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第11話 訓練開始

 僕は早速、柊さんに連れられてとある場所へと来ていた。そして、何故か黄昏さん、時雨さん、鬼灯さんもついてきていた。


「ここはウチの剣道場。ここでレイメイ君の訓練を行うよ」


 柊さんによると、この剣道場は柊さんが管理しており、柊さんも剣術の達人らしい。道場の景観はいかにも厳かという風で、横浜の街の中でも一際存在感を放っていた。


「ところでレイメイ君、島で修業していた時に剣術は習ったかい?」


 柊さんが質問してきたが、僕は答えられずにいた。その瞳が期待に充ち溢れすぎていたからだ。

 僕は剣術が絶望的にできない。島で修業しているころからそうだった。陰で隠れて練習もしたが、一向に上達しなかった。

 剣術が一番上手だったのはカルザだ。彼は基本的な剣の扱い方だけでなく、相手をしっかり観察したうえで次の行動を予測して動くから、最近では教官すら負かすほどになっていた。


「あー、えっとぉ…」


 何も言わないのはまずいと思い、僕は何か言おうとしたが、


「社長、これ多分できないやつっす」


 黄昏さんに先を越されてしまった。僕が「何で言っちゃうんですか!」という視線で黄昏さんを睨むと、黄昏さんは「してやったり」という視線を返してきた。


「まあ、実際にやってみて、それで判断してみるから…」


 一分後、柊さんVS僕の戦い、東雲レイメイの大敗北!


「…これは、違う戦い方の方がよさそうだね」


 さすがの柊さんもこれには匙を投げたいらしい。本当にできないんです、剣術。ごめんなさい。


「ならひとまず、射撃は覚えさせとくべきじゃないですか?」


 時雨さんが柊さんに助言した。僕たち全員「道着」という道場の中での服に着替えているのだが、それでもやっぱり時雨さんは女性に見えてしまう。


「よし、じゃあそれは俺が説明しよう」


 鬼灯さんが前に出て、二つの道具を取り出して言った。


「ウチでは銃という武器を持った奴らと戦うことも珍しくない。だから、こっちも対抗するべく武器を持つ」

「ちなみに、銃っていうのはこんなのだよー」


 時雨さんがタブレットという物に映し出された映像を見せてくれる。掌に収まるほどのサイズの黒い物体から、目視できないほどの速さで弾が打ち出され、車の窓をいともたやすく貫いて割ってしまった。そのあまりの恐ろしさに、僕は震えあがった。


「どうだ、怖いだろう? ただ、日本だと銃は限られた人間しか持てないから、そう持っている奴は多くない。ウチでもその拳銃を使えるのは国から直々に許可が下りた奴だけだ。だから、そうじゃない奴らはこの二つを標準装備で身に着けている」


 そこで、鬼灯さんはさっきの二つの物体を僕に見せた。よく見るとそれはさっきの銃と似たような形をしていたが、若干違うような気もする。


「こっちは麻酔銃。弾ではなく、麻酔を含んだ針を相手に発射して、相手を気絶させる。普通の銃よりも殺傷能力は低いが、相手を傷つけずに倒すことができる。そしてもう一つが電撃銃。電気を発生させてそれを相手に向けて放つ。電力の強さは調整できるが、最大でも人が気絶する程度まで。麻酔が効きにくい相手や、防弾チョッキ等を着ていて麻酔銃の針が刺さらない相手、物の破壊などに有効だ。アマテラスは国からこれらの犯罪者確保のための使用が許可されている。分かったか?」


 いろいろと分からない言葉はあったが、何となくは理解できた気がする。要するに、どちらの銃も相手に当てればいいのだろう。


「まあだが、正確に相手に当てるには相当の技量がいるからな。それを今から訓練するんだ」


 鬼灯さんに連れられて、僕は的がたくさんある場所に来た。


「ここは社員の射撃練習場だ。銃を撃って、針をあの的の真ん中に当てるんだ!」


 鬼灯さんから麻酔銃を手渡され、僕は早速一発撃ってみる。だが、打った瞬間とんでもない衝撃が僕を襲い、僕は後ろによろめいた。

 針はもちろん見当はずれの場所に刺さっていた。


「銃の反動はすごいからな。それにも慣れておけ」

「はい!」


 その後も射撃の訓練を一時間ほど行い、反動にようやく慣れてきたころに、今日の射撃の訓練は終わった。


「よし、一旦休憩! 休憩終わったら次格闘訓練やるよ!」


 いつのまにか昼になっていた。柊さんは近くの店で昼食を買ってきてくれるようで、一度道場を出ていった。

 その後すぐに、鬼灯さんのスマホから音が鳴り、一度どこかへ行った後、


「俺の持ってる資料が社で必要になったらしい。ちょっと届けてくる」


 と言って道場から去っていった。

 そして、道場には僕と黄昏さん、そして時雨さんだけが残された。


「暇だねー」

「そうですね。早くご飯食べたいです」

「そうだレイメイ君、シュウ、しりとりしない!?」

「断る」

「しりとりって何ですか?」

「まあそれはそれは面白い遊びでさ…」


 しばらく話していたが、未だに柊さんは帰ってこない。鬼灯さんもだ。


「…流石に遅くないか? もうニ十分は経つぞ? 近くのコンビニまで五分もかからないはずだが…」

「…ねぇ、外から何か聞こえない?」


 時雨さんに言われ、僕は目を閉じて耳を澄ませた。ブオーン、という、何かを吹かせたような音が聞こえたような気がした。


「おいおい、こんな時に襲撃かよ…」


 黄昏さんが面倒くさそうに言った。


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