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ファンタジーは現実へ  作者: ぽこぴ
海上都市ポセイドン
75/85

緊急会議

宇久白は暗い部屋の椅子に重い腰を乗せ、大きいため息を着く。

左手で目を覆う。何故かなんて言うのは自分でも分からないが、ことの成り行きを考えるに、涙を隠すためだろう。

机の上に乱雑に置かれたリア達から預かっている紙。

俺はそれをただ睨むーー

異能というものをただひたすらに憎む。


実力があるから信頼がある訳でも…信頼があるから実力がある訳でもない…。


俺に出来んのはここまでだわ、…

最後の一言だけ、無意識に口に出して喋った。


※※※


怪物の出現を知らせるアラームが神崎の元へ知らされ、緊急を要した。


「僕が行きますよ。」


「ひとりじゃ危険だろ?俺も行くよ」


「いえ…ほんとに。行ってきます」


「おい…」

馬場はドアを開けてすぐ出ていってしまう。



ある高層ビルの一室。社員が怪物化し、1人の女性社員を人質にして人間のように立てこもっていた。

窓ガラスは薙ぎ払われ、人々が騒ぎ立てている所目掛けて落ちていくーー


俺は間一髪、人と鉄骨やガラスの破片の間に入り込んで鉄骨を受け止め…破片を払う。


「大丈夫ですか?」


「ぇ、…ぁあ、」


話にならなそうなので俺は鉄骨を人のいない所へどかしーー見事な羽を生やした。

借りるよ、鷹。


思い切り地面を蹴り、空へ舞い上がる。その度に落ちてくる瓦礫を、ムチのようにしなり、縄のように巻き付く蛇の異能を使って1つずつ回収する。


ーー怪物のいる階へ着き、人質と笑う怪物と相対する。

瞬間、人質に当たらず、鷹の羽を弓の矢として撃ち、目にも止まらぬスピードで怪物の体を貫き、そこから血が吹く


怪物は咆哮を上げ、人質から話した手を戻そうとする。そこへ回収した瓦礫を思い切り振りかぶってぶつけた。

ぐちゃぐちゃにひしゃげた肉が見えると同時に、その怪物は右腕の細胞を肥大化させて振り払って来た。


「ッ!!」

馬場は破壊されたために天井のでっぱりに捕まって咄嗟に避けたが、人質の女性はそのまま外へ払われてしまった。


ーーすぐさま外へ飛び出す

「鷹!!蛇!!」

背中に大きな羽を生やし、手からはムチのような蛇を付ける。

思い切り羽ばたいて女性に追いつこうとするや否や、


(お前…飛べんのかよ!)


怪物が俺の横へ並走してきていた。

驚き、スピードを緩めてしまった俺を正すように、その怪物は悲しくも体がなにかの力によって脳と心臓の部分が刀に切られたかのようにに裂けた。


ーーカチャン。と刀を鞘にしまう神崎。

馬場はそれを見ずに空中で死んだ怪物の体を蹴り、それと同時に加速するーー。

女性の足に蛇をまきつける。このスピードを殺すのは無理だ。そう思って、俺は建物へ自身の背中を向け、こう叫んだ。


「サイ…っ!!」

そのまま建物へかなりのスピードを残してぶつかり、大きい穴を開けながらスピードが落ちていく。


「ありがとう、戻っていいぞ。」

頭に着いた砂埃などを振って落とし、人質だった女性の安否を確認してから救急車に預けた。


「こら」

「いたっ」

神崎さんは俺の頭を軽く叩く。


「だから1人はダメだって言っただろ?油断はダメだって」


「はい、すいません…でした。」


「焦る気持ちも分かる。でも団長がいてくれって頼んだんだから、東京に滞在しながらゆっくり探そうぜ。結成理由の中にお前の件があったことも忘れてないから」

俺の失態を笑い飛ばしてくれる。


「すいません、」


「敬語をやめろっ」


「あだっ!」


「それと、謝る時は悪かった、じゃなくてごめん。っていりゃあ良いんだよ」


俺はその後、瓦礫などの処理をしている警察と落合の元へ駆け寄る。


「手伝いますよ」


「ありがとうございます。怪物処理、見事でした。」


「いえ、僕がやった訳では、」


「いやいや、貴方も充分凄いです。私の家族は貴方達に助けられましたし、本当、今も感謝しかなくて…」


警官はそう言うと泣き出しそうになっていた。

きっと、涙脆いのだろうな。

別の場所の瓦礫をやるより先に、落合の所へ行く。


「落合…悪かっ…いや、ごめん。色々、、」

しゃがみながら、落合はへんてこりんな顔をして馬場を見上げては、「んふーー!」と、声にならない声でにっこりする。


「私は荷物持ちです!2人の後始末はぜーんぶ、私がやりますから、安心して戦って下さい!!」


「あぁ…あはは、うん。ありがとうね」

自分が出来る最大限の笑顔を作って答えた。



「ではっ、お疲れ様でした!」


「お疲れ様でした!!またの活躍を期待しております!ご武運を!!」


後始末を終え、警察と会話を交わしてその場を去る。

そんな中、神崎はあることを言ったのだ


「…今回の被害者、務めていた会社の過重労働に耐えれずに社内で倒れたところで怪物化したらしい。」


「そう……なんですか?」


「あぁ。最近結構増えてきたよ。怪物の死体?細胞?そういうのが闇市だったりとかで高額だとさ。」


「俺達もそういう危ない奴らに制裁を加えるって言うか、懲らしめる日が来るんですか?」

そう落合が聞くとすぐに柿崎が答える。


「いや…公安内部とかにそういう部隊があると思う。もしかしたら、スパイとかいたりな。俺らにはできない芸当だよ」


「…頑張って欲しいものですねえ」

馬場はそう外の景色を見ながら呟くと、「あぁ!!」と神崎が叫んだ。


「次の怪物処理行くぞ」


「これもの過重労働でしょ、」

車を走らせ、次の任務の場所までかっ飛ばす神崎だった。


※※※

「炎魔さーーん!!ただいまー!!」

凛月、伊織との任務、2日で3つこなして来たのだ。


「お前ら!!」

玄関から炎魔さんがそう小規模に声を荒らげ、そちらの方を見ると、こちらへなにか缶を投げてきた。


パシッと取って見ると、おしるこだった。


「そいや炎魔さん。おしるこ大好物だったわ」

炎魔邸の広い庭、そしてでかい家の外にある廊下、そこへ座り込んでしんみりとおしるこを飲む。


「あんまこういう話をしたくないのはわかっているが、やはりしないと気がすまなくてな」


「…?はい。」涼風が対応する。


「怪魔が死んだってな」


「そうですね、」

今度は涼風ではなく、伊織が答える。


「どう思った?仲間の死を」


「会ってから対して経っていないし、それに怪魔とは1番まともに話してない気がしますが、やっぱり知り合いが死んだら、悲しいもんですね」

凛月が右手で缶を持ち、左腕で背中の後ろへと手を着いて答える。


「人体実験のような真似は…したくないですねぇ。」

伊織はそう答える。

その間、炎魔さんはそうかそうか。と頷いてばかりだった。そして最後に、俺に聞いてきたんだ。


「俺は、自分が一体、どんな気持ちなのか…分からないんです。悲しいのか怒っているのか…異能を使えるようになってから、感情が高ぶっているはずなのに、覚めきっているみたいな…」


殺すとき、殺される時、死んでいる時。それか、死ぬ時。

どんな時でも俺は泣けなくなった。


「…悪いなこんな話を、こんな時にして。今日異能団本部で会議があるから行ってくれ。結構大事な話だとさ。」


「はい、」



※※※

異能団本部 会議室にて。


「毎度思うけどガラクタばっかだな」

凛月が思ったことをそのまま綴る。


確かに。と微笑して辺りを探すと、リア、グンマ。

それにまさかの東雲隊。そして神崎隊も居る。


大きなスクリーンの下にその人ーー「宇久白湊(うぐしろみなと)」は立っていた。


「端的に言おう」

ピリついたその声色を、全員が感じ取った。


「近々、大きな戦いが起こると思う。日時は知らない!ごめん!!」

先程までの雰囲気とは打って変わって…唐変木な言い分に全員が唖然とする。


「俺が話したいことは2つだ。まず1つ目!」

そう言うとスクリーンにある画面が移る。読み解くと、そこには宇久白を除く、アカデミーの頃の同期達7名の写真と詳細が乗せられていた。


「これは俺がアカデミーにいた時の同期たちで…今は俺以外が全員、反逆軍のメンバーだ。」

唖然に拍車がかかって、全員呆然とスクリーン、ではなく…宇久白を見つめた。


そんな中でも話を続ける。


「少し昔話をすることになるが、反逆軍のリーダーの(らい)とはアカデミー時代、結構いいライバルでな。でも僅差で俺がそのアカデミーの1位の座を取ってたんだ。雷がずっと頑張ってもなかなか俺を追い越せない中、ある奴が担任として来たんだ。それが…1代目団長、樂永変次(らくながへんじ)だ。」


絶望に近いニュアンスの言い方で、「来てしまったんだ、あいつが。」と、雰囲気暗めに語る。

この時はまだみんな、舐めていたと思う。


ーー宇久白さんが背負った業のデカさを。


その後、樂永のことをこう語る。

「あいつはクズだ。有名な投資家の懐へ潜り込んで、金を騙し、俺の…父さんを殺して異能団を乗っ取ったんだ。」


ここらで、神崎さんの表情が暗くなる。


「地獄はここからだ。あいつは…!

普通に考えりゃできない程ハードなトレーニングメニューを作って、俺たちにやらせたんだ!

俺と雷はその異能トレーニングに何とかついていけたが…他の皆は無理だった。

どんどん…どんどん、、!なにかひとつ出来ないだけで価値がないって思われて、捨てられて行ったんだ、」


教卓のような台に、両肘を着いて頭を抱える。

「どんどんいなくなる仲間を、俺は反面教師として捉えちまった…、だから更に頑張って、頑張って…。でも雷は違った。

捨てられていく仲間を見過ごせず、俺と雷、最後の2人になった時、鍛えられすぎたあいつの異能で、樂永に左肩に後遺症が残るレベルで傷を付けてそのアカデミーを逃げ出したんだ。その後…すぐ樂永も消えて、俺はひとりになった。

父さんの遺言で団長にはなったが、7人も捨てられた故、人数不足に陥って怪物による被害が甚大になって行った。それに乗じて悪事を働く奴ら、俺はその2つを同時に処理してきた。怪物を殺したら、次は人。そんなサイクルを辞めたくて、落ち着いてきて頃、リアや東雲、神崎、神楽、凛月、今の主戦力を集めたんだぜ?」


皆、あっという間にその話に聞き入ってしまっていた。

「他にも強い異能者は沢山いるが、俺はお前らの事をちょーぜつ信じてる。だからこの話をして、これからこいつらと戦うかもしれない可能性を教えたんだ」


「…じゃあ、異能団は悪から産まれたって訳か?」

これを言ったのは神楽だ。


「その、通りだな。でも今は違う。お前らが居るから、俺は安心して逝けるよ」


質疑応答の時間になり、丁寧に宇久白は答えていく。

そして最後の最後にあるビックなことを言い放った。


「あ、忘れてたけど、3代目団長、涼風ね」


「ーーはっ?」




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