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ファンタジーは現実へ  作者: ぽこぴ
怪物災害
81/85

怪物


『東雲隊…!!怪物撃破です!!!!』

高々と通信機から発せられる言葉に、我ながら少し誇らしく感じた。

それを感じながら、風木(ふうき)斑鳩(いかるが)と合流した。


「お疲れ様です」


「ナイスパンチでした」


2人からの賞賛の声を聞き、口元に笑いを生じさせた。するとどこからか入ってくる足音が聞こえ、くせで身構えてしまう。


「お、お姉ちゃん…!!」


「おっ…さっきの。無事か?」

私の元まで走ってきた少女の傍らにしっかりと両親がついている。


「あのっ!ありがとうございました!!本当に…なんてお礼を…!」


「ありがとうお姉ちゃん!!」

母親と父親は頭を下げてしまい、私は頭を上げてくれと頼もうとすると、少女は私の足にしがみついてきたために動けない。


「…頭を上げてください。鉄壁…という2つ名に従ったまでですから。」


「私!異能者になりたい!!!」


それを聞いた私、そして私のチームメイトも目の奥にドキンっと驚きを秘めた。

異能者になるというのは、死と直接隣り合わせだ。

失敗イコール死、ということ。


「そうか。なら、今度は君が親をしっかり守るんだよ。」


両親に避難所への経路を示した。出来るだけ身を低く、物陰に隠れるように動くこと。周りは私たちが見張っているから怪物が居ても取り乱さず、落ち着いて逃げることを伝える。



「2人とも」


「?」


東雲さんは両手でグーを突き出してきた。どういう意味か分からず困惑している。


「グータッチだ。やったことないのか?」


「え、じゃあ…」


風木に続いて斑鳩も同時に手を差し出してグータッチをした。

「ナイスファイトだった!」


少し時間が経ち、北部の避難誘導は完了し、南部も9割型完了しそうだった。東も西も似たようなもの。

もう終わったと誰もが思った事だろう。


ーーだがまだ終わりではなかったのだ。

津波の水面のように、地面が激しく弾んだ直後。

司令室のレーダーにありえない反応が表示された。


「東京中央部にカテゴリー5出現!!被害範囲は未知数です!!!!」

こいつを野放しにしたら、街どころか、下手したら国がダメになる!!でも…もう人員が…!!



「神楽さん。ここから行けそうですか?」

そうグンマが冷静を装って尋ねる。

「こっからじゃ無理だ!しかも雑魚怪物は依然、出現し続けてる!」



「海斗!!こっから鷹で飛ばしてどんくらいで着く?!」

「今すぐには無理です…!それに鷹の体力がもう…」


基地だけでなく、異能者たちに酷いプレッシャーと焦りがのしかかった状況で、静かに怪物を殺し続けてきたリアが混乱を掻き分ける様に通信をかけて言い放った。

「何焦ってんだ。忘れてんのか?中央部にはまだ、1チーム居る」



「こちら涼風隊、怪物を視認しました。処理を開始する」

冷淡に凛月が言うと、3人が持ち武器を解放した。

凛月はメインに刀、涼風はサブとして刀を持ち、伊織は銃剣を構える。



「期待されてないっぽいから、スっとやろうか!」

怪物は人類への示しにビルの側面へ殴りを入れ、倒壊させた。その瓦礫の上へ立ち、見下ろしていた。


伊織は銃で奴の頭部を狙い、エネルギーを発して命中する。怪物の頭へ一直線に当たるが、ガンっと弾け逸れた。



凛月が一気に駆け出し、共鳴して怪物は右足を高く上げて地面を踏みつける。

その時に放たれた衝撃波で瓦礫が凛月に向かってどんどん跳ね上がっていくが、凛月はそれをスレスレで右に寄って避けた。

やつも即座に反応し、左拳の縦拳が刀と交わる。

刀を振り抜き、怪物の背後へ勢いよく飛び出た凛月は一旦動きが止まった。


「当たった…?」

左に距離を取って飛び出した涼風がその状況を見てつぶやく。


「いや…、、」

スコープから覗いて見ていた伊織は何となく分かっていたのだ。あの攻撃は、外側からじゃなく、内側からのもの。

当たったのか。凛月にも!


怪物の腕が半分に血を垂らしながら裂けていく中。

刀に伝わった衝撃が凛月の体内で爆ぜた。

「がっ…!!!!!」


体がビクッと勢いよく飛び跳ねる凛月。

怪物は容赦なく振り向いて拳を叩き込もうとすると、凛月も同じことを考えていたらしく、右から振り向いて刀を振った。



縦に刀、横に拳で攻撃が重なり合う瞬間ーー


ーー凛月の刀の入れ方が変わったのだ。

真っ直ぐ伝わる衝撃波を左右に逃がす斬り方。よって、体勢を低くしていた凛月の背後へ、宙を衝撃波が素通りしていく事になった。

右に斬り抜いた刀を素早く立たせて心臓の横、核へ突き刺すその瞬間ーー


ガチィン!と金属音が響いて凛月の刀の進行が止まった。



「尻尾…?!」

先端に刃のついた尾が俺の刀と相対していた。

振りほどかれながら至近距離て優位に立たれ、乱撃で押されて後退していく凛月。


乱撃も落ち着き、少しの距離をとった凛月は怪物を睨みつけて思う。

ーー怪物だ、と。

俺がつけた傷も、もう血1滴すら出てない。


「!!」

すると、怪物の背後で涼風がものすごい機敏に瓦礫を伝ってこっちへやってくる。

当然怪物もわかっており、自身のすぐ背後へ来た時に裏拳で沈めようとする。

が、涼風は空中で体を捻り、ギリギリで裏拳を避けてみせた。足を切り崩してから核へ一撃を入れようとすると、尾の刃が阻止をしてきたのだ。



「まじで!尻尾…!!!」

だか、いい隙だ。

凛月が核へ刀を突き立てて、刺す瞬間、怪物が両手を上にあげ、思い切り下へ振り下げると、周囲へ物凄い衝撃波が走って建物や瓦礫やらが薙ぎ払われた。



砂埃が舞う中、涼風の元へ拳を思い切り振り上げて居るところを見た凛月が「涼風!!!」と、叫んだ。

涼風は目線を上にあげて、今にも殴られる寸でのところ。

砂埃の奥で青い光が見え、それが急接近して素早い斬撃を繰り出した。

そして怪物の腕を胴体と切り離す。

伊織はそのまま銃剣のブースト機能を利用し、怪物に体当たりして上空へ飛びでた。


「涼風!」

宙に浮いている伊織の持つ銃剣からチェインが引かれて、涼風の側へ突き刺さっていた。

俺はそれを引き抜き、思い切り引っ張って伊織を自身の側へ寄せた。



怪物は地面へ着地し、咆哮を上げる。



「お前ら!!一旦逃げろ!!」

凛月からの叫び声を起点として行動を始める。

「…!!!」

俺は怪物と目が合ってしまった。まずい。と直感で思う。


「伊織…ここに居て!」


そう言い残して俺は右へ飛び出した。

当然、怪物も俺を追ってくる。


怪物が俺の真横へ飛んできたため、びくっと体が跳ねると同時に刀で左腕を庇った。

重い一撃が刀から肩へと伝わり、その衝撃で吹き飛んで行ってしまう涼風。

高くて飛び上がり、もたれかかっている涼風への元へ降り立つ。


「っ…!!」

俺は横へ転がって避ける。

ーー手を頭の横の地面へ着いて思い切り跳ね上がって上面をみると、視界いっぱいに拳で埋まっていた。



だが、涼風はそれを手で捌き、足をかけて怪物を地面に倒すことに成功する。

異能発動…左拳の、渾身の一撃!!!

バン!!!という肉が肉を叩きつける音が響き渡る。

涼風は直ぐにその場から離れ、凛月達と合流した。



「大丈夫か!?」


「あぁ…!なんとかっ!それと…わかったことがある!」

この声は通信機を通して、異能団みんなへ伝わっていた。


「この怪物…一撃でビルとか倒すから勝ち目ないように思えたけど!戦ったら案外こっちの攻撃も通じるって!!」


「来るぞ」


3人が並んで、起き上がってくる怪物と睨み合う。

「勝算あり!勝てるぜこの勝負っ!!」

明るい声色で伊織が言うのと同時…怪物がものすごい勢いで涼風へ左拳を叩き込もうとする。


その瞬間、伊織は「ブーストっ!」と弾むようにいって空高く上がる。

そこから下へ怪物の頭を狙い、エネルギー性散弾銃を打ち込んだ。

頭へ直撃し、内部で爆ぜて頭部が破裂した。顎から散弾銃が抜け、地面へ当たると2回目の爆発が起き、足元をすくった。

ガクりと左足が崩れ、体勢が大幅に傾く怪物は、それでも左拳を握る。ーーが、その拳は目の前に立っている涼風には届かなかった。

ーーそれは右から刀を振り斬った凛月により、切断されたから。


右腕での攻撃をしようとしたが、ちょうどよく伊織が着地するタイミング、着地する時、銃剣の剣を使って落下によって威力が増すのを利用して腕を切り落とした。

ーー為す術のない怪物。いくら再生が早いと言っても、1.2秒で再生する訳ない。



涼風は左足をバンっと踏み込んで刀を核へ突き刺した。パリン…という静かにガラスが割れる音がし、ひび割れた隙間から血が飛び散る。



「がっ…、、っ?…ぁ」

低い声を出しながら…左側へと体勢を崩して倒れる怪物を、涼風は見下した。

そして、司令部から異能者達へ向けての通達が届く。



『す、涼風隊…!!怪物撃破…!!!!!!』






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