『ねえ……ケンくん、我慢しなくても……たっ~ぷり、お姉ちゃんに出しても……いいのよ? ハアハア(*´Д`)』(最早、見境のないY.M.先輩談)
嫉妬、憎悪、復讐……。
そんなある意味人間の本質とも言えなくもない超絶な負のオーラに包まれた姉貴は今にも俺の愛天使、伊藤をSA★TSU★GA★Iしちゃいそうな雰囲気である。当然の如く、そんな犯罪行為を許さない俺は歴戦の兵隊さんの如く身体を張って姉貴からラヴ天使、伊藤を守るのである。しかし、俺が伊藤を庇えば庇うほど目の前のブラコンの化身の様な輩はその風貌に凶悪さが増している様に思える。ああん、何という悪循環か!助けてえ、僕らのパチえもん!と心の中で必死にパチえもんによく出るパチ台を教えてもらっていると、一人のビキニ美少女が現る。や、ヤッター……僕らのお助けマーン……。
「はーい、何やら揉め事の様だねぇ。お姉さんが円満にゆる~く解決しちゃうよ」
色々なところが発展途上国なお姉さん、Mなんたらかんたら同好会の会長、紅音氏が登場した。俺はどうやら『お助けマン』どころか『不穏を助長マン』を召喚してしまったようだ。今の俺の気分は、目の前のよ う じ ょ のビキニを無理矢理剥ぎ取り、全国のチリチリパーマのオカンのように『反省しませう!反省しませう!!』とか言いながらナマ尻をぺっちんぺっちん叩きたい気分なのだが、いきなりそんなキチガ●イ行為をすれば確実にレイパーの疑いで書類送検されること間違いなしなので、今日のところは我慢します。
「紅音さん……。言いたいことはFUJIYAMA程ありますが、何故にビキニ姿なんですか?」
「おやおや、けんけんは不思議な事を言うねえ。青い海! 白い砂浜! 何処かの謎の島国が見えそうな透き通った海岸線! ……こーんなアバンチュールなプレイスでみみっちぃ体操服姿のけんけん達の方がちゃんちゃらおかしいよ」
紅音さんは溜息を吐き、やれやれと言ったジェスチャーで持論を語る。
青い……海?白……い砂浜?透き通った……海岸線……?今一度、紅音さんから目の前の光景に視線を移す。薄緑色に濁った海、花火やらゴミで汚染された砂浜、何にも見えない海岸線。
…………。
そうか、この人だけ今は別次元の狭間にいるのだな。きっと、この人にしか見えない何かがそのワンちゃんのように円らな瞳に映っているのだろうと無理矢理俺の中で勝手にそう結論付けることにした。
「紅音さんはお花畑の総合商社の様な方ですね」
「? けんけんの言っている意味はよく分からないけど、お花はカブが好きだよ。それよりさー、お姉さんの姿にツッコミを入れたのならもっと言う事があると思うんだよねぇ」
「……はあ。紅音さんを見ながらオ●ニーしても良いですか?」
「…………」
「…………」
「…………あ、そのっ…………あ、アー…………い、イイトモー…………」
「…………冗談です」
「……あっ、あははっ、だ、だよねー! 心臓がバクバクしちゃった……お姉さん、狭心症かなぁ」
ささやかなで清らかな俺の反撃に紅音さんは頬を紅潮させ、胸に手をやり、息を吐く。紅音さんは遊び人で、変人で、まな板娘ではあるが、こういうちょっと少女チックで可愛らしいところがあることはこれまでの付き合いで俺は知っている。本人は全然、自覚してないどころか持ち前の変な明るさで其れを隠そうとしているが。……褒めているようで微妙に褒めてないような気がするな。
「けっけけけけけけつ……ケ、ケンくん!! あ、ああぁ紅音ちゃんの未成熟な幼体を見ながら……まままますたぁーべーしょんに励みたいですってどういうこと!! ろ、ロリ! ロリーコンプレッサーってやつなのね!? お姉ちゃん、とっても悲しいよぉおおおお、うわぁん!!」
ほら、キタぞキタロウ、妖怪が。
今迄、嫉妬の矛先が伊藤から紅音さんにジョブチェンジした。姉貴は赤富士のように真っ赤な顔して、俺と紅音さんを交互に指差してくる。何てウザくて忙しなくて面倒くさい女である。あと、『けっけけけけけけつ……』の後にナニを言うつもりだったのだろうか。
「何が、ロリーコンプレッサーだ!! 意味不明な事を言ってんじゃねえ!! 冗談だって言っただろうが!!」
「うぅううううっ、うー! そ、そんな……『へっへっへ、紅音とかいうこのローリィーのナカを僕ちんが産んだとっても暖かて濃ゆくておいしいホモサピエンスカルピスで圧縮してあげるよぉおお……』とか言って、何時ものように草葉の陰でウヒヒヒってほくそ笑んでるでしょ!? どうせするならお姉ちゃんの顔面かおぱーいか菊門にしてください!!」
「き、気味の悪いことを言うなっ! そして、弟を社会的に抹殺しようとするのはヤメロッ……って、ああああっ、伊藤! そ、そんな切なげな表情で俺を見つめないでええええ!!」
「…………あ、あはっ……あはは、だ、大丈夫……うん、大丈夫……お姉さんが好きなのは別に普通の事だし、私だって弟居るけれど、好きだし……うん、普通、普通普通だよ普通普通普通……」
「えぇ!? 姉貴の弟大好きはその辺のブラコンとレベルというか格が違うっていうか……! ふ、普通だと思うんだよね!? だったらなぜ、俺から目を反らして自分に言い聞かせるように普通って連呼してるの!?」
「け、ケンくん……また、伊藤って……き、きぃ~~!! そ、そんなに伊藤が良いっていうなら……お、お姉ちゃんが伊藤になってあげる! 『け、健児きゅん! 環が愛してあげるから、キスして愛してにゃんにゃんにゃん!!』」
「猫なで声を上げるなぁっ!! 全っ然、一ミクロンも似てねえんだよ!! 思わず、鳥肌……いやサブイボが立ったわ!! 殴っていい!? グーパンでボコっちゃっていいですか、なぁっ!?」
姉貴は声を荒げ、終いには俺の愛天使の似ても似つかないモノマネしだすという暴挙に出る。伊藤は伊藤で俺という人間を誤解しているのか、地面に向かって暗黒面に堕ちたヒロインのようにブツブツと『普通だよ』という言葉を呟き続ける有様。紅音さんのと参戦でますます状況が悪化の一途をたどっているような気がするぞっ。
「やー、やー、ちょっと、ちょっと……待ってよゆめゆめ。ていうか、お姉さんの身体、未成熟だったのね……ロリじゃないし……」
姉貴の言葉が相当堪えたのか、紅音さんは聞こえるか聞こえないかくらいの小声で自らの胸に手をやりながら、そう口にする。や、やっぱり、紅音さんは可愛い疫病神だぁあああああ!
──五分後──
「はあはあ……お姉ちゃん、声の出し過ぎで疲れちゃった。ケンくん、ケンくんのおションション頂戴?」
「『いつものアレ頂戴』みたく言うなっ。出せるわけねーだろーがっ!!」
「え? 出せないんなら、ケンくんの唾液でもいいんだよ?」
「生理的に出せる出せないって問題じゃねーんだよ!! お前にくれてやる俺の愛液……ああああっ、ききききんめぇー!! 実の弟にんなキモイこと言わせんなぁ!!」
「えぇ!? じゃ、じゃあ……い、伊藤には、ケンくんの愛液出せるっていうの!?」
「うん、出せますです! ……じゃなくてぇえええ! そういうのじゃないけどぉおおお、でもぉおおお!!」
「ウェイト、ウェイト……君らさっきからなんちゅー会話してるの。これじゃあ、堂々巡りだよ。危うくお姉さん、本質を見失うところだった……と、いうわけでぇ、じゃーん」
俺と姉貴が再び言葉で戦争しようとしていたところにショックから立ち直ったのか紅音さんが声を張り上げ、看板を掲げる。その看板にはこう書かれていた。
『愛を取り戻せ! ついでに男根ヒロインも取り戻せ!! 【松阪夢ばーさす伊藤環】 必ず愛は勝つ!! 果たして愛力で勝つのはどちらか!! by えむおーでぃ同好会』
上記の様なクソ寒い文言に、スーパーの折り込みチラシの様な手作り感満載の手書きのPOPであしらえた看板が何か出てきたんですけど。何時作ったんだ紅音さん。愛力ってゲームみたいなバロメーターは何だろう。あと、男根ヒロインって……お、俺の事でせうか?紅音さんはニヤニヤしながら俺を怪しげな瞳で見つめている。何故か本能的に咄嗟に俺は下の急所をさっと手で押さえてしまった。
「愛力……何てあゝ、何て素晴らしき響きなんでせう! 伊藤たま●ん! 私と勝負するのよ!!」
姉貴は伊藤に指先を突き付け、声を上げる。
……何か目の前にのりっのりな人がいるんですけど。まだ誰も何にも説明してないけれどスタんばっている方が一匹ここにいるんですけど。
「そ、そんな……しょ、勝負だなんて……」
イキナリの展開に戸惑っているのか、伊藤は慌てた様子である。
そうだ、一般で良識のある人間はこの反応が普通なのだ。嬉々というより鬼気といした表情で口の端から涎を垂れ流しながらやる気満々の姉貴がキチ●イなのだ。そして、何も言わず、ふんすと踏ん反り返っている偉そうな紅音さんもちょっとアレなのだ……アレなのだ……なのだ……(現実逃避エコー)。
「そ、そうだっ!! そんな意味の分からない勝負は男根として反対す」
「んじゃ、まっ。勝負内容とルールを説明するよー」
ひっでぇ!!当たり前のようにスルーされた!!
しかも、俺の台詞喰い気味で!!
「勝負内容とルールはエテ公でもわかるちょーかんちくりん。勝負名は『肉棒ビーチフラッグ』。砂浜に勃っているけんけんの肉棒を先に掴み取った方が勝者です」
演奏しながら譜面を書き起こす作曲家のように淡々と説明する紅音さん。
…………。
い、いきなり何を言ってはりますのんこの方。




