第三話
「若菜、その中にはあなたのお父さんの形見の品とあなたが生まれてしばらく暮らしていた家での写真が入っているの。」
母は咳き込みながら言った。
「これが私のお父さん。。」
私は初めて見る父親の写真に釘付けになった。
「あなたのお父さんはとても強く優しい人だった。誰からも慕われる立派な人だったの。あなたが生まれてきたことも本当に喜んでいらっしゃったわ」
母はそういうと今まで見たこともないぐらい涙を流した。
父とその横で小さな私を抱いている母の顔がとても幸せそうに見えた。
お屋敷の様な立派は家、広い手入れをされた庭。
「これが私のお父さん、これが私の生まれた家なのね」
母は呟いた。
「そして、その封筒はあなたのお父さんの形見の品」
若菜は封筒を手に取ってみた。中にはたくさんの手紙が入っていた。
「読んでもいいの?」
「いいわよ。その中の一枚はあなた宛の手紙だから」
「私宛?」
若菜はびっくりして母の顔を見た。
そして、若菜へと書かれた茶封筒の手紙をゆっくりと広げた。
父が書いたであろう手紙の内容に、私は一瞬凍りついた。
達筆で書かれていた為所々読めない部分があったが、それでもなんとか読めた。
父が極道だったこと、母との間に私が生まれた事。
父がこの手紙を母に託した後、自ら私達をかばいもう私達の所には戻る事はない事などが記されていた。
最後に、父の血であろう赤い印が付けられていた。
「お父さんはヤクザだったの?」
私は頭の中が真っ白になった。
母は横になっていた体を起こして私を抱きしめた。
「若菜、あなたのお父さんは立派な人だった。極道でもお母さんはお父さんを愛していた。あなたが生まれて本当に彼はあなたを愛してくれた。私達は幸せだった。」
痩せて力がない母の腕の中で、私は涙が溢れてきた。
「お父さんは私達の為に亡くなったってどうして?何か命を狙われる事でもあったの?」
私は聞かずにはいられなかった。