第43話 明かされる衝撃の真実
四人で交代して荷物を持ちながら何とか社宅に帰還して、皆でアイスをほおばっていると、シュウさんのスマホにメールが届いたようだった。
「お、社長からだ。明日は全社員、九時に大会議室に集合、か。何かあるのか?」
シュウさんが不思議そうにつぶやいたが、僕達に柊さんの真意など分かるはずもなかった。
そして間髪入れずに、またシュウさんにメールが来たようだ。
「今度はケンタからか…。お、今夜とうふや風斗で退院パーティしようって! 皆で行くぞ!」
「とうふやふうと? 何だそれ」
とうふや風斗、その名前を聞くのは久しぶりだが、とてつもなく美味しかったことは忘れようのない事実だ。ピンと来ていない様子だったジョンとカルザにその店の素晴らしさをシュウさんと一緒に説いたが、よく分かっていない様子だった。
「白い四角形の食べ物? ホントに美味いのか、それ?」
「そもそも食べ物かどうかさえ怪しいですね……」
中々豆腐の良さを分かってくれない二人に僕が頑張って説明していると、突然シュウさんが声を上げた。
「マジか…、時雨は来れないって、退院パーティ」
「え、何でですか?」
僕は驚いて、すぐさま聞いた。
「明日の準備、だってよ」
「明日のって……、さっきのメールの?」
「多分な。あと、お前にもメッセージがあるってよ」
シュウさんはそう言って、スマホの画面を僕に見せてくれた。
『レイメイ君、明日俺達は、君にある事を伝えないといけない。一応心の準備をしておいて。あと、明日はジョン君とカルザ君も連れてきてくれ』
時雨さんからのメッセージはそんな内容だった。
「……明日、一体何があるんですかね?」
「それは分からないが……、少なくともお前らに関わる事ではあるだろうな」
シュウさんは僕達三人を見ながら言った。
「もしかして…、元の世界に戻る方法が見つかったのでしょうか?」
「あるいはスザンナが見つかったか…、どちらにしろ良い事だな!」
二人はそう言うが、僕はどうしても心の奥底にある不安感を取り除くことができなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
結局、その日は一度も時雨さんに会わずに一日が終わってしまった。
そして、ついに朝がやって来た。
「……シュウさん、シュウさんは柊さん達が伝えたいことって何だと思いますか?」
本社へと向かう途中、僕の口からそんな言葉が漏れていた。
「僕だって良い知らせだと信じたいです。でも、何故か物凄く不安で……」
「……過度な期待はするなって言うけど、だからといって『最悪』を考えすぎるのも良くないと思うぜ。まずお前が希望を持ってなくちゃ、どうにもならないだろ」
シュウさんは前を向いたまま、そう答えた。それはまるで、僕に前を向けと言っているかのようだった。
社に着いて、シュウさんに案内されて大会議室に足を踏み入れた。
既に社員の大半は、席についているようだった。
その部屋の中には、椅子が向かい合ってずらりと並べられた巨大な机があり、その上から高級感のある照明が部屋全体を照らしていた。床から壁、机に椅子まであらゆる物が白く、不思議な威圧感が感じられた。
机の先にはホワイトボードが設置されていた。そして、そこに時雨さんと九十九さんが立っていた。
「来たか。四人には前の方に座ってもらうよ」
九十九さんに促され、僕達は最前の席に座った。
時雨さんも九十九さんも、どことなく緊張している様子だった。
「やっと来たか。遅かったな」
僕達の一つ後ろに座っていたビリーさんが話しかけてきた。物凄く重々しい空気が漂っているが、彼はいつもとほとんど変わらなかった。
「ビリーさん…、なんかいつもより楽しそうな感じですけど、どうしたんですか?」
「今から社長が話すのは、何となくだが『異世界』についてな気がしてな。それでワクワクしてるんだ」
「おいビリー、少しは空気を読め。今はそんなウッキウキな声で喋るような場面ではない」
異世界が絡んでテンションが上がっているビリーさんに対し、シュトラウスさんもいつも通り彼にツッコんだ。
「さあほら、社長殿が来られたぞ」
シュトラウスさんが言うと同時に、柊さんが会議室に現れた。柊さんはこれまでに見たことが無い程に真剣な表情をしていた。
「全員、揃ってるみたいだね」
柊さんは、自分自身を落ち着かせるように、深呼吸をしながら社員一人一人の顔を見ていった。
「……先日の東京でのテロにより、レイメイ君達異世界の人間を狙っている組織が判明した。奴ら――イングズに対抗するためにも、社の団結を深める必要があると感じた。だから私も、隠し事は止めようと思った。———今から皆に話すのは、私がアマテラスを設立した本当の理由と、私の最終目的についてだ」
柊さんの言葉で、部屋の中が一気にざわついた。それを時雨さんが静かにさせて、柊さんが続きを話し出した。
「……レイメイ君。ジョン君とカルザ君も。この女性に見覚えはあるかな?」
柊さんがそう言うと、ホワイトボードに一人の女性が映し出された。
美しい金の髪をたなびかせた、赤い瞳の女性だ。
「………なんで?」
それしか言葉が出なかった。
どうして? どうして柊さんが……
「この女性の名前は東雲ソレイユ。本名はソレイユ・ライズ。———レイメイ君、君のお姉さんだ」
柊さんの口からとんでもない真実が語られた。でも僕は、すぐに信じることができなかった。
「どうして…? 姉さんは十二年前、魔王討伐に向かって、消息不明になって……」
「そのことも含めて、今から話す。私と彼女の間に何があったのか。その全てを」
柊さんが口を開いた。
そこから語られた内容は、とても受け止めきれる物ではなかった。




