たった2人助けただけである
「正義を主張するから悪が生まれる。だから何も最初からなけりゃいいってのが結論な訳だが…。俺はそれに納得出来ない。だってそれは、憎悪や復讐心を無視した場合の話だから。」
「ご丁寧に持論話か?自分の考えを押し付けるタイプは俺はそんな好きじゃないな」
背後を取った…
そして拳を振ったが。そこには拳一個分の穴がぽっかり空いていた。
「まじか…!ッア゛ッッ!!」
(こいつの異能は確定で雷系だ。自身の体を…雷の粒子かなんかに変えて攻撃をかわすことも出来んのか…!)
「考える時間はないぞ?どんどん行くからな。」
(さっきは俺が背後を取っていたはずなのに…いつの間にか俺は奴と向かい合わせになっていた…。つまりは体全部粒子にして体の向きを反対にしてから体を再構築…ってか?それに加えて瞬間移動か…!)
手は…ないように思わせてある。
「へぇ!やるね」
「すげぇ。」
先程まで背後を取られたり電撃に当たっていたりしたが、しばらくしてからそれらはほぼ当たらなくなってきているのだ。
(なんかしたなあこいつ。先程の数秒の間に…)
「……あぁ…そういう…事。」
「もうわかったってか?いくらなんでも早すぎねぇか」
(やっぱそうか!こいつ!この部屋いっぱいに自身の熱量を満遍なく散らしているんだ!)
俺の瞬間移動はほんとにワープしているわけじゃない。雷が移動するその瞬間を利用しているだけだから、実際はしっかり空中を通っているんだ。
だからこいつは空気中に自身の熱量を放ち!俺の行動を知覚して攻撃を避けられていたんだ!
俺がそもそも雷の異能者って時点が曖昧なはずだ。
そこからまた数々の憶測の賭けで…!俺の攻撃を!
このガキはまともじゃない!
ギャンブラー性質。
「色々な過程を経て、俺の攻撃をかわすまでにいたる…か。でも悪いな。時間が無いんだ。終わりにしよう」
「逃げようって?そうは行く━━━━━」
次の瞬間。バチン!と弾く音が聞こえ、俺は意識を失った。
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「あぁ…どこだここ。」
救急車の…中?ぽかった。ので外へ出る。
「おお…暑人さん。目が覚めましたか。治療はすんでいるので外へ出て大丈夫ですよ。」
「ありがとう、ございます。」
よっこらせ。と起き上がり俺は外へ出た。
マリアはどこだ。もしかして…あのあと、連れていかれ、
「あー!暑人ぉー!こっちこっち!!」
クソでかい声で俺を呼ぶ声。その主は当然のごとく涼風のものだった。
「ッ!!」
俺の目には微かな水が浮かんできた。
警備がちがちの中にベンチが1つ。
そしてそこには、座っていたのだ。意識も戻っている。
今すぐ抱きつきたい…ところだが…。
やめておこう。マリアは凶暴だけど、女の子だし。
それより俺はすることがあるのだ。
俺がやられた後。あのやろうと涼風2人きりだったはずだ。だがマリアも涼風もいる。つまりは…。
俺は走り出した。あの人物に向かって。
そして。抱きつく。
「おわっ!なになに暑人!俺はそんな趣味ないって!」
「あはは。バカかよ。…ほんとに…ありがとうっ…!」
泣いて、るのか。そして暑人は俺から離れ、握手を固く交わしてまりあさんのところに行った。




