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第21話 緊急会議

 十月三十日、アマテラス社内。ロール・ハレ銃撃事件の二日後、アマテラスでは緊急会議が行われようとしていた。


「悪い。遅くなった」


 会議室の静寂を破る形で、社長・柊ジンが入室してきた。連日の取り調べの疲れからか、少し顔色が悪いように見える。


「それじゃあ、始めようか。ナギ君、よろしく」


 ジンは隣に座る青い長髪の社員、時雨ナギに説明を促した。


「今回起こった銃撃事件ですが、まずは皆さんに知っておいてもらわないといけないことがあります。今回の事件の被害者、ロール・ハレさんは警察では東雲レイメイの知人として処理されていますが、実は彼らは二人とも、ここではない異世界の人間なんです」


 会議室中にざわめきが走る。冷静だったのは、予めこのことを知っていた黄昏シュウと鬼灯ケンタだけだった。


「ナギ…、それ言っちゃっていいのか?」


 ケンタが心配そうに聞いた。


「ああ。社長の決定だ。理由は後で話す。———まあ、信じられないことのように聞こえますが、これは本当の事なんです。それを念頭に置いて聞いてください」


 ナギは一呼吸おいて、再び話し始めた。


「レイメイは元々、ロールさんを含めた五人で船に乗っていたところを、渦潮に飲まれてこの世界に迷い込んできました。ですが、レイメイ以外は行方不明となっていました。レイメイをウチに受け入れてから、社長と私で残る四人の捜索を行っていましたが、最初の一人を見つけた矢先にこのような事が起こってしまいました。

犯人はロールさんとレイメイを銃撃後、現場から逃走。防犯カメラに残っていた情報と、近隣住民の証言から、犯人は女性である可能性が高いと思われます。犯人は私達が話していた海岸から百メートル程離れた林の中から狙撃を行い、その後すぐに逃亡。そして五百メートル先に待機していた黒い車に乗り込み逃亡しました。車は盗難車で、その後乗り捨てられていたため、未だ犯人の居場所の特定には至っていません」


 次々と淡々と語られる情報に、理解が追い付かない様子の社員たち。そこに一人、手を挙げる者がいた。


「映像を見る限りだと、犯人は助手席側から乗車していますね。だとすると複数犯、あるいは組織的な犯行の線があるのではないでしょうか」


 シュウはごもっともな意見を言う。それに同調するように、ナギも頷く。


「はい。今回の件と、そしてさらに先日のプランダーズ襲撃の件。覇道はレイメイが目的だと言っていました。これらの事から私と社長は、『レイメイ達異世界から迷い込んだ者達が何らかの組織に追われている』可能性があると考えました。彼らの事を話したのもそのためです。今や、いつレイメイやその仲間が襲われても不思議ではありません。なので、この事実を共有することで、社全体で対処を可能にする目的があります」

「つまり、我々もレイメイの仲間の捜索に助力しろと?」


 ケンタが質問した。


「はい。全国の警察に捜索協力はお願いしているのですが、それでもまだ情報が足りないので、協力していただけると助かります。どうか、お願いします!」


 ナギは真剣な表情で頭を下げた。


「なに言ってんだ。大切な仲間だぞ? 協力しないわけないじゃないか」

「そうだ。俺たちでできることがあれば何でも協力する」


 真っ先に応えたのはケンタとシュウだった。呼応するように、社員たちが賛同した。


「皆さん…、ありがとうございます!」


 ナギは涙をこぼしながら礼を言った。


「…なあ、この空気でこんなこと言うのもアレなんだけどよ…、そのレイメイって奴の姿が見えねーんだが、まさか死んだわけじゃないだろうな?」

「おいビリー、それは今いう事じゃないだろう。それに、この話題が出ているという事はそういう事だ。察しろ」


 大柄な黒人男性と、負けず劣らずの体格を誇る白人男性が言い合っていた。


「ビリー、シュトラウス、その件は安心してほしい。レイメイは肩を撃たれたけど、軽傷だから命に別状はない。でも、ロールさんが死んでしまったショックから立ち直れてないだけだ」

「ふーん、そうか。なら良かったぜ。そうだ、今度そのレイメイって奴に会わせてくれよ。面白そうだ」

「おいビリー、今はそういう話をするような場ではない。そういう話はあとで――」

「良いんだよシュトラウス君。みんなも、レイメイ君に優しくしてあげてくれ。彼も、まだこの世界に来たばかりで不安なことも多いだろうからね」


 今まで黙っていたジンが口を開いた。途端に、全員が静かになり、こくこくと頷いた。


「今ナギ君が言ってくれた通り、レイメイ君の仲間たちがいつ襲われてもおかしくない。協力、頼んだよ」

「了解です!」


 社員たちが一斉に返事すると、ジンとナギは会議室を後にした。


「…社長、やっぱりレイメイ君たちを狙っている組織って、例の事件とも関係があるんですかね?」

「おそらくね。今回の件と例の事件はつながっている。警察に協力を仰いでいるにも関わらず、ほとんど情報が流れてこないのもそうだし、なにより『彼女』も『異世界人』だからね。———じゃあ、私は今回の件の処理の続きをしてくるね」


 意味深な言葉を残し、ジンはその場を去っていった。

 ジンとナギは何を知っているのか。

 レイメイ達を追う組織とは何なのか。

 そして、レイメイ達は何故転移したのか。

 ―――その謎が、徐々に明かされてゆく。


設定こぼれ話

ロール・ハレ襲撃事件の犯人と思わしき女は、薄汚れた白いローブを着、深くフードを被っていたらしく、その正体は一切不明である。

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