一瞬
俺は鉄くずやろうを地面に叩きつけ、奴が操っていた鉄の破片が地面に砕け散った。
敵がこいつだけなわけがねぇ。何よりも少し疲れたな...。
「ッッ!」
「やっと無断したなぁ...俺の異能は操った鉄から手を離してもその鉄は変形したままなんだぜ?まあ触れている間しか鉄は操れねえ...。でもなあ!鉄から手を離しても少しの間だけは遠隔で操れんだ!お前はそこで固まってな!はは!」
まじかよ...!やられた...!あいつが遠隔で操作出来るなんてのも少し考えればわかったはずだろ!
なんで考えなかったんだ俺は!
そう...今俺は地面に砕け散った鉄の破片が周囲にある建物のおそらく1番頑丈な部分と俺の体をがっちり固定しているのだ。
こんな状態じゃ俺は動けないし異能も拳を振れなけりゃ使えない...。
まずいな。今すぐ戻らないねぇと!
奴はまた鉄を操って涼風達が逃げた方向へと行ってしまった。
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「おい!敵から襲撃された!涼風を匿ってくれ!」
「ん?どうした風木!それと涼風?!何があった?」
「い、いい伊織!やべぇ。凛月が戦ってくれてるけ
ど...」
「ちょっと待て!もうマリアのいるところが解析出来るとこなんだ!研究室なら匿れる!こい!」
「んで...何があったんだ。」
「なんか急に涼風が連れてかれて、追ったら鉄を操るぶっ壊れた異能持ってる奴が出てきてな?凛月が残って戦ってくれるんだ。」
「ごめん...俺の...せいで...。」
「だ、誰かぁ!!助け!」
研究室のドアが一瞬開けられたがなにかに引っ張られてその人は外で連れてかれてしまった。
すると休む間もなく外からものすごい怒号や騒音。
そして悲鳴が絶えずに聞こえてきたのだ。
1度入った研究室からすぐさま出ると外には人々が大混乱して、色々な人が様々な方向へと走り去っていった。
一般市民はもちろん科学者や異能者も交えた血が地面に飛び散っていて、それはもう本当の地獄絵図と化している。
俺は放つ言葉も失い、ただ呆然と眺めていることしか出来なかったが...。
「風木。戦う準備だ。鉄を操るってのはあいつだな?」
「あぁ、そうだよ」
伊織は自分のカバンから両手首のしたり筒のようなものを取り付けた。
風木はさっきと同様に手のひらに何かを貯める様子を見せる。
そして奴は俺を見つけるな否やすぐさまこちらに鉄を触手のように操って近づいてきた。
「お前...凛月はどうした?」
「凛月ィ?あぁあいつか。あいつなら今縛り付けになってるよ!ははは!」
「ちっ...」
明らかにそう伊織は舌打ちをかます。
するの伊織は両腕を奴に向け、バァン!と何かを放った。
だがそれはやつには見えてたらしく、鉄でその拳銃らしきものから放たれた玉は鉄で防がれてしまった。
「邪魔...だなあ。」
「...は?」
一瞬にして...伊織は吹き飛ばされ建物に激突し、いくつもの穴を空けてしまっていた。
風木はその次、足を捕まれそのまま奴の鉄の思うつぼでかなり遠くに投げ飛ばされた。
「あれぇ?なんだっけか。異能団って守るとかなんとかを掲げてるんじゃなかったかぁ?一瞬でやられてますがな!ははははは!」
俺は多分、その時何も考えてなかったんだと思う。
横から心強い2人が一瞬で俺を置き去りにしてどこかへ消えてしまったのだから。
俺はそれが受け入れられないし、信じたくなかった。
だが...その後次々へと俺には最悪が降り注ぐことになるなんて。考えもしなかった。




