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第30話 大乱闘

 相手は五人だった。うちリーダーを含む三人は拳銃、二人はナイフを持っているようだった。


「東雲、行けるか?」

「当たり前じゃないですか。絶対逃がしませんよ」


 黄昏さんの問いかけに、僕は相手を睨みつけながら答えた。

 それを確認した黄昏さんが動き出し、僕もそれに続いた。


「来たな、撃て! 殺してもいい!」


 リーダーの男が指示し、彼らは僕ら目掛けて銃を構え、残り二人はナイフを構えて僕に近づいてきた。

 ナイフを持った女が僕に斬りかかる。僕はそれをギリギリのところでかわして、女の足を引っかけて転倒させた。


「くっ! 放せ!」


 女が暴れたが、僕は彼女が手に持っていたナイフを奪い、手刀で気絶させた。


「ナイス足止め、ソイツは貰った」


 咄嗟に後ろを振り返ると、髭を生やした男が僕の背後をとって銃を構えていた。

 身をひねって避けようとしたが、どうやらその前に黄昏さんが止めてくれたようだ。


「お前っ、邪魔すんじゃねぇ!」

「お前こそ、俺のバディに手出してんじゃねぇ!」


 黄昏さんは髭の男の手に銃を撃ち、相手の銃を落とさせた。そしてそのまま地面に叩きつけてノックアウトさせた。


「黄昏さん…!」


 僕は彼の言葉と動きに心を動かされ、黄昏さんに憧れの眼差しを向けた。


「よそ見してんな! さっさと倒すんだろ!?」


 黄昏さんに怒鳴られてしまった。素直じゃないなと思いつつも、やはり今はそういう場面ではないと思いただす。

 残るは、銃を持ったリーダーとパーカーの男と、ナイフを持った帽子の男だった。


「一応聞く。お前ら、革命軍だろ? どうしてこんな事をする? 狙いは何だ? 国家転覆か?」


 黄昏さんが面と向かって彼らに質問した。それを聞いて、リーダーの男が語りだす。


「国家転覆? 俺たちがそんな事をするわけ無いだろ? 俺らの目的って言っても、俺らとお前らの目的は同じだと思っていたんだけどな。どうしてお前らは環境エネルギー党に味方しているんだ?」


 リーダーの男は意外な事を口にした。


「…は? こんな沢山の人を傷つけるような行為をしたお前らと、僕たちの目的が同じ? ふざけるなよ? 僕たちは人を守るために戦っているんだ! お前らなんかと同じにするな!」


 男のあまりにふざけた発言に、僕は怒りを抑えきれなくなり叫んだ。でも、男は微動だにしなかった。


「もしかしたらと思ったけど…、残念だ。お前ら、こいつ等殺せ」


 リーダーはため息を一つこぼすと、あまりにもあっさりと動き出した。

 僕と黄昏さんは銃で狙われないように急いで走り出した。


「あのリーダーだ! アイツを最優先で攻撃!」


 黄昏さんの指示に従い、僕は撃たれないように注意しながら、リーダーの男との距離を詰めていった。


「馬鹿が、死ね!」


 リーダーは僕に銃口を向けた。それが分かっていた僕は大きく跳躍して、リーダーの真上を取った。


「…は?」


 僕の想定外の動きに、リーダーは困惑しているようだった。

 彼が固まった一瞬の隙をついて、僕は彼に、さっきの女から奪ったナイフを投擲(とうてき)した。

 ナイフは彼の腕に刺さり、その痛みからか銃を落とした。


「くたばれ、下衆野郎!」


 そのまま僕は落下の勢いを乗せた蹴りをリーダーの脳天に喰らわせた。被害にあった人たちの怒りをこめた一撃を。

 それを受けたリーダーは、白目を向いてその場に倒れた。その場の全員が、彼を見て硬直した。


「…班長! よくも班長を!」


 一番最初に動き出したのは、銃を持ったパーカーの男だった。僕目掛けて銃を撃とうとするが、背後にいた黄昏さんに止められて、あっさり気絶させられた。


「さ、あとはお前だけだな」


 黄昏さんと僕は、残った帽子の男を見た。四人がやられた様子を見て、彼はひどく怯えているようだった。


「ま…待って! 待ってください!」


 黄昏さんが一歩近づくと、帽子の男は裏返った声をあげた。


「お願いです…! どうか、どうか命だけは…!」


 帽子の男はナイフを捨てて、地面に膝をついた。降参、のようだった。


「…分かった。東雲、コイツを拘束するぞ」


 流石に降参した者とまで戦う理由はない。僕も極力、人は傷つけたくなかった。

 黄昏さんと共に帽子の男に近づいた時、真後ろで車の音が聞こえた。


「…は!?」


 車には、いつからいたのか、男が二人乗っていた。そして急いでこの場を去ろうとしていた。

 黄昏さんは咄嗟に銃でタイヤを狙ったが、あまりにも急だったため外れてしまった。


「お前…、まさか俺たちの気をそむけさせるために…!?」


 黄昏さんが驚いた様子で帽子の男を見た。帽子の男は、正解とでも言うように笑っていた。


「東雲! アイツらを追うぞ!」


 黄昏さんが動き出したが、道の向こう側から高速で車が走ってきていた。


「黄昏さん危ない!」


 僕は急いで黄昏さんを引っ張ってこちらに引き込んだ。次の瞬間、車が物凄い速度で僕たちの前を通っていった。あと少し遅かったら、黄昏さんは轢かれていただろう。


「危ねぇ…。東雲、助かった。ありがとう」


 黄昏さんが珍しく僕にお礼を言ってくれた。僕はそれが嬉しくて、満面の笑みで返事をしようとしたが、さっきの車に続いて現れたもう一台の車の出現で、それはかき消されることになる。


「レイメイ君!? それにシュウも!? どうしてここに!?」

「時雨さん!?」


 その車に乗っていたのは、まさかの時雨さんだった。よく見ると鬼灯さんも乗っていた。


「レイメイ、シュウ! 神宮さんは無事なのか!? 襲撃されたって聞いたぞ!」


 鬼灯さんが慌てて僕たちに確認を取る。


「神宮さんはシェルターに隠れたので無事です! 他の幹部の皆さんも他のシェルターに隠れたみたいです!」


 僕の説明を聞いた鬼灯さんと時雨さんはひとまず安心したようだったが、すぐに話題を切り替えた。


「そんなことよりも、大変だよ! 俺たちは今、さっきの車を追ってたんだけど――」


 その先に続いた言葉は、僕を驚愕させるには十分すぎた。


「——あの車に、ジョン君とカルザ君が乗っているかもしれないんだ」


設定こぼれ話

ジョン・ポロネーズ

レイメイの仲間の一人で、力自慢の頼れる兄貴分。島でも、訓練の合間に、その力を活かして人助けをよくしていた。


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