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ファンタジーは現実へ  作者: ぽこぴ
海上都市ポセイドン
68/85

光るところ

「反撃してこないけどお、避けるだけの異能なのかな?」

リアは挑発口調でそう伊織に言葉を投げる。


「さあ…ね、、」


リアはとっておいた距離をバッ!と詰めた。


(きた…!)

伊織はまた避けることに尽力する。


避ける系の異能なら、こちらの手数を増やして攻めれば、相手の技量を伺える。


「ッ?!!」


ーーこれは…っ、!


リアの体は収集がつかないくらいに回転し、何発もの乱れ打ちを伊織にやって見せた。

その拳は伊織の顔、腹に目掛けて振られていたが、伊織もまた、それに対して咄嗟に手のひらで威力を流した。


「っぐぅぁ…」

それでもやはり、捌ききれずに何発か食らってしまう。

俺の目の前からリアが消え、目で追おうとしても木から木へと高速で飛び移って行く。


抑えること…次攻撃してきたら何をされたってしがみついてやる。

そこらじゅうから草木を分けることが聞こえて振り向くと誰も居ない、という状況が続く。



(取った…)

伊織に気付かれずに背後を取る。

環境を上手く使い、気配を散らばらせながら背後に回る、そういったことを巧みに使い作戦通りに行くリアを見て、神崎も正直に終わった。と思ってしまう。


「?!」


伊織はそんな背後にいて、分かるはずもないリアの攻撃をーー見ずに頭を左に寄せて避けたのだ。


ーーなんで…っ、避けんだよ


リアは微小を浮かべ、がっしりと掴んで来る伊織を前にする。

ピッ…となにかの電子音が鳴ると同時に、前の方の落ち葉や枝で隠されていた場所がバサッと弾けた。


「波動砲っ、てのは…2個あって100%…ひとつなら50まで出せるんだぜ…」


そう言い放つと、周囲の落ち葉などがどんどん宙に浮かび上がって弾ける。波動弾と呼ぶ空気中のモヤが、私に向かって近ずいてくる。


「…自爆的な感じ?ひとつ隠してたのはわかんなかったなあ」


「がっ…ぁ」


リアは膝蹴りを伊織の腹へ入れて地面に伏せさせてから木刀で思いっきりの抜刀をした。


「この抜刀術ぅ、、確か神崎さんがやってたやつかなあ」


俺のボコられ覚悟のしがみつきと波動弾は、リアに木刀と膝蹴りで呆気なく散る。


「呆気なすぎ…俺の全力、。」

草が生い茂っている所に体を横にして、草のザクッという音をまじかで聞いて俺は降参の意を評した。


※※※


「伊織が負けた時点で勝負は決まったもんですが、まだ続けるんですか?彼らのプライドとかあると思いますけど…」


慈悲や気遣いなんか知らず、神崎は宇久白(うぐしろ)に尋ねる。


「俺が見たいのは勝利じゃなくて、成長だよ?ここで悪成績でも、次の任務には向かわせるつもりだぜ。それにーー」


一呼吸置いて喋り出す。


「それに、一撃くらいは与えるって思ってるよ。

凛月と涼風は、もう何も出来ないヤワじゃないんだ」


その間、海斗と落合の方でも試合の成り行きを熱弁していた。



※※

「いた!!」


涼風は足音を消しながら走って怪魔を発見し、木刀で切りかかる。


ー俺もすぐ加勢に…!

そう凛月が、涼風とカバーし合えるために取っておいた距離感を詰めようとする。


「お生憎…人数有利をつくる作戦は予想通りでした。わかってて、行かせる訳には行きませんな」


「?!!…どっから!?」


急に茂みから出て、涼風とのカバールートを潰して来たことに、狙ったな。と関心と不快感が頭の中に湧き出てきた。



ガコン!!と音を響かせて、2本の木刀が交差する。

次の瞬間、涼風の刀は弾かれた。


(な、なんで?!弾かれたのか?!特別力が強え訳じゃないのに…!?)


俺はすぐ距離をとるべく、後方へ下がる。


「読んでるよ」


「ーーえっ」

左足を浮かし、右足を地面に踏み入れた瞬間、足に衝撃が走り体勢を崩した。俺は何とか体勢を保つために無理に右方向へジャンプした。


「なっ……!!」

そこでもまた、小規模の爆発が起こり、

その背後にあった太い木に激突した。


「読んでる読んでる。ぜーんぶ、、読んでる。上手く行きすぎて怖いくらいだな」

ニヤニヤと微笑を浮かべながら涼風の元へ近づく。

その頃の涼風は下を向き、何やら呟いている様だった…


「ん?」

涼風は逆手持ちした木刀を下から上に投げ、怪魔は少し後ずさりをする、。


怪魔の視界から、座っていた涼風が消える。


「ぐおぅっ…!」


怪魔の裏へ飛び出していた涼風は渾身の蹴りを怪魔の腰に入れた。


「教えてもらい、ましたよ…。動物は進んでいた方向と、急に逆方向へ行く時、多少のストップがかかる…てねぇ!」


涼風はリアがやってみせたバランス力と瞬発力を活かしたあの動きを真似して、怪魔を混乱させようとした。


ーー特段…力が強えって訳でもねぇ、行ける…何とか…っ!

涼風はそう考え、うなじと顎を狙うよう心がける。


(リアと同じく、その場の環境を使ってくる…最近まで高校生満喫の野郎にできる芸当じゃねえ…薬の影響は凄まじいな)


涼風は怪魔の見ている方向にしつこく現れて、バッ!と背後に回り、回し蹴りをうなじ目掛けて入れようとしーーー


怪魔言えど、人間とは思えない蹴り具合で、蹴った傍から驚いていると、バキバキバキッ…!と足に深いダメージを感じた。


「うぁあぅあ…あぁあぁぁぁあ!!」


俺はその痛みに耐えれず、後ろへ尻もちを着いた後、叫びながら右足を抑える。


「はっ…はっっ…。」


「名前つけるなら、、細深型地雷…かな?」


「ふー…、ふー…っ、」

ーそう息遣いをして立ち上がる。


「…おいおい。なんで立つんだそこで。実際は折れて無くても、骨折以上の痛みのはずだぜ?」


「っ…知るかよ、。、」

冷や汗ダラダラで、背を向けながら目だけを少し怪魔寄せる。


クルッと体を回転させ、左手の拳を怪魔へ振り抜く。

当然躱されてから体勢が低く、フリーの右腕で右足を軸に回転の威力をつけて殴ろうとする。


すると突然、ガシッと怪魔が俺の体を掴んで来たのだ。

「それ以上は辞めろ!足ぶっ壊しちまう!

これくらいで諦めるやつだって見くびってた俺が悪かったから、」


そのまま俺は流されるように地面に横にされた。


「…は、はぁ?ざっけんな…俺はっ!」


「たく…そんなに負けんのが嫌かね、お前も、凛月もさあ、。羨ましいぜ全く。…降参だ」

同時期に決着の着いた凛月達の勝敗は、様々な剣術を披露しながら善戦したが、惜しくも顎に一撃を貰い体の痺れで動けなくなった凛月の負けであった。



「はぁ〜〜〜〜い!!試合終了〜〜〜!!!」

大体の試合の行く末を見た後、すぐ終了と宇久白から告げられた。


「おら、背中に乗っか?」


「…いいっす。もう歩ける、」


「強えなお前。」


草の踏みしめる音を聞き流して、凛月の元へ行く。

ー少し開けた場所の隅の木に、背もたれとして寄りかかっている凛月と、その(かたわ)らにいるジィさんが(たたず)んでいた。


「凛月、大…丈夫か?」


「顎が痛え」


「ははっ」

凛月の傍に膝をついて話す体勢に入る。


「私達は…自分を棚に上げる訳では無いですが、先輩として言わせてもらうに…」

おじいさんが丁寧に続きを話そうとしている所、怪魔が割って入る。


「才能はあるぜ。センスも気合いもな、てめえらはもっと強くなると思うぞ」




俺たちはそれぞれに肩を貸してもらい、宇久白さん達の元へと歩いて向かう。

伊織は既にその場に居て、俺たちが着いた時、よう。と軽く会話を交わした。


「そんじゃあ、2-1リアたちの勝ちってこと?」


「そういうことっすね」

宇久白の問に伊織が答える。


その後、宇久白は凛月の所へ行き、座っている凛月の髪の上に手を置いた。


「見てたぜ、お前の戦い。良かったじゃねえか」


「…勝てませんでしたよ」


「なんかじいさんで通ってるけど、グンマって名前があるんだぜ。それにあの人に今のお前が負けるのは仕方ないな」


「なんで、ですか?」


「ふっ、あの人の異能って、武器の扱い方…つまりは取説が頭に出てくる的な感じなんだ。だーかーらーっ、あの人は武器を達人レベルで扱えんだ。負けて当然なんだよ」


「…取説っ、て。まじかよ…」


「でも勝つ方法はある。オリジナルの剣術で戦うことだ。あとは単純にグンマさんの技量を上回るか、とか?頑張れよ?」


「…はい、」

そう2人の空気を遠目から見ていた涼風は凛月に向かって大声で呼びかけた。


「おーーい!凛月!!打ち上げいくってさ!!早く来いよ!!」


「…あぁ、うん!わかったって」


(ーーそれに、涼風隊でフロント張れる1番手は、お前だからな凛月、)




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