高校生活と薬の目覚め4
「おわっごめんなさ...ーーい?」
飲食店から出てきた人に俺はぶつかってしまいそう言ったが...
その人の様子が明らかにおかしかった。
首や頭がガクガク震え、目の焦点はあっておらず、顔色が最悪だった。
そしてみるみるうちに...彼は怪物へと変わり果てた。
体中がボコボコと肉が膨れ上がり色白になりながら
がァァァ!と叫びをあげている。
「ーーえっ」
俺はそれしか言えず、その場に尻もちをついた。
そして俺の目の前にいる奴が右腕を上にあげ確実に俺を薙ぎ払われてしまった。
為す術なんか無く、俺は薙ぎ払われて背中を車の側面にぶつける。
「っっっ…つ!!?」
背中に走る猛烈な痛み。
俺は嗚咽すら漏らさせてもらえず、その場にうずくまってヨダレを垂らしている。
その瞬間...どこからか何かが弾け飛ぶような音が聞こえ、目を上げる。
そこには人が立っており、手先に注目すると、丸い機会をはめていた。
ーー俺は一瞬で確信した。
異能者だと。
瞬く間に異能者は、怪物の身体中を乱打する。そしてすぐ、俺と同じように道路の脇に避難する。
と同時ーー奴が右腕と左腕を重ねて、融合か合体か、たった1本の腕の成したのだ。
その腕とは思えない腕が、こちらへとんでもないスピードで迫り来るーー。
そして俺の目の前には血がびちゃっと飛び散る。
見上げると、俺を庇って右肩がえぐれてしまった人が奴の腕を掴んで離さなかった。怪物を固定しているのだろう。
「あ…、、ち、血?」
守ってもらったのにも関わらず…反射的に避けて俺は無力にも後ろへ尻もちをつきながら後ずさりした。
ーーすると、例の瓶がポッケから落っこちてチャリチャリと音を立てた。
(家から出る時...持ってきたん、だっけ…?)
その出来事は俺の目を釘付けにするには十分なほどだ。
ーー不意に俺の思考にある考えが一瞬にして浮かぶ。
何も考えていなかったのか。俺はもうすぐ瓶を割って開けて薬を...なにかの決心と共に喉に放り込み、
ゴクンっ。という音が耳に響いた。