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『座薬挿入。それは男が男に望む最高で最低で最強で最悪な神聖な友達儀式ではないじゃろか』(おホモ勃ちK.I.氏)

ユキから『皆と集合写真が撮りたい』という謎のお願いを聞き入れた俺は砂浜をぼっちでトボトボと叱られたエテ公のように歩いている。うーむ、『集合』という言葉をそのままの意味で受け取ると学畜行事に参加している女子生徒や男根生徒、教師諸々、そこいらにいる野良おやぢや野良猿といった彼奴と思われるかもしれないが、恐らくはそうではないだろう。全員となるとキリがないからな。多分、『ユキの顔見知り』の連中を指すのだろう。それは言い換えれば『俺の顔見知り』と解釈できる。まあ、とりあえずはエンカウントした妖怪もとい人間を誘うか。


「おい~っす。プリケン、美少女の水蜜の様な美尻は堪能できとるかぁ」


長い不潔な髪を振り乱し、笑顔というよりヘラ顔で手を振り、駆け寄って来る一之瀬がいた。俺に駆け寄って来る一之瀬の動作が美少女ゲーの海イベントのヒロインのソレと何かダブって見えてしまった自分にかなりの嫌悪感を覚えてしまったぜ。しかし、いきなりこのおちん●ヒロインに遭遇しちまったぞ。さて、どうするかな。


『グラサンが熱を帯びた色っぽい視線で俺を誘っているぞ……どうする?』


洗濯(誤字)シヤガレ。


『A 一之瀬の熱い視線に俺の乳首がビンビンだ……その視線に唇でたっぷり答えてやろう』

『B 突然だが俺はお馬さんゴッコが大好きなんだ……唇で黙らせてから馬乗りになってヤッテやろう』

『C ノヴァヤゼムリャ現象かな……俺はそんな幻想を振り払うためにとりあえず一之瀬の上のお口を唇で閉じ、唾液を流し込むことにした』

『D 生意気なこと言うのはこの口かっ……んっ。俺は上のお口の処女を一之瀬に捧げることにした』

『E 一之瀬君のバカッッ……だいしゅき!! 俺は処女漫画的なその場のノリで一之瀬に抱き着き、下のお口にキスをした』


……せ、選択肢が選択肢になってねぇ!!

どの選択肢を選んでも最終的に行き着く行為が同じなのですがそれは。

もしかしたらもしかするともしかしなくても俺の脳内には腐女子と唇お化けと姉貴とビジュアル系とガチホモくんが生息しているのかもしれない。こんなクソ選択肢は洗濯してさらっと汚水に流してさっさとピュアな心を取り戻したい気分だぜ。


「ん、どしたのぢゃ? 酷い顔をしちょるなプリケンよ……良かったら、ワシの愛用している座薬を貸してやろうか?」


目の前のロン毛のお坊ちゃっまんは俺の表情を見て何か察したのか、ロケットみたいな形をした白いブツを手渡してきた。……何だこれは?これを俺が借りてどうしろと……?頭がオカシイのかこのグラサンおちん●野郎は。もしかしてこのいかれポン●はこの座薬を某の穴に挿入してほしいのか?ワンコみたく四つん這いで全裸の一之瀬が俺に期待に満ちたまなざしと羞恥心にあふれた真っ赤な表情で俺の座薬挿入を待ち構えているのだ。


『あああああ゛っ、もっとぉ、もっとワレをいじめてぇえええええ、あっ、アッ、松阪っ、松阪っ、まつしゃ、まつしゃか、まつ………そんなあっ、ぁあああ、やだぁああああああーーーーーーもぉ出ちゃうぅーーーー!!』


な、何が、出ちゃうぅー、だよ。

あー、やめやめっ、何か直前に変なホモ選択肢が出てきたからものすごい悲惨で卑猥な地獄絵図を想像しちまったじゃねえか!!そうだっ、何で俺が目の前の野郎の事を恋する乙女中坊みたく目いっぱい考えなきゃならないんだよ。さっさととっとこハム●郎のように……消えろっ、四つん這いの全裸男など……ヒッヒッフー、ヒッヒッフー……よし、落ち着け、俺。


「ワン、ツー、スリー……はいっ、消えました!!」

「うぉっ、な、なんじゃ、突然。びっくりしたぞい」


そうだ、目的を忘れかけていたぞ。

記念写真のメンバー集めをしていたんだったな。柚香サァンのご命令で男子を集めてこいと……しかし、知り合いの男子なんぞ……めぼしい野郎なんぞこのグラサンくらいしかいないな。こ、こらっ、そこ!友達少ないとか言わないでくださいお願いします!!


「おい、一之瀬。お前、写真のモデルになれ」

「は、ハァ? い、いきなりじゃな……我にヌードのモデルになれと……我、はずかちぃっ」

「誰が全裸のモデルになれと言ったんだよ。もじもじするな。くねくねするな。そこをもこもこさせるなっ」

「は、はぁ……そうか」

「何で残念そうな顔してるんだよ……ああ、あと言っておくとこれは俺命令じゃなくて、柚香サァンのご命令でな。残念ながらお前に拒否権は一ミクロンたりとも無いのです」

「小鳥遊女史の……? じゃ、じゃあ、もしかして小鳥遊女史は我のアへ顔を熱烈に熱望していると……?」

「…………。さあ、そうなんじゃねえの?」

「うふっ、ぐふっ、ぐへへへっ……そうかぁ、そうじゃったのか……ふふっ……小鳥遊女史が……我に……プロポーズ……うふふふふふふ」


一之瀬はナニかを妄想しているのか、ゲスな笑みを浮かべ、地面に向かって一人で会話している。……プロポーズ何て言葉が出てきたか?どんだけおめでたい頭しているんだこの男は。


「じゃあ、そういうことだから……あと、十分後くらいにあそこに一人で寂しく空しく熱心に潮干狩りしてる幼気なユキのとこに集合な」

「ああっ、わかった! 柚香に我のアへ顔だけじゃなくて、お前も我のテクでアへ顔にしてやるよベイビー、とか言って告白してやる!! 友達として見守ってくれなっ、プリケンよ!!」

「……ほう、それは面白い告白だな。きっと柚香サァンはお前の熱く滾ったその想いに全力で答えてくれるさ」


拳でな。

何か下の名前で呼び捨てにしちゃってるし。もう、知らねーぞ俺。

松岡●造ばりに熱いオーラを放って気合を入れているグラサンを放っておいて俺は次なるメンバーを考える。男子っていっても目ぼしい奴はほとんどいないんだよな。『男子』のくくりで考えると、近所の知り合いのおっさんとか野良雑種ワンコ(♂)とかいるんだが流石に今から呼びに行くことはできまい。と、なると。


「ふぅー、あっついなぁ……こうも暑いのは大変だぞ。……ん? おい、松阪、何をサボってるんだ」


うーんうーんと悩みながら砂浜を徘徊していると、未成熟な若い声が聞こえてきたので顔を上げると目の前に我らが担任であり、同時に俺の叔母である倫がいた。麦藁帽を被り、生徒と同じ体操服(前にも言ったがブルマでなく短パンマンである)を着て、生徒と一緒にせっせと潮干狩りに励む学畜教師の鏡である倫の姿は知らない奴からすれば真面目に頑張っちゃってる近所のちっちゃい女の子にしか見えないだろう。無論、そんなことを馬鹿正直に倫に言えば半殺しにされるのは目に見えているので俺の脳内で止めておくことにする。倫はこう見えても怒らすと怖いのだ。宇宙人お袋の話によると、倫は学生時代、結構なヤンキーガールだったそうだ。ようそんなもんで教師になれましたわ。


「あぁ、倫。いや、サボってるとかそんなんじゃないぞ。今しがた、写真のモデルになってくれる男子を探していたんだ」

「……松阪。こないだのお前のシスコンぶりは凄くドンビ……いや、あれはアレで家族に対する愛の形だからまあ目を瞑ったが……お前、それは、その……だめだろっ……それは、その、お前の叔母として間違った道を歩もうとしているお前を止めなければならないからな……こっほん、だめだぞ、そういうのは。あと、倫っていうな」

「何を心配されちゃってるの俺!? いや、だめって何が!? いやいや、俺別にふざけてるとかそんなんじゃないからね!? と、とにかくだな……俺は集合写真のメンバーに男を探しているんだよ」

「け、けけけんじぃ!! だめだぞっ、だめなんだぞそーいうアブノーマルな恋は!! た、確かに? 世界にはそーいう同姓の恋を許容している国もあると聞く……だ、だが、だがな? 健児っ、私は、私はな、お前を家族の一人として大切に想ってる。だからな……お前には綺麗でストレートな恋をしてもらいたいと思ってるんだ……なのにっ、なのにお前は何故それを分からないんだっ」

「ええっ!? まさかの身内からのホモ疑惑!? えっ、ナニ、『男』ってところに引っ掛かったの!? 貴方、それだけでそんなクソ真面目な説教を俺にかましてるの!? 妄想たくましすぎません貴方っ!?」


真っ赤な顔して、俺を説教する倫にたじろぐ俺。

興奮しすぎて、普段なら絶対家でしか言わない俺の下の名前言っちゃってるし。兎にも角にも早とちりしている興奮気味の倫に俺は懇切丁寧幼稚園児でも分かる言語で事の成り行きと経緯を説明することにした。俺の話を聞いていた倫は興奮状態から徐々に冷静さを取り戻し、しかしながら今度は早とちりした自分の痴態を恥じたのか、たじたししている。何だこの幼女、好きになってもいいですか?しかし、それは叶わぬ仮初の夢。倫理的な面もあるが、俺には伊藤環という大天使がいるのだ……イケメン(自称)は辛いよ。


「何だ……そういうことか、そういうことならさっさとそういえ馬鹿者。恥かいたわ……」

「いやはじめから聞く耳もたんかったのは倫だろ。まったく……『男』って単語を聞いただけでホモ認定されてたら、そこらにいる奴ら全員がホモサピエンスになるだろーが。昔の歌手風に言うならホモイズオーバーだよ」

「ほ、ホモホモうるさいなっ。あと、倫ていうなって言ったぞ私は! 葵先生と呼べっ!! 私はお前の友達じゃないぞ!!」

「げげっ、またそれかよ……。倫だって、さっき俺の事を『健児』って言ったぞ。そこんとこは規律を重んじる担任様としてどーなのよ?」

「……言ってない、ぞ」

「何しれっと嘘ついちゃってるんだよ。言ったぞ」

「言ってない、言ってない、言ってないんだ、私はそんなことは……うん、言ってない」

「何、自分に言い聞かせるようにして事実を捻じ曲げようとしてんだよ。言ってんだよ、はっきりと『健児』って」

「あー。うるさいっうるさいっうるさーい!! お前は黙って潮干狩りをしてればいいんだっ」

「畜生。自分に都合が悪いことがあるとすぐこうだこの幼女は……健児ってなんだよ、俺はお前の恋人じゃねーっつーの」


あーあー、もー、気分悪い。

俺は倫に聞こえないように小声で悪態をつきながら倫から離れていく。

はあ、しゃあねえ。目ぼしい男子なんていないし、モブ的な野郎を……。


グイッ


ぐえ。

く、首がぐ、ぐるぢぃ……背後から何か大きな抵抗が。

恐る恐る振り返るとそこには。


「…………」


般若の様な顔した倫が俺を無言で睨みつけていた。


「何だよその顔は……まだ何かあんのかい。潮干狩りを楽しむ生徒を邪魔する気ですか? いたいのはやめてよね、今日は暴力反対DAYです」

「そんなことは……どうでも……いい。お前、今、なんつった……? 私の事を……よう……なんとか……と」

「…………さようなら」


身の危険を感じた俺はすぐさま歩き出し……歩き出し……歩き……出せませんっ。


「イエッ!! 今、オマエ私の事を幼女とかいったなあ!? 幼女とか私の身体的特徴にいちゃもんつけて、私を侮辱したなあ、うわぁあああんっ、死ねっ、オマエなんか東京湾に重りをつけて沈めてやるー!!」

「ぐえええっ、やべっ……ごめんなざいぃいっ。もうっ、しない、ですっ!! クソ真面目な幼女くたばれとか、お胸が小さいくせに生意気ですとか、考えませんから許してぇええー」

「なっ……おまえぇええええ。年上の私に対してそんなことを考えていたのかぁあああっ、こ、ころぉおおすぅううう……!! 身体的に、精神的に、社会的にお前を嬲りごろすぅうううう!!」


ぎゅううううう……。

俺の首は締まる……ものっそい力に為す術なく……意識は……仄かに暗いどん底に……沈み……落ちる……堕ちる……オチて……あっ、オチタ。 

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