『間接キス。そんなものは砂を吐きたくなるようなラブコメ漫画か身体の形状がおかしい少女漫画にしかないと、そう思っていた時期も俺にはありました(したとは言ってない)』(DTのK.M.氏談)
真夏の炎天下、俺は天使を見た──。
シミ、汚れ一つない微かな柔軟剤の匂いがする精白の上の体操服から除く女神様のように白い柔肉がついた彼女の二の腕。嗚呼、何て素敵何でせう……。是非、伊藤の二の腕で『豆腐でプルプルぷっちんプレイ』をしたい所なのだが、そんなことをこの衆人環視の下ですれば気が触れちゃった人扱いされるが故にグッと性癖衝動を我慢する。実は俺、此処だけの話、伊藤の頭のてっぺんから足の爪先まで全部愛せるが二の腕フェチでもあるんだぜ……ヤダァ……自分でも引くほど、とっても変態だーよう……。
「ま、松阪君……ど、どうしたの……? 食事がおぼつかない患者さんみたいな表情になってるけど……気分、悪いの?」
ヒョアッ!
いかんいかん、伊藤のチラリズム二の腕を見た瞬間、妄想の海にずぶずぶと沈み込んでしまっていたが、天使の様な伊藤の声で現実に舞い戻って来れたぜ。想い人の前で何たる失態か……俺は口元の涎を拭い、壮年の紳士の様にキリッとした表情で伊藤に向き直る。
「ウンッ、ダッダイジョウブ、カナ? ボク、キブン、ワルクナイ、ヨ、ネ?」
「な、何で疑問形なのかな? 本当に大丈夫? 良かったら、これ……飲む?」
伊藤は苦笑いしながら、俺に五百ミリのペットボトルを差し出してくる。
ポ●リ……か、いいね、ポ●リ。うんすごくいい、すごくいいよ、伊藤の可愛いポ●リ。いや、ナニを想像しているのか分からんがエロス原人どもよ。決して、伊藤のポッチが体操服の隙間から見えちゃったラッキィイイとかそういうラッキースケベ的な事じゃないからな。
熱中症予防、水分補給に最適!
水分、塩分、糖分、一挙に摂れます業界最大手の大●製薬から大好評発売中の清涼飲料水!でもでも、糖分がちょっぴり多いから二倍に薄めて塩分をちょろっと足してゴクゴク飲んじゃうと今年のクソ暑い夏もへっちゃらなんだぜ!今年のコミケでも汚い戦士に配布しまくって大活躍だっ!(無料とは言っていない)さあ、皆でゴキュゴキュと気が狂ったように飲みまくろう!僕らの次世代ポ●リス●ット……略して、ポ ● リ !
……伏字にしないとね、色々と問題なんだよ。
大人の世界って難しいね、イヤラシイね、怖いね、恐ろしいね。
「お、おう……伊藤、ありがと、う?」
伊藤からペットボトルを受け取る俺。
ペットボトルの重みに違和感を感じた俺は中身に視線を向ける。中身は三分の二程残っていた。
えっ。これは、その……つ、つまり、つまりの……間接的なアレですね!分かります!
「い、伊藤。こ、これ……大分残ってるけど……もしかして、の、飲みかけ」
「……えっ。……あっ、ご、ご、ごごごごめんねごめんねっ!? こ、こんな私の……き、汚い飲みかけ渡しちゃって……! こ、こっち! こっちだから……は、はいっどうぞ!!」
伊藤は茹蛸の様に真っ赤になって、わたわたと慌てながら飲みかけポ●リをひったくる様に俺の手から取ると、また新たにまっさらな童貞ポ●リを渡してくる。あ……ちょっとどころか絶望的に残念なような?それに、ちょっと恥ずかしくて慌ててる伊藤は何かその……この胸の辺りがとってもキュンってします。今の俺の顔はきっと少女漫画に登場する恋する主人公みたいなキメ顔になっているだろう。間違っても柚香さんの大好物なアへ顔ではない。
「お、おおぉ……さ、サンキュ。で、で、でも……俺は飲みかけでも気にしな……」
「…………え? ま、松阪……く」
「あー、何でもないです、何でも! あーぽぽぽポ●リはママんのびーちくミルクみたいに甘くてとってもおいしいなあ!! あはははっ、はは……!」
「そ、そう。えへへ、じゃ、じゃあ……一緒に、頑張ろ?」
ウンッ、僕ちゃん、一緒に頑張っちゃうよぉ、みんな大好き潮干狩り!!
伊藤のちょっぴり気恥ずかしそうな表情と甘ったるい香りに優しく包み込まれた俺は色んな所が元気いっぱいアン●ンマンになった。嗚呼、こんなクソ学畜イベントは永遠に滅んでしまえニッポン!とか思っていたが、こういうちょいラブコメイベントがあると今迄の苦行すべてがどうでもよく思えてくるな。よ、よーし……いっぱい、アサリちゃんを捕まえて伊藤にかっくいいとこ見せてやるんだ……うへへっ。恋する中学生の様な気分で伊藤のいる隣で俺は再び作業に入る。
「キッ、イッ、イ゛ィ゛イ゛イイイイイイーーーーーー!!」
作業に入った瞬間、いきなりショッカーの断末魔みたいな奇声が響いた。
な、何だ……この黒板を引っ掻いたような金切音みたいな叫び声は。く、くそう、恋する中学生気分が一瞬にして台無しだ。はた迷惑な大声を出している馬鹿野郎は何処の誰かと思い、俺が大声のする方向に振り向くと。
「うわんっ、うわんっ、うっわぁああああんっ!! 酷い酷い酷い酷いひどいようケンくん!! 貴方の愛らしいとっても可愛いお姉ちゃんを無視して、その女狐とキャッキャッうふふしてぇ!!」
うちの姉貴が叱られたガキちょの様に号泣しながら薬中患者のように発狂していた。
なんちゅうタイミング何ですかねえ、ええ、おい?先刻までの夢の様で天使の様な愛くるしいラブコメ展開が姉貴の登場で一瞬にして地獄の業火に焼かれたような暗黒展開になっちゃったぞ。へっ、へへへ変態じゃぁあああーー!!(八つ墓的なノリで)
「うるせえ!! 静かにしろっ、この公害馬鹿姉貴!!」
「うるさくないもんっ! お姉ちゃん、ここらへんの鮑を一生懸命捕まえてケンくんに見せて、ついでにケンくんにお姉ちゃんの鮑も上のお口でぺろぺろ~って味わって貰おうと思ったのに!! それなのに……そこの女豹に唆されて……うわぁああんっ、お姉ちゃんとっても悲しいよぅううう!!」
「真昼間からいきなり泣き顔でお下劣な話をすなっ!! 優等生キャラはどこ行った! あと、貴方、鮑鮑言ってるけれど鮑じゃねえからそれ!! 何でもかんでも目に映るブツをお下品アイテムに変換するのやめてもらえます!?」
「やだもんっ、ぷいっ」
「やだもんって貴方……あぁああああっ、伊藤! 引かないであげて!? ワテクシ、そういう趣味ねえから!!」
「アッ、アッ、ィ、キィイイイイ、イイイイイイイイイイイイ゛ーーーー!!」(←伊藤という名前にアレルギー反応な夢さん)
俺が怒鳴って止めようにも、興奮の絶頂に達しているのか、姉貴は再びショッカーヴォイスをぶちまける。だめだっ、全然まともな会話にならねえなあああ!ああもうっ、どーしてこうなるかねっ。どーして、健やかに緩やかに御淑やかに俺に恋させてくれないんですかねうちのキ●ガイお姉様はっ!あまりのこの世の理不尽さに俺の気が狂いそうだ!!
「お、お姉さん……ど、どうどう……お、落ち着いて、落ち着いて下さい」
「あぁん? だ、だだだっ誰がお、お養姉さんですってぇええ……!! き、きぃいいい!! うっうううう~~……こ、このっ、この、豊満でエロスにまみれたオッパイプリンがとっても憎らしいよぉぉおお……!!」
ぎゅうううううう……!!
暴走を止めようと俺と姉貴の間に入った伊藤のおぱっおぱーいを姉貴は両手で思いっきり鷲掴みしたっ!な、何やってんだあああ!なっなんちゅう、羨まひどいことをっ!!姉貴ッ、ぜひ俺に代わって差し上げて下さいッ!!って、違う、そうじゃない!!脳内で鼻血ブフゥしている場合ではないッ!!
「……んっ……! やっ……やめてっ、いたい……やめてくだ……さいっ、お姉さん……!!」
「うっうわんっうわぁああああんっ、私はあんたのお養姉さんじゃないのぉおおおおお!!」
「な、何やってんだ姉貴! ハアハア……やめっやめろっやめなさやめないでくださいっ!! じゃなくて、やめて差し上げないでくださいっ姉貴っ!!」
真夏の海原の炎天下。
不倫現場に現嫁vs横恋慕ギャルの対決を必死に止めようとするもやし男みたいな構図になっている俺、伊藤、姉貴。因みに当然ではあるが、現美人過ぎる嫁が伊藤、横恋慕キチ●イギャルが姉貴、もやしイケメンズ男は俺、という配役だ。だめだっ、姉貴をとっとと抹殺しねえと、暗い未来しか見えねえ!!
「ふんっ!」
「あだぁ!?」
「ふあぁっ!」
脳内で勝手に真昼のドロドロメロドラマを描いていると、誰か様の気合いの声と共に当然後頭部に衝撃ガガガががが……。俺だけじゃなく、姉貴も打たれてその場で尻もちをついていた。いてててて……幼気な俺を遠慮なくぶった相手は両の手にプリバケツを装備し、俺達の目の前に仁王立ちする。
「あんた達ね、姉弟揃って遊んでんじゃないのよ。伊藤さん、大丈夫? 立てる?」
「う、うん……はあはぁ……ご、ごめんね……小鳥遊さん」
涙目になってその場で座り込む伊藤を介抱する柚香様ぁんだった。
げえっ!?うおおおおっ、や、やばっ……先刻の、ユキに対するアレな営みがバレて殺されゆ!咄嗟に俺は股間を両手で防護する。何故、咄嗟に頭ではなく股間を防護したのか自分でもよく分からないが、男の子の夢が股間にいっぱい詰まっているから、という理由では如何だろうか。
「……何よ。うだつの上がらない万年バーコード係長みたいな顔して。キモイからさっさと肥溜めで窒息死しなさい」
あ……れぇ?
お、怒ってなぁい?い、何時もの柚香サァンだ。いや、いつも通りに何か暴言を吐かれたような気がするが。兎にも角にも、まだユキから柚香サァンにあのことは伝わってはいないようだ。しかし、ユキから柚香さんにあの事が伝わるのも時間の問題なのも事実。さっさととっとこ、あの珍獣を捕まえないと俺の尊くない命がいくつあっても足りやしないぞ。
「うううぅ、柚ちゃん……ど、どーして私とケンくんの恋路を邪魔するの! 『人の恋路を邪魔する者は馬に犯られて悦んじまえ』って言葉をしらないの!?」
「夢さん、意味不明な事を言ってないで目の前の現実を直視して下さい。何時までもそんなブラコンみたいな事を言ってて、その内いきおくれても知らないですよ?」
柚香は姉貴の涙声の反論に冷静に大人的に対処する。
そ、そうだっ、いったれいったれ!僕たちのメゾン・ド・暴力閣下YUZUKA!
「そんなあ……お家にケンくんの幼少期から現在に至るまでの素敵なアへ顔写真を収めたアルバムを保管してるのにい……」
「…………はあぁ、ふぅ。まったく仕方ないですね、どうぞ健児を煮込むなり焼くなり食べるなり好きにしてください、じゅるじゅる」
恍惚の表情を浮かべ、微妙に口の端から謎の液体を垂らしながら呟く柚香さん。
と、とってもドンビキでチョロインだよぉ……柚香サァン……。
「さあ、邪魔者はいなくなったところで……この泥棒猫!! け、けけけケンくんの瑞々しくてとってもおいひいポー●ピッツおちん●んをご賞味しようと虎視眈々とその豊満なおぱーいを存分に駆使して、狙ってたでしょ!!」
「だっだだだ誰が、ポーク●ッツやねんっ!! ア●トバイ●ルンくらいはあります!!」
「あわっ……あわわわっ……ち、違いますっ。わ、わたし……ま、松坂君のお、おち…おっおち……うぅ……ち……うぅ」
「ああああああっ!! やめてあげてっ!! 伊藤っ、別に姉貴の戯言に無理して付き合わなくてもいいからっ!! 貴方、そういうお下劣言語を口にしていいキャラじゃないから!! 純情キャラだから、俺の中でなっ!!」
「や、やっぱり……そうなのねっ!! 『あたしの汚い鮑、舐めプしろぉ、おらぁ、ほれほれぇ』とか言って自分のリアル鮑をケンくんの菊門に押し付けるつもりだったんでしょこの雌犬!?」
「うるせぇ!! てめぇクソ姉貴ぃいい!! 俺の伊藤はそんな事、言わねえええ!!」
こうして再び取っ組み合いのラウンド2が始まった。
といっても、俺が姉貴を伊藤から守る形になっているが。ち、畜生!!どーして俺の身内とか周りには下ネタの権化みたいな奴ばっかなんだよ!!俺の伊藤がどんどん汚されるっ。可愛らしい伊藤のお口から『……おちん●ん』とか下賤でお下劣なワード聞きたくもねえから!!
…………。
いや、やっぱり……ちょっと、ちょろっと、ちょっぴり聞いてみたい……かなっ!?
「ハーイ、ベイビー達。何やら揉め事のようだねぇ。お姉さんが円満円滑に解決しちゃうよ?」
潮干狩りの場に似合わないパラソルの下。
サングラスをかけた遊び人、我らがMOD同好会の会長、紅音さんが俺たちに向かってそう宣言した。
激しく嫌な予感しかしないし、何でこの方、白のビキニ姿なのだろう。完全に潮干狩りじゃなくてプライベートビーチ気分じゃないですかー。しかし、ぺったんローリィなお姿が強調されるそのビキニ姿はそれはそれで悪くないなペロペロと思ったローリィ親善大使の俺であった。




