大事な話
「という訳で!!打ち上げでーーーす!!乗ってるかぁい?!?!」
他の客の目が叫び散らかす宇久白を捉えるのは、どれだけ社交的で無い者でも分かることだろう。
「顎が痛え」
「足が痛い。」
「メンタルが痛いっす」
凛月、涼風、伊織の順番で座敷に座ってそう答えた。
「やっぱ今じゃない方が良くない〜?普通にキツそうだぞ?」
「な、なにぃ、?」
「珍しく同感だ。次の任務まで少し時間がある。明後日とか、明明後日とか、色々あるだろ?」
「ぐぬぬ…」
今回は珍しくグンマさんは口を出さずに店から出されたお茶を飲む。
「じゃあわかった!!俺の奢りだ!!どうだこれで!?いいだろうぅ?!」
「うえぃーいカンパーイぃ〜」
怪魔が皆へそう言う。
(よしっ、何とか乗り気にしたぞ…)と、宇久白も内心は必死になっていた。
それぞれが好きな食べ物を頼み、来た順から食べていく。凛月は唐揚げを頼み、伊織はレモンサワー。
俺は刺身である。
飲食が始まり、打ち上げも中盤になった頃、神崎と落合が来店してきていた。
「ん!席空けといたぞい。…あ?海斗はどうしたよ」
「部屋で寝てますよ。起きても多分兄貴の事考えてると思います」
「そうか。」
そんな会話を、マグロを食いつつ横目で眺めていた。
「いてっ」
唐揚げを噛んだ時、顎に痛みが走る。
「大丈夫ですか…?」
「あぁ、はい。筋肉痛より痛くは無いので。」
凛月はグンマさんとそう会話を交わす。
「このマグロうっま!!食べてみてくださいよ!」
「…あ?俺かよ。」
「そうっすよ」
怪魔は一瞬、差し出されたマグロが自分へのものとわかっていなかったようで、驚きながら皿の上に置かれたマグロに手をつけた。
、、本当の意味で手をつけたのだ。
「いや素手?!なんでぇ?!」
「まあまあ、見てろよ。こんな体になってからある事ができるようになってな?…んっ!!はっっっ!!!」
怪魔は手に掴んだマグロを胸のちょいしたあたりに押し当てーー、スー、、、っとマグロが消えていった。
「…は?!えっ!!すげっ」
「口から入れなくてもいいんだが、まあ効率考えたら口からだな」
そんな会話をしている時、リアがどこからか出てきて怪魔の肩に腕をかけた。
「おわっ」
「んっ、んっ、、プハァァ!!なあ怪魔あ、海斗つれないよなあ…そんなに恋しいのかねえ兄貴がよォぉ!」
「飲みすぎ、リア。デロンデロンやんけ」
怪魔がツッコミを入れ、よくよく考えたらある疑問が出てきた。
「海斗…さんの兄貴がどうしたんですか?」涼風は何気なく、神崎、加えて宇久白へ問いかけた。
「…リア、、。」
「うぇぇえ〜、?」
「あいつの兄貴は、今行方不明なんだよ」
「ゆ、行方不明って…え?」
「わけがあってな、色々。海斗達は親がいない時期があったんだが、まだ幼かった海斗の面倒を見ていた男が、海斗の兄貴だ。さっきも言ったが、今は行方不明でな。海斗はずっっっと探してるんだ。」
神崎は重い口を開いて、淡々と涼風達に喋り出す。
「つか!!リアはもっと気をつけれくれよー!本人からめ口止めされてんだからさ」
「ごめんてー、、ヒック」
また食べ始めてガヤガヤしている雰囲気の中、宇久白は伊織のことをバレずに見ていた。
ーー口に出さないだけで気付いてんのか、?
普通に考えて、トップ部隊が訳もなしに来るわけが無い。自分たちの試合をわざわざ…なんて考えるほど自意識過剰では無い。
宇久白は思う。やはり伊織は確証はなくとも、気付いている。この前襲撃してきた反逆軍のメンバーの誰かが、海斗と兄弟である事に。
「……白さん??、聞こえてますぅ〜??うへへっ、、」
リアは酔った勢いからか、ぼーっとしている宇久白の顔に手を伸ばす。
「、あ?、、あぁごめんごめん。何?」
「楽しんでますぅぅ、?。
……てかあ…誘ったんなら飲んでくれよお、」
「はっ! 飲んでるわ!!リアが飲み過ぎなだけ!」
ったく、こいつは、、なんて言う小言をため息をした直後にこぼす。
「凛月凛月!」
「おん?…ごぶっ」
俺は凛月の口元めがけ、ある食べ物を突っ込んだ。
「ふへへ…おもしろお…、、」
「こぼっ、!ごぼぼほぼぼぼぼぼぼぁぼぼぼぅぉ!!」
訳=てめっ!窒息しちまうじゃねえかカスぅぉ!!
「あははは!!涼風お前…、、何突っ込んだん!!?」
「醤油使ってギチギチにくっつけた寿司!もう食えねーから!」
「ご…っっぶぅう!」
ー盛大に吹いた。
※※※
「じゃ明後日もう行くから!それぞれの家に回収しに向かうもんで6時には起きといてねー」
「宇久白さん!ご馳走様です!!」
店を出たすぐで少しみんなで集まった所で、涼風がそう元気な様子で言う。
「ごちそうさまでぇ…っす、ウプ、、」
「吐くなよ?」
「自信ない…うぁっ」
「少し早く行きましょうか…では団長。ご馳走様でした。また仕事で。」
グンマさんは吐きそうなリアを担ぎ、宇久白へそう急かしの訳を説明した。
「ご馳走様でしたっ、す。酒はやっぱ美味かった」
「うぇ〜い、じゃあな。二日酔い治せよ〜」
少し暗めになってきている外をリアを背負って重そうに歩くグンマさん、そしてその傍らを支えて歩く怪魔で構成された3人が、トコトコと遠ざかっていくのを宇久白さんは何やら、悲しげな目で見ていた。
「大丈夫ですか?」
「…!んふ〜〜」
「うぇっ」頭に手を伸ばしてきた宇久白の手からバッ!と逃げ、あるあるの体勢を取った。
「ふふ…。」
「…?」
「あれは、何してんの?」
「あーあれは、缶ジュース一気飲み(いっきの)をかけた勝負で…叩いてかぶってジャンケンポンをして俺がボコボコにした後の図です。やってやりましたよ!」
「復讐ってか?」
凛月は2人の元へ近寄って、「お前残ってるじゃねえか!飲め!」と。伊織ともかく、涼風は飲めておらず、「死ぬと思ったんだよお…つかサイダーでやる事じゃねえだろぉ、」と泣き言を言っている。ここで凛月はたった一言、「飲めっ」といだけ言って涼風の口に押し当てた。
「…ーーあ!!悪い3人とも!!リアに少し用があるんだった!!ごめんな!!今日はあんがとよ!!」
「うぇっ!はい!ご馳走様でした!」
「おら飲めっ」
「ごぼぼぼっあっ、ご馳走様でしたっ」
リアたちを追うように俺は走ると、3人の声がグンッと遠ざかって行く。
ってか…とてつもなく見張り役が邪魔だ!暇かよ!
人が沢山いる場所へ入った時、スピードを落としきれずに少し人とぶつかってしまった。
「おっ…と、すいません」
建物の窓、裏路地などなどを駆使して「…はいこれでおっけ、」と難なく撒いてリアたちの元へ行く。
「おーーい!リア!!」
「うぇ〜?」
「団長、どうしました?」
「ふう…、あの紙、渡してくれ」
「神ぃー、髪…?あぁ紙かあ、えっと…」リアは紙の事を理解した後、ポッケに手を突っ込んで探した。
「えーっ、ヒック。あぁこれですこれえ、どうぞぉぅ、」
「おし。ありがとう。」俺は周りに人が居ないことを確認して、その紙を開いた。
「何だこの文字?
よくわかんねえ、古代の文字かなんかか?」
「それがよくわかんないんすわ。ベトナムの…なんだっけ?」とグンマさんに話題を振る。
「ニャチャンという所まで行って来たんですよ。明日話そうと思ってましたが、場所を移して話しましょう」
穏やか〜〜に言って、グンマさん宅へと向かった。
※※
「適当に座って大丈夫ですよ」
「じゃあ。」
俺は遠慮気味に座ったぞ。俺は。
怪魔は普通にソファにドスッと座り、リアはベットでぐーすか言っている…。
「どうぞお茶です」
「早っ!ありがとう!!」
お茶を1口飲み終わったのをグンマが確認して、話をし始める。
「先程もいいましたが、ベトナムのニャチャンという所に遠征に私たちは行ってきたんです。途中まで、素晴らしいと言える自然が茂って、見たことの無い生物がいました。まあ怪物由来でしょうね。」
そこでお茶を飲む。
「…ですが急に、砂漠が現れたんですよ。」
「本当に急に、だぜ?それまで砂漠の砂の字もねぇ様な感じだったのに、」
「そうですねえ。そこからが地獄の日々でした…ものすごく暑い中、砂漠を進んでいると、ある遺跡が出てきたんです。その周りには、小さな集落?というか、村があり、独特の言語が作られていました。買得を試みたものの…私の異能でもそれはできませんでした。」
「…ほう」
「その遺跡の奥へ行ってみたら…この紙が額縁に入っていたんです。そして地面を見た時に気づいたんですが、ものすごくでかい岩でびっしりと穴が埋められていたんです。」
「なーるほどねえ、…村の人達は、友好的だったか?」
「あーそれはこっちが異能者って知ったらなんか急によそよそしだしたな。きしょかった」
怪魔は寝そべる体勢でそう答える。
「おーけー…ありがとう!その話だけ聞きたかっただけだ。んじゃ帰るよ。」
「見送りしますよ。」
「いいのに別に」
「いえいえ」
玄関で靴を履いている時、怪魔が来ていないのを確認して、グンマに向かって口ずさむ。
「グンマさん リアはもちろんの事で、死なないでくれよ。」
「死ぬつもりの奴なんて基本的に居ませんよ。大丈夫です。リアも守り抜きますから安心して下さい。」
「…そっか。任せるよ。」
そう言って、俺はドアを閉めた。




