始まり
原作者になろう!に投稿し損ねた作品です。
小学生向けというよりは青年向けかもしれませんが、読んでいただけると
嬉しいです。ちなみに初投稿です。どうぞよろしくお願いします。
九月一日、水曜日。清々しい小鳥のさえずりとは裏腹に蒸し暑い朝が始まった。
「ううん、暑い……」
坂口ケンゴがこの朝一番に発した言葉は誰にも届かず、彼はため息をつきベッドから抜け出して朝食を作り始める。
しかしこれは彼の日常だ。彼の父親は世界を飛び回る営業マン、母親は彼の幼いときに帰らぬ人となった。当然家にいる機会は少なく、
もっぱら彼は親からの仕送りを受け一人で生活している。
今日は楽しかった夏休みもついに終わり、また学校が始まる日。
いつもならクラスメートと顔を合わせるのを楽しみに、学校へ向かうのだがこの日は少し違った。
学校に着いた彼は校門に立ってる教師に向かって、
「おはようございます」
とごく普通に挨拶した。いつもなら教師も、
「おう、おはよう」
と返してくれるのだが今日はなぜか、
「あ、ああ……」
と腫れ物にでも触れるような様子で返してきた。
ケンゴは一瞬、不審に思ったが、その時は特に気もせず自分の教室に向かった。
彼は教室に入って自分の席につき、隣の席の生徒に軽く挨拶した。
「よう、久しぶり。元気してた?」
しかし、その生徒はケンゴに話しかけられるなり、驚いた顔をして、
「あ、ちょ、ちょっと職員室いってくるな」
といって席を立っていってしまった。
「なんだ? 変な奴だな」
ケンゴは自分の顔に何か付いてるのかと思い、トイレの鏡で確認してみたが、特に何も無いようだった。
教室に戻り、ケンゴは入学当時から仲のいい、黒岩悠斗に声をかけてみた。
「久しぶりだな。お前、夏
休みの心霊特集見てたか? ありゃ怖かったよなー」
しかし、悠斗は話題にのるどころか気まずそうな顔を見せてどこかへ立ち去っていってしまった。
そこでケンゴは、
「何かおかしい…
と思い、考え始めた。
(夏休み前までは皆普通に接していたはずだ。何かがおかしい、何かが……まさか、俺は避けられているのか?
いや、急にそんな事になるはずがない。黒岩の奴とは昨日もメールをしていたはずだ。やっぱり、何か分からないが、異常だ)
キーンコーンカンコーン
そこまで考えたところで始業のチャイムが鳴り、担任の先生が入ってきた。
「はいはい、号令お願いしまあす」
かつてないぐらい担任がいい加減に号令を要求した。
「は? どうなってんだ?」
「起立! 礼!」
「おはようございます!」
「着席!」
しかし、怪訝な顔をするケンゴとは裏腹に学級委員が号令し、みなもそれに従う。
まるで、それが当然の事だ、というように。
「おいおい、うそだろ?」
しかし、この空気についていけていないのは、明らかにケンゴのみであった。
「え~っとまあ今日の予定を説明しま~す。まずこの後すぐに始業式がありましてですね~……」
これまた担任はいい加減にホームルームをはじめた。
ケンゴはあまりのいい加減さにあきれてしまい、途中から話を聞く気も失せてしまった。
「くそ、なんなんだ一体。色々とおかしいだろ。何がどうなってんだ?」
話を聞きそびれてしまったケンゴは、列の最後尾について、大勢に帯同するような感じでなんとなく始業式の会場についていった。
何とか始業式の会場に着いたケンゴは周りを見渡し、どうかみんなが普通の状態である事を祈った。
(やっぱり今はみんな普通だな)
しかし、ケンゴが安堵したのも束の間、始業式が始まり、校長の話が始まると周囲の空気は一変した。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
うわ、文章下手wwwなど思うことがありましたらどんどん
書き込んでいただけると幸いです。
次回も出来るだけ早くあげていくつもりです。
今後ともよろしくお願いいたします。