズボンを擦り下ろしたくなるくらい美人なお姉さんがそこにいた。
「あ、凪咲さん、来てたんですか」
葵凪咲。
お袋と倫の妹さんである。つまりは俺から見れば母方の叔母ではあるが、一つ年上の女子高生で年が近い。違う私立の女子高校に通っており、家は倫と一緒に暮らしている。天真爛漫で、元気はつらつオロナミ……な美少女である。成程、二重であるし、色白美人であるし、確かに男にもってもてのうっはうはだろう。しかし、俺はこの人が少しどころか大分苦手である。
「えっへへ。そだよー、お姉ぇに『電子レンジとパパが爆発しちゃった……料理、作りに来て』とか言われちゃってさー、とりあえず無難にケンの好きなカレーにしたよ」
「ナニをやらかしたんだようちのババァは……しかし、ありがとう助かった。お袋の悪魔の手料理を喰わずに済んだぜ」
「いいのいいの。それよりさぁ、あの娘……ほら、おっぱいちゃんとの進展はどうなったの……お姉さんに教えてみそみそ」
ニヤニヤとした顔つきでカレー鍋をかき混ぜながら俺に聞いてくる凪咲さん。
こういうお姉さん風を吹かせて、人の色恋ネタが大好きでガンガンにトークで攻めてくるところが少しどころか絶望的に苦手である。ていうか、三姉妹で性格が絶望的に違い過ぎるのは今更ながら何故なんですかね。火星人と地底人と両生類の差くらい違うぞ。
「おっぱいちゃんって……クラスメイトの伊藤の事か? 別に……特に、な、何も? ない、ですよ?」
「えぇー、嘘つくなよー……腹割って話し合おうぜ、ほらほら俺達知らない仲じゃないじゃない? スケベボーイ?」
つんつんと俺のほっぺを指先で突き、意地悪そうな笑みで言う凪咲さん。
ううっ、こういう絡みが嫌なんだよぉ。
「いや、ほ、本当に何もないって。俺って、奥手で、そのアレだし……」
「何を言いまするかー! ケンは絶対にパワハラ系の顔してるから奥手は無いだろー!!」
「ひっ、人聞きの悪いこと言うなっ」
「えっ、じゃあ、エネ夫?」
「何が、じゃあなんだよっ、イメージ悪すぎだろ、それ!!」
「ええ、だって、ケンって暴力的でエロそうな顔つきしてるし……一日中、幼女に対して犬のように交尾してる妄想してるでしょー?」
「じ、人権侵害だっ、名誉棄損だっ、お、お前を訴えてやるっ!!」
マシンガントークで俺の顔つきにケチをつけてくる凪咲さん。
確かに奥手って言うのは少し嘘だが(むしろガンガン攻める)、この人に其れを言いたくない。言っちゃうと面白がって話が明後日の方向に進んでいく可能性があるからな。お、俺は慎ましく愛おしく愛くるしく伊藤とお付き合いをしたいんだっ。笑いものにされるのは断固としてお断りする!!
「ええー……じゃあ、男らしく『俺、お前の事が好きなんだぁ』とか言いながら豊満な両胸を揉みしだして、告白してないの?」
「そ、それのどこが男らしいんだよッ!! ただのケダモノだろうが!!」
「女の子は押しが強い子にキュンッ……ってなるよ?」
「それは意味が違うっ、そういう性に対しての押しの強さはいら……なくもないっ」
「どっちなんだよー、ていうか、そんなこといいから、いえよー、うれしはずかしえぴそーどぉ!」
告白の際はいらん押しの強さはいらないが、いざという場面では……!!
な、何で恥ずかしい中学生なことを考えなきゃならないんだよ。俺は凪咲に腕を掴まれるが、必死に抵抗する。
「おっ。リビングから良い匂いが……って、あぁああ!! 凪咲ちゃんっ、私の健児にナニをしてるの!!」
クソ姉貴がリビングへやって来た。
オ、オナペットと俺の名前を被せるな、コラ。




