高校生活と薬の目覚め5
ドクン…ドクン…っっ
薬を衝動的に喉へ通し、飲み込んだと同時に心臓が激しく上下に揺れたのを自分で知覚する。
「…っっ、、ぁ」
指先から体の芯にかけて徐々にブルブルと震えてきて、体温も恐ろしく上昇する。
息遣いはどんどん荒くなり、俺はその場に丸く横にうずくまる。
だんだん外から聞こえる声やら音やらが何一つずつ聞こえなくなり、俺の耳には周りはシーンと静まり返っているようだった。
「ぁぁあっ…!!アガっ、、?!」
怪物は、俺の事を庇った異能者の肩に突き刺さった手を引き抜く。
その肩からさ多量の血がぶくぶくと流れ出し、滝のようで、異能者はその場に膝を着いた。
それと同時にーー俺は何も無かったかのように体を起き上がらせ、横にあった車を見た。
そのまま車のドアの関節部分をバキッとへし折って切り離し、それを右の大ぶりで投げまいと構える。
怪物は俺を視認するや否や、威嚇し始めた。
今度は俺の命を完全に絶とうという攻撃をし、それは左側にカーブしながら俺の元までやってくる。
涼風はドアを凄まじい握力で両手で握り、奴の脆くて強い腕を切り裂きながら進んだ。
怪物の目の前まで、肉を切り裂きーー到達した。
そして、左肩から右腰にかけて斜めに鋭利なドアを突き刺した。
「ぁ……が、っっ」
怪物はそう声にならない呻き声を上げて、口からボコボコと膨れ上がった血が露見した。
傷からは光沢を持ったかのように色々なものを反射している血。
それらがそこの地面を赤く染めていた。
「ははっ!」
何故か俺はそこで笑ったのだ。
その後すぐ、怪物の頭を右手でわしずかみして地面に思いっきり引いてから叩きつけた。
そこにも血が広がり奴の顔を上に引っ張りあげる。
原型を留めてはいなかった。
俺は怪物の頭を壊した後、心臓部分へ攻撃を仕掛けた。やっている最中、何をしているのか、自分でも分からなかった。夢の中にいる気分だったんだ。
ーー怪物を殴れば殴るほど、力を増す自分に惚れ惚れしていく俺は、心臓をグシャ…っと潰した後、意識はプツリと簡単に切れる糸のように切れてしまった。