中途半端にキレる
鉄の棒で拘束された腕に力を入れ、振りほどこうとするとその棒が着いている壁のれんがが剥がれてしまった。
「はぁ...ちっ.....くしょぅ...」
やっちまった...。さっきの鉄野郎は多分涼風と今揉めてることだと思うが。
何も起こらないわけがねぇ。一刻も早く涼風に戦い方を教えないと奴らに奪われるのも時間の問題ってとこか。
そう小声で言ってるのかわからん程度につぶやき、思いっきり手に力を入れるとメキメキと鉄が変形し。
━━━━ガキィン!
という音と共に俺の両腕両足が自由になった。
まるで羽の怪我が治った直後の鳥の様に。
走りながら地面に落ちている刀を拾い、本部へ向かった。
「おい伊...織...?.....は?んだよこれ。」
「よぉ凛月...どこいってたんだよ。」
「いや...拘束されてて...てかなんだこれ!何があったんだよ!」
恐らくは打撲を左手にしたであろう伊織はその部位に抑えながら苦笑いをしていた。
「知らねえ。外出りゃこんな有様だよ、てか...マリアの位置特定が邪魔されて今やべーんだ。」
涼風がいねぇ…。
どうするどうするどうする!。まさかもうとっくに連れてかれたのか?!
多分この時の俺は顔が真っ青で俯いていたと思う。
それを見かねたのか伊織が俺のほっぺたを両手でペチッと挟んできた
「お前だって涼風の飲んだ薬の事はよ〜く知ってるはずだ。研究所が何者かに襲撃されて持ち出される時にデータ破損。その情報が異能団の中で広まった時に言われたろ?あの薬の異能が1番発揮されやすい時は...怒りを感じた時だ。それに連れ去られるだけなわけがねぇ。ぜってなんか起こ━━━」
バッコォン!と避難民のいるビルの一室...いや数室分が一気に爆発した。
「俺が話してる最中だってのに」
「あれだろ...。絶対...。」
そのまま爆発音と共に建物を少し壊しながら建物から建物へと1人の影と空を半浮遊状態でまた飛び回るように動く影がひとつ見受けられた。
「やっぱ俺の言った通りだろ?じっとしてらんないってあいつは。」
その破壊の連鎖がこちらまで一瞬でボロボロの服装でやってきては俺たちの横にタッと着地した。
「はぁ...はぁ...。あ?!なんでここいんだよお前ら!逃げろよ!」
「「こっちのセリフだよ...」」
俺はそのまま地面に崩れ落ちてしまった。
なんかもう...疲れた...。
涼風はこの後。
もっとややこしい事が起こるなど思ってもみてはいなかった。
らしい...。




