ある寝覚めの良い朝の自室での出来事です。枕元のベッドのシーツに謎の染みがありました……クンクン嗅いでみるとその染みの正体は(※削除されました)
学校のクラブ部活動というものは大抵が以下の二種類に分類される。
アクティブでアウトドア系の筋肉と男体の事なら何でもお任せあれ……な『運動系』。
ネガティブでインドア系の趣味とセンスの世界で変人さんいらっしゃ~~い……な『文化系』。
説明にちょっとどころか大分偏見が入ったかもしれないが、とにかくこの二種類が世間一般で言われるクラブ部活動であろう。……まあ、俺のこの偏った思考はこの学校に『運動系』がマジホモい方の愛の巣で、『文化系』がオタッキーの巣窟だからだろう。
……が、うちの一見普通な学校では前述の二種以外の系統の部活が存在する。
それは『両刀系』である。い、いやいや……今俺が勝手に頭の中で創作したわけじゃあないからね!?
『両刀系』ってのは別にバイ系でどっちも喰えますパクッーなイロモノ的な感じではなく、『運動系』と『文化系』を兼任してますよーということである。まあ、『両刀系』といってもうちの学校ではその部活……いや、同好会は一つしかないから系統と呼んでいいか分からんけどさ。
「ノンノン、けんけんは『MOD同好会』があーずかるからねー」
ちびっ子赤髪ツインテールがちっちっちと唇で品を作りながら、みんなの前でそう宣言する。このちょっとおぼこい女は東条紅音、『MOD同好会』ー通称、『モズクとお酢を一緒に召しあがる同好会』の第二十七代会長であり、俺の一つ年上の先輩様である。トチ狂った名前の同好会であるが、これでも学校の生徒会で認可された立派な同好会であるから仕方あるまい。恨むんなら名前をつけた初代会長と妻子と養育費とプライドと毛根を失ったこの学校の長を恨んでくれ。
「あ、紅音ちゃん……! け、ケンくんと私は一緒に帰るんだから邪魔しないで……じゃ邪魔しないでくれくれませクレメンス!」
紅音さんに対して、一番最初に反応したのは姉貴だった。
珍しいな、姉貴が辛いもんを口にしてのたうち回る柴犬みたく動揺するなんて。ま、それもそうか。紅音さんは姉貴と同級生で、かつ同じクラスなのだから色々と俺達には分からないちん●的な弱みを握られているのだろう。人心掌握術に関しては紅音さんは得意中の得意だからな。
「ふっふーん、いっいいのかっにゃー、ゆめゆめ? あたし、今日は何だか口に潤いが満ちに満ちてるから、いらん事をしゃべっちゃうかもにゃー……あーあー、えっとねー、けんけん……ゆめゆめってさー……実はぁ」
「あ、あぁあああっ……だめぇ、だめっ……ダメです! ダメなのです!! イってはならぬのです!! 『松阪屋』というサークルで『松阪ドリーム』というハンドルネームで『俺のチン●を姉貴に存分に喰らわせてやるばふぅばふっ』とタイトルで健児×夢ちゃん×犬の近親凌辱モノだったり、『にっ人間の交尾はすっすすすすごいに゛ゃ゛あぁああっーー!!』というタイトルで夢ちゃんと健児の獣姦プレイ物を書いてコミケに出展してるのをばらしてはならぬのですーー!!」
姉貴は紅音さんの脅迫に対し、出来上がったおやぢのように真っ赤な顔して、両手をバタバタさせて、声高々と畳みかける様に姫君みたいな口調でそう言う。え、えぇー……何この人……誰も何にも言ってないのに勝手に自爆しちゃってるよ。『松阪ドリーム』とか痛々しすぎて聞くに堪えないペンネームなんですけど。できれば秘密のまま、墓まで持って逝ってほしかったです。まあ、知ったからには家に帰ったら意地でも問題のブツを探し出して焼却処分しておくか。今の俺は姉貴を思いっきり焼却処分したい気分だけどな!
「あ、あははっ、す、すごいねえ。ゆめゆめ、そんなの一生懸命かいてたの。……お姉さん、普通に引くぜ」
「はい……お家のベッド上で……孫の手を使って……自分の絵本で……ケンくんで……その……抜いていました……ごちそうさまでした……」
苦虫を噛み潰したような顔した紅音さんに対して、姉貴は赤くなって俯いてボソボソと呟いている。
ぞぞぞぞっ……なっ何だろう……鳥肌が、悪感が、蕁麻疹が……やだ、止まんないよう。これがいわゆる『姉アレルギー』って奴ですかね。見るだけで、妊娠しちゃうっていう。身体にも環境にもお肌にも優しくないな、この公害姉貴。
「あ……け、ケンくん……今ので……抜いちゃ、や……だよう?」
「誰がそんなおぞましい絵本で抜くかっ!! 『俺の裏拳を姉貴に存分に喰らわせやるおらおらっ』!!」
「えっ……『俺のち●ぽを姉貴のケツ穴に存分に喰わらせてやるずこばこ』? や、やだあ……ケンくん。そういう特殊プレイはお母さんとお父さんも混ぜてあげよ? きっと喜ぶから……ネッ?」
……ネッ?じゃねえよ。
一家全裸で仲良く4Pですか。頭がちょっとイカれてるってレベルじゃねーぞ。
『おほほ、健児……いいのよ。あの頃の様にお母さんの乳房をじゅるじゅる吸って……も、あ゛ぁん』
何ですか、その究極の甘え方。やめて、妄想でもお袋のしゃがれた喘ぎ声なんか聞きたくなかったよ。
もうやだ、誰か一思いに殺してあげて下さいこの変態姉貴。
「紅音さん!! 今日は部活休みのはずでしょ!? 健児は私と一緒にコモチカナヘビの卵を買いにいくんです!!」
柚香は特売のババアみたく血走った瞳を紅音さんに向け、俺の机を両手で思いっきり叩き、そう声を張り上げる。何でこいつ、一人でこんなにエキサイトしてんのよ……。
「柚ちゃん、けんけんを譲ってくれたらこの……けんけんのパパんのアへ顔ダブルピースの写真をあげちゃうよ」
「ふう……分かりました、紅音さん……私も同好会のマネージャーのはしくれですから参加します」
「こら、こらこらこらこらっ、こらあ! 『……ふう』じゃねえ!! そのゲテモノ写真をそっと自分の懐にしまってんじゃねえですよ柚香サァン!? ていうか、どこでそんなブツを手に入れたの紅音さん!? 息子の俺でもそんなブツの存在知らなかったんですけどっ」
「んー? いやー……ね? ゆめゆめが口止め料に譲ってくれたの」
「うん、ケンくんは知らないだろうけど、ケンくんが御留守の間にケンくんのお部屋のベッドの上でお母さんとお父さんが思春期のサルのようにイタしてる最中に私が撮ったの、えっへん」
えっへん、じゃねえだろ、こら。
胸張って誇らしげな態度でいい笑顔してんじゃねえですよ。ていうか、そんな都市伝説並みに恐ろしい事実は息子として絶対に知りたくなかったです。ほんと背徳感がたまらん変態ばっかだなこの国。ていうか、ベッドに何か変な謎の染みの跡があったんだけど……もしかしてあれって…………い、いや、もう深く考えるのはよそう。深く考えているとしばらく核爆弾級のトラウマになりそうだ……。
「あ、あの……と、東条先輩……み、耳は……あっ、ふぁっ……」
「あむ……ぬふふふー、タマちゃんは……ここ、よーわいんだぁ」
「あっ……やだやだやだやだぁ……東条先輩……ゆ、許してください……」
「ふぅ~……じゃあ、けんけん持って行ってもいいよね? ね……?」
「あうあう……は、はい……」
これからの家庭での自分の立ち位置を再度改めて考えていると、いつの間にか何か伊藤と紅音さんの間で怪しげな会話が繰り広げられていた。あれ、何でいつの間にか謎の百合展開になっているのですかね。これでオカズにしなさい、そしてあわよくば貴方も参加しなさい……ていう神様のご指令ですかね。いやいや、あわよくねーよ。伊藤の相手がまさかのガイズだったら、即フルボッコタイムに突入なのだが、紅音さん……女の子だし……むしろ俺、好きだし……許せてしまう俺の本質はやっぱり女好きなのかな?
「ふう……さーて、と。あとは……むっ」
「……ここは絶対に通さない、絶対に、だ。此処を通りたければ、健にぃを置いていくか、私を倒すしかない」
最後の砦ですと言わんばかりに、教室の扉の前でとうせんぼするユキちゃん。
ユキちゃん?そのRPGのラスボス的な行為は現実ではとっても他の人に迷惑になるから早くどいてあげてね?しかし何だろう……俺の予感では、この中では一番、ユキは弱点らしい弱点はなく、唯一無二の紅音さんに対抗できる小動物ではないだろうか。
「ユキちゃん、お姉さん、チュロスあげるから、そこどーいて?」
「わかった、どく……ありがと。はむはむ……」
もらったチュロスをはむすたぁのように頬張るユキちゃん。
ちょろすぎだろ、ユキちゃん。(*´ε`*)チュ♡ロスだけに。
「さあ! けんけん、柚ちゃん! 今日もはりきって同好会活動しようじゃないか!!」
……こうして。
結局のところ、誰も紅音さんの暴走を止めることができず、そのまま俺と柚香は連れ去らてしまうのであった。
「あの、これ、我、完全に空気みたいな存在になってるよね…………うっうわーん、お前らでしこってやるー!」
背後では泣きながら廊下を飛び出す哀れで惨めな一之瀬の姿があった。




