英雄
「そちらも無事…では無いようですな」
「俺は左手折っただけっす。涼風は普通に重症で」
「どちらにせよおふた方、病院に今から行くので検査を」
「このぶち壊れた車は?」
「警察に頼みましょうか。」
「そうだねぇ」
俺たちはおじいさんの乗り回してきた車でそのまま病院へと向かった。
病室は406。そこが唯一の空室。
伊織は検査の結果、左手骨折だけで済んで、相応の処置をしたのち、俺の病室に来た
何も話さず、ただじっと…傷の痛さを痛感して時が過ぎていった。
窓を開けて、そこから入り込む暑い風がなんとも言えない気持ちにさせた
「ごめんな涼風、巻き込んでさ」
「…?!謝らなくていいって!つか…」
「つか?」
なんであいつは、俺に伊織が狙われると教えたんだ?
媚び売り…じゃないよな
「ーーーいや、なんでもない」
「そうか。」
病室のドアがその空気を割って入る様に開いた。
「よお2人とも、俺が修行してる時に何やってんだよ」
「凛月!聞いてくれよお!俺なんかめっちゃ狙われたんだぜ?!酷くねぇ?!」
「冗談言ってられるなら大丈夫そうだな。伊織は左手、どんな感じなんだ?」
凛月は苦笑いしながら言った。
「間を開けてちょこちょこ通院してくれとさ。これじゃ研究進めらんねぇな」
「俺に分かる範囲なら手伝うぞ」
「せんきゅ」
そこで俺は寝たらしく、記憶は途切れていた。
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「ん……ぁ」
今…何時??
そう息をするように思い、時計を確認すると朝の6時25分。
(やっべ歯ブラシしてねえ)
俺はそのまま布団をかき分け、ベットから上がって洗面台の鏡に自分の顔を映した。
(風呂も入りたいなあ)
歯ブラシをし終わったあと、俺はベットに戻った。
そこでふと思う。
俺、歩けてるじゃん
テレビを付け、昨日の出来事が取り扱われていた。
異能団への責任追及は毎度のこと、しかし今回はある事が付け加えられていた。
「伊織…ッ!」
「今回の敵の襲撃は異能団の研究者?!それによって出た被害はーーーーーーー」 だと。
九州で有名な東雲隊、守り神と評されているマリア、彼女らのような担当任務の被害者数0を誇る様な優秀な人材を非異能者達は求めていた。
新たな人材が出てきてもなお、すぐに居なくなってしまう。
今どきの新人は、そんな非異能者の期待を背負い、何かある度に注目されていく。
心が折れ、民間企業に転職、オペレーターへの転職、最悪の場合は自殺も有りうるのだ。
そんな状況を、小さい頃から幼いながら見てきた…
だからこその英雄が必要なのかもしれない




