風属性
私は門を開け、薄暗い雰囲気を感じ取った。
目の前には大きくな階段があり、踊り場からまた左右に分かれている。
「お、おったまげ」
金持ちさまさまだな、さっさと進むか。
扉を開け、開け、開け、。
上階に向けて走り開ける。
「ーー残念ですが、そこまでです。日本の異能者諸君」
「おぅ、こりゃまた…物騒な物を…、」
鎖で柄の手前部分を繋がれた刀を二刀流し、鎖で振り回す様な扱いをすると見える武器。
以前じいちゃんが使ってたとこ見たなあ。
敵が右手で鎖を回し、間合いの有利で1度攻撃をして見せた。
それを私は後ろへ後退して避ける。
相手と私は少し高低差があり、相手の方が多少上だ。
武器の間合いの長さ、それと相性のいい高低差を捨てて相手は私に突っ込んできた。
今度は鎖ではなく、右手で刀を直持ちして右上から左下へ斬りかかってきては避け、左の刀は下から上へと斬り抜けた。
ーーが、それも私はかわして、左手首を掴んでから関節技を決めようとする。
「?!」
だがその手を逆に弾かれ、私はまた別の攻撃を繰り出そうとしたはずが、全てを弾かれてしまった。
私はすぐ後退して距離を取り、先程のように距離を詰めて近距離戦に持ち込むのを警戒した。
ーーだがそこで相手が取った攻撃手段は、鎖を駆使した間合いを活かして刀を振り回す。
「うぉっ!」
その刀は私の体の至る所に切り傷を作り、最終的には頭の横をスレスレで通っていく。
「なんだこれ、おかしいな」
「あん?何がだ?」
「貴方…力を出して、いや…出せていない?何をそんなに恐れてるんでしょうか。」
「…」
、うぜー…こいつぅ、、知ったみてえな口しやがって…。
「なんだよ、早くやんぞ?覚醒とか知らないから」
その時私は既に奴の目の前まで迫っていた。それに驚き、素早く対応してきた。
私はすぐ飛び出てその部屋の上にあるシャンデリアを掴む。
「猿ですか…っ!」
私はそのシャンデリアから壁へ移り、部屋のものを足場にしながら私の後を追う刀を振り切る。
しかしまだ刀が空気を切って追ってくる。その刀の、戦慄とも言える速度を誇っている技を持つ彼…
「…!!何?!」
俺の剣技が見切られてるのも驚きもんだが、この女…掴みやがった!
そう、リアは追ってくる刀を動きながら感知し、完全に見切ったのだ。その掴んだ刀を投げ、空中を湾曲して彼の肩へ突き刺さる。
「…っ!、、貴様…何をそんなに、笑っている?」
「そういう異能だもんで、負ける訳には行かないんだわ」
私は奴の頭を、地面へ思い切り叩き込んだ。
「はいはーい。こっちはいい武器が手に入りました〜どうぞ〜」
鎖の先に刀の着いたその武器を手に取って、そう通信する。
するとすぐ怪魔とグンマが反応した。
「それは良かったですねーこっちは単純な刀使いでしたーどうぞ〜」
怪魔が棒読みでグンマへ流す。
「こっちは私の老人と油断していたため余裕でした。どうぞ」
「んっっじゃ…行きますか!」
「はい」
「うす」
そこで通信は切れたが、お互い上へ通じる階段を登り始めているという事はわかったことだ。
薄暗い塔の中をぐるぐると回りながら登る。時には道の真ん中に、暗いためか淀んだカーペット、道の両端に武器を持った鎧が立っている。
※※※
「凛月、これ行った方がいいか?」
「いや、待機しておこう。」
「…、、」
伊織がなんだが悩んでいるようで、唸り声を微かに上げていた。
ーーすると突然こう叫んだ。
「お前ら!気をつけーー、」
耳へ集中していた感覚が、次の出来事で一気に視覚へ戻される。
塔の頂点、つまりは上りに登った頂上で、瓦礫がもちあがる程の風圧で建物が吹き飛んだのだ。
恐らくそれは伊織の目からは、数本の揺らぐ、薄い線が塔の頂点から見えていたのだろう。
市民の人たちを街へ移動させておいて正解だったな。と3人での行動の結果に安堵する。
ーーするとまた、俺の背後でドプン…と泥の表面を打った様な音がして後ろを振り向く。
「うぇ!まじか?!ごめん2人とも。避難してる人達の方に敵が行ったっぽいから追う!2人は待機してて!」
「……あぁわかった!キツかったら呼べよ!」
おかしい…おかしいものを見た気がする。
鉄格子に体を押し当てながら、水が通り抜けるみてぇに鉄格子に阻まれずに抜けていった様に見えた…!
「予想以上にめんどいかも…!早く行かねぇと!!」
塀を飛び越えて、家の人には悪いが瓦の上を滑り、瓦が外れながらも走って敵を追う。
何件か飛び越えた先、黒い影が見えた。
俺はそれが、先程に見た者だと確信する。
「…あ?」
黒い影はガラガラ!と瓦を滑る音を聞き、後ろを気だるそうに見る。
「待て!!そっちにはーー」
「うわっ、そうだったこのまだこの服…、っ」
俺は言葉を放ちながら瓦を拾い…
「ーー行かせねえ!!」
と、叫ぶや否や瓦をブーメランのように投げた。
その瓦は狙いが逸れて、傍にあった車に当たってゆく。
「!!!」
足場が悪いせいで狙いが…!
屋根から落ちるように落下し、車の屋根へと両足で踏ん張りを効かせて着地した。そしたらすぐ敵の元へ走る。
「なんかきよった…」
俺は敵の頭を右手で振り抜こうとしたが、頭を右へ寄せて回避された。
続けて俺は、回し蹴りをして見せたがそれも躱される。色々な体術を組み合わせ、敵の攻撃を捌く仕方までも考えて次の一撃を浴びせる。
「?!!」
俺はいつの間にか、頬へダメージを食って吹き飛び、空中で何回か回転した後車の側面へ激突した。
「っっが……ぁあ、」
するとその敵は俺の肩をガシッと掴んでこう言ったのだ。
「おい、落ち着け。俺は敵じゃねえ」
「…?!はっ?!」
んな訳っ!と叫びそうになる…が、それを静止させてこう続けた。
「いきなり攻撃してくるつあ思ってなかったが…俺がこっちにきたのはお前をここに連れてくるためだ。お前はここにいろ。」
「……はぁ、」
「飲み込みが早くて助かるな。俺は色々あってお前に素性は明かせない。だがお前がここに居ることで、この奥の港に避難してる人達は助かるかもしれない。これは保証できるが…お前は違う。」
「違うって…何がだよ?」
「死にはしないと祈るが、でも死にかけると思う。だから何とかして対策を考えろ。こっちはこっちで色々頑張る」
無理やり話を進められて、どっからどう見ても怪しさMAXな男だ。
でもその目は、真実しか言っていないような気がしたんだ。
その男は宮殿のほうこうへと走り去って行く。俺はただその場に立って、車にぶつけた背中への痛みと負けたことによる心への痛みでなんとも言えない気持ちだった。
※※※
「クソ…まさか、風だとは、、…」
目の前でどんどん風圧の強くなる風属性の異能者を見て、嫌な気分になる。
それを、3方向から同時に見ている怪魔とグンマも同じ気持ちになる。
だが逆に、こうも思える。
海外遠征組への条件 それは、五属性ともやり合えると認められたわ者達である事。
ーーそれを彼らに自覚させるには十分すぎる相手である。
まず、真正面にいるリアへ小範囲の風で作った刃が飛ばされる。当然、それを奪い取った鎖の武器で防ぐだろう。
左右からの鎌と刀にやる攻撃は、切った感覚はあるものの、空気を圧縮して作り上げた壁によって防御された。
その壁から、それぞれを狙った筒状の無数に回転し、肉をえぐり取ろうとする攻撃が向けられた。
「えっぐ」
リアが1歩踏み込んで切り込もうとする直前、
「下がって下さい!リア!!」とグンマが叫ぶ。
その攻撃はリアに限らずに、上から小さい刃が無数に集合した塊が縦長になって降ってきた。
「雨のっ、、つもりかよ!!」
怪魔が後退した所へ、その攻撃が降り注がれる。
怪魔はそれを確認し、大鎌を逆手持ちして降ってくると同時に下から上へ大鎌を割いた。
するとその刃の塊は、一刀両断されて空気中へとスーッと消えていった。
これは、切れるのか。
ーー切れるのか…、!
そう知ったすぐ、敵に向かって走り出す怪魔。
「怪魔…!」
思わずグンマはそう言ってしまう。
リアはそんな怪魔を見て楽しくなるが、冷静に攻撃を捌きながら、上空を見る。
「…!!」
見たものは、先程よりも空気を集中させ、、濃度をあげているものだった。
鎖同士を重ね合わせ、さらに刀の振るうスピードを上げていく。怪魔の突撃により、焦りだしている敵はこちらへの攻撃の量が減ったのだ。
「ふっ、、、ん!!」
すかさずに怪魔の少し上へ斬撃を入れ、攻撃の耐久力と攻撃力、共に減少させるというサポートを果たした。
「この武器…いいなあ!テンションが上がるぜ!!」
「ナイッッッ…ス、リア。」
全ての攻撃を斬り、奴の首元へ容赦なく大鎌を入れる。ーーが。
「…!!」
ガチィン!!と怪魔の鎌は空中で静止してしまった。
まさにその様子は、全ての方向から鎌へ、凄いほどの風圧をかけられ、動けなくなっている様だった。
「鬱陶しい…鬱陶しい!!!」
そう叫ぶと、爆発のような音がしては、周囲が薙ぎ払われ、衝撃波のようなものを産んだ。
「うげぇっ!!」
リアは外へ飛び降り、着地すると先程まで使っていた武器の鎖が取れてしまっていることに気づいた。
「…くっ、か、怪魔!」
(き、気遣っている余裕がない…すまない怪魔、何とか…自分で!)
何とか前を見ようと手で防いだりで尽力するが、奴の薙ぎ払いで砂埃が舞い目をやられても尚、他の瓦礫が体に当たって私は後退し、物陰に隠れざるを得なかった。
舞っていたホコリが落ち着き、やつを視認できるようになると、怪魔が喉を締められ、苦しんでいる姿が飛び込んできた。
「君達が…僕に勝てるわけがないだろう?異能の質も…才能も、努力も、全てが僕より下の君達に、僕が倒されていいはずがないだろ?」
思重い口を開いたと思いきや、その口から発せられた言葉は明らかに挑発では無く、心の底から彼が思っていることだ。
ーーそんな中、やつは首を絞める力を強める。
「…ぐっ、、あ…が、っ」
更首を絞められて、苦し紛れの声を出そうとする怪魔。
「……っっ!」
リアはそれを見て、激しく目を見開き、奥歯を噛み締める。
リアは踏ん張り、地面が凹み、周りの瓦礫は跳ね飛んだ。
気づいた時には奴の目の前にーー。
薄い、空気を固められた壁がある。
怪魔の扱う鎌でも…グンマの剣術でもビクともしない。そんな鉄壁の防御を素手で殴り、真ん中から髪を剥がすように、穴をこじ開けた。
指先からは血が滲み、激痛のはずだった。だがリアは、そんなのお構い無しに右拳を強く握り、腹部へと一撃を入れた。




