異能解放
「風木ぃぃぃー!涼風連れて本部に逃げろ!」
その声を聞き、半ば半信半疑の様子で風木は歯ぎしりをしながら涼風を連れていった。
ーーそう。それでいい。この鉄くず野郎は俺が殺す。
「やろうぜ鉄くず」
「追わせてはくれないのかよ頑固やろうめ」
奴が操る鉄の俺の刀がぶつかり合い、ガチィン!と音を鳴らしていた。
俺は道路の上や街灯、建物の屋上等を駆使し、飛び移りながら奴の背後に回ろうとする。
その際に鉄くず野郎は鉄を細長い針のようなものに変形し、俺に向かってものすごいスピードで投げて来たのだ。
それを避けるかに見させながら俺は奴と距離を置いた。
俺の勘が当たれば...そろそろ...。
「ったく...!どこまで逃げりゃ気が済むんだよてめえ!」
「お前。だいたい50m離れてるところには攻撃出せねーだろ?」
このガキっ!どうしてこの短い戦いでそこまで分かんだよ!
.....やっぱあの人の言った通りって訳か。普通の頭は対してって感じの良さだが...。
バトルに関しちゃ奴に勝てる奴はそうそういないとか。
なら次やることは決まってんだろ。
「あ?!てめえどこ行きやがる!」
「別にお前と無理して戦う必要はない。このまま空から攻めさせてもらう」
奴は柱のようなもので上に居場所を作り、そこから涼風たちの位置を補足し始めた。
俺はその根元を拳や刀で殴りきろうとした。
が当然切れるはずもなし、なら...。
「お前...。ガチモンの猿かよ!」
「はは!むちゃくちゃ怖いなこれ!」
奴がご丁寧に立ててくれた図太い横向きの何本にもなっている鉄の柱の上を走り、奴のほぼ空中戦状態になった。
刀を右手に携えて、姿勢を低く、無数にある鉄の柱をかいくぐってゆく。
「ッ?!」
「かすったのか...お前やべーな。こんだけやってやっとかすりかよ。」
ーーーーちっ!
奴はそうだ。1番俺を殺す確率の高い戦法は1度俺の乗ってる...いや操ってる鉄を全て手の中に収まるくらいに凝縮し、俺の体勢を崩すこと!
急に地面が無くなったら俺は空中に放り出されたようになるからな。
そこに凝縮した鉄の玉を空気砲のように前方に放てば終了だ。
でもな...。んな事は最初っから考えてた。確信に変わったのは俺の周りの鉄が奴の手に向かって集まっていってとこを見た時だ。
俺は思いっきりジャンプし、まだ上に残っていた鉄にふんばりを入れ、奴に向かって思いっきり突っ込んでいく。
「まあ!ここからはもう賭けだがな!」
奴は案の定、俺に向かって触手のように前方しなる棒を飛ばして来たのだ。
ーーーーー「異能解放!!」
俺は拳に手当たり次第に鉄を粉々にして言った。
次々と...
次々と。
「はぁ?!!んな事ある訳がっんがァァ!っ!」
奴の周りの取り巻きは俺の拳に散った。
そう.......こんな芸当ができるのは今のところ凛月のみ。
拳で鉄を粉砕...。
これを可能にしているのは彼のバトルIQと彼の身軽さ。そして単純な異能。
その単純であるが故に強力な異能。それは2連撃である。
...。
ただの2連撃でこんな事は起きないだろう。
こればかりはもう。彼のその身体に聞いてみる他、ないだろう。そして鉄くず野郎の腹を捕え、そのまま地面に押し倒した彼は安堵の気持ちでいっぱいだっただろう。




