過去への贖罪
神永啓之輔。
反逆軍には珍しくない戦い好きの1人である。
その性格はフェアではない戦いを基本的に望まず、強情で強欲である。
大鎌と大太刀が火花を上げながらその音を響かせていた。
怪魔はたった一つの隙すら見逃さずに手を神永の腹にトラップを仕掛け、そこ目掛けて切り込んだ。
大鎌での切り込みとトラップによって発動した斬撃が同時に発動。
神永は自分の強靭な体に自信を持っている。
だがそんな体も限界に近づいてきていた。
だがそれとまた同時に、神永のチャージ数も27であり、20発分を放てる状態であった。
ズ――ズズズ…ーー。という音が鳴る。
神永は事前に貰っていたトランシーバーを乱雑に取り出して喋りだした。
「撤退だ。追ってこれないようにするのがお前個人の任務のはずだ」
「知るか!敵減らせんならいいだろ!!」
「今じゃ無いってことだ馬鹿が。全体の任務を忘れるなよ」
そのままトランシーバーからの音声は途切れ神永はそのトランシーバーを握りに潰した。
「グ…っ…お前とはもう会えねぇ気がすっからやりたかったが……。じゃあな」
言い放った後、大きくジャンプし、近くにあった大型ビルに向かって剣を振り抜いた。
「やっぱおもしれぇよ異能団!!またやり合おうぜ!!」
少しのガタツキもその断面からは感じられず、それはただ…最初からそうなっていたかのように…綺麗に分断されていた。
(なんっ…つー…馬鹿力してんだ!)
「あとどれぐらいで着きますか?!」
「もう着くよ!!迂回してるって言ったって最高スピード維持してるからね?」
「ほら。着い━━━━━━━」
大きな爆発音のようなものと同時に宙に砂埃が待っているのがかなり遠くにいるのに目視できた。
「ありゃなんです!?」
「……案外相手キツかったかな…。君はとりあえずこのでかい施設の中に用があるなら行ってくれ。外はなんとかしとくから。」
こんなちっさい女の子一人で大丈夫かな…?
と不意に思ってしまう。
「ありがとうございますっ!!」
伊織から言われた裏出口から逆に入り、そのまま3人で少し話したことのあるリビングを通り過ぎた。
「ごめん伊織!土足だった!!」
できるだけ早く!!
そのまま廊下を駆け抜けて行く。
そして伊織の作業部屋への扉を見つけ飛びかかりながら開いた。
「?!」
そこにはモニターを見つめて通信を試みようとしている伊織と背後から装置を手に装着し、殴りかかろうとしている男を見つけた。
「うっ……おりゃゃゃゃあぁぁ!!」
先程までのスピードを活かして伊織の腰に飛び込んだ。
その時、俺の背中スレスレで拳が通って行ったのを風圧で感じた。
すぐ振り向くとタッチパネルにその拳が当たり、液晶どころか内部の底まで影響が出ていた。
「す、すずかぜ…?!」
「てめえ!伊織に何しやがる!」
「助けんじゃねぇよ餓鬼ぃ…。おりゃそいつぶち殺してぇんだ」
「知るかそんなん!伊織は俺の友達だ!」
「それこそ知らねぇよ。イラつくぜお前みたいな奴…ただ正論ぶっぱなしてりゃ良いとか思ってる奴!そいつが昔何をしたのか知らねぇのか?!私情で事件起こして皆巻き込んだクソ野郎だ!10人だぞ?!10人死んだんだそいつのせいで!!」
その訴えか、嘆きか、圧倒された俺は黙ってしまった。
「やっぱお前…。秋原か…。」
「てめぇ……!」
秋原という男は怒りの気持ちを拳に握り、伊織目掛けて振り下ろすまいとした。
俺は伊織を担いで何とか1発を避けた。
「待て涼風!!そいつは!!」
そんな伊織を一旦無視して俺は振り返ってみるとすぐさま秋原は2発目の用意をして直感で避けれないと悟った。
これは身に染みて分かる。
演習でやったどうりの敵の動きだ。
右の殴りは、手の甲で流し、胸を前を通って肘を落とさせ、左足をかけ…て━━━━━━
「ガッ…!」
掛ける直前、俺は落としたはずの肘で心臓を守る肋骨のど真ん中を突かれた。
な…?!
読まれた…?!
武道どころか暑人にすら教えてない闘法のはずじゃ…。
「涼風!!そいつの異能は3秒後の未来視だ!!普通の攻撃じゃ意味はねぇ!」
床に倒れている俺に思い一撃を入れるところ、
伊織は秋原にエネルギーで生み出される衝撃波を打った。
「てっ…めぇ。その武器…!やりやがったなクソ野郎!!あの人の開発を乗っ取りやがって!!」
エネルギー放射型衝撃砲台01。
伊織が政府公認の研究部の1人である頃、その研究部のリーダーであった風弥のしていた怪物細胞から抽出したエネルギーを利用した武器。
俺は大罪人だ。
11人殺し、今ものうのうと生きている。
罪を償って、今すぐ死ぬべきかもしれない。
でもあの人は言ったんだ。
この研究はお前に継いで欲しいって、お前が完成させてくれって。
だから先輩…そっちにはまだ、行けない…。
「涼風!この研究所がどうなったって構わない!何らかの方法であいつの視界を3秒以上奪え!!あとは俺がやる」
「っっしゃァァ!」
すると涼風は、先程の痛みが無かったかのように起き上がり、秋原に向かって走った。
幸いここは物が多く置いてある。
未来視なんて、敵の未来を見て避けてりゃ無敵に思えるけどなあ…
どんな異能にも限界値はあるんだ。
「過去がどうとか今は知らん!!ただひたすら…俺は伊織の役に立ちてぇ!!」




