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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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2回目の決闘戦5

ミミが『神経強化』を発動し、ニノに喰らい付く。だが、それでもニノには勝てない。それほどまでにニノの強さは異次元だ。


現にミミはニノにまともな攻撃を入れる事ができていない。だが、喰らい付いている。


…それにしても、ミミが『神経強化』を発動させたのには驚いたな。


俺が前に見せたあの1回で習得したのか?だとしたらミミの体質は凄いことになる。


ミミの体質は多分だが、魔力を根本から理解するもの、だと思う。


だから、1回見た魔力を使った技なら全てコピーできることになる。ミミが何かしらの魔法適性を持っていたかと思うとゾッとするな。


ミミをそう注視していると、限界に近い事が分かった。目から血が流れ、息も絶え絶えだ。


それでもミミはニノへの攻撃を緩めない。それほどまでの勝利への渇望は尊敬にあたいする。


ニノもミミの限界に気がついたのだろう。ここでニノが反撃を繰り出してミミを退ける。


これで互いに距離ができた。そして2人は少し停止し、同時に相手に向かって走り出す。


誰もが決着をつくと思った中、ミミが予想外の行動に出る。


左手の短剣をニノに投げつけたんだ。さすがのニノも予想できなかったようで少し、反応が遅れたが弾き返す。


だが、ミミはまだ手を打っていた。左手で投げた短剣に隠すように右手の短剣も投げられていた。


ニノはそれをギリギリで弾き返すが、その隙を見逃すミミじゃ無い。ミミはここ最大の神経強化を発動させてニノに体術を仕掛ける。


だが、ニノは体術のレベルも桁違いだ。案の定ミミは数発の攻撃を防がれ、ニノが剣の持ち手でミミを攻撃する。


ミミは手をクロスさせ何とか防ぐが折角、詰めた距離を少し離されてしまう。


だが、そこは剣の間合い。


ニノがミミに剣を振り下ろす。そして次の瞬間、ニノの腕に短剣が突き刺さった。


ニノから見れば何が起きたか分からなかっただろうが、外側から見ていた俺には分かった。


ミミの右手の短剣がニノに弾かれ中を舞い、ミミが距離を離されたところにちょうど短剣が落ちてきた。


それを、ミミは後ろに手を回して掴み、ニノが振り下ろしたと同時にミミが短剣を投げつけたんだ。


この1連の動作をいくら神経強化があると言っても全てミミがコントロールしたと思うと、驚きを隠せない。


だが、ミミは神経強化を酷使しすぎだ。ミミはニノに少し何か言うと、眠るように気絶した。


そうして決着が着き、ニノの勝利となった。この激戦には観客達から盛大な拍手が送られる。


そして、ミミが担架で運ばれ、拍手を送られているニノは少し不満そうにしながら俺に向かってくる。


試合には勝ったが勝負に負けたって感じだからか?まあ、年上なら無傷で勝つのが当たり前だからな。


そんな事を考えているとニノが俺の前に来て言う。


「私には神経強化を教えないのに、なんでミミには教えたの。」


…俺と全く違う事を思っていやがった。俺がミミに教えたと思って、嫉妬してるのか?


「教えて無い、ミミが俺の神経強化を見て自分で習得したんだよ。それで、ミミは強かったか?」


俺がそう聞くと、ニノは担架でミミが運ばれた方を見ながら言った。


「…強かった。色々と制限をかけていたけどミミは強かった。」


そう言ってニノは短剣が刺さった場所を見る。さっき治療されたおかげでいつも通り綺麗な白い腕だ。


「なら、良かったよ。」


俺は色々な思いを噛み締めながらそう言った。


こうして、ミミとニノとの試合が終わり、次の試合の決勝戦でマーク先輩とニノの勝負になり、ニノの優勝で決闘戦は幕を閉じた。


マーク先輩も善戦したが、ニノには敵わなかったようだ。


俺は優勝したニノを労うと、早々にミミの所へ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


医療室に入ると、話し声が聞こえてきた。声からムムとミミが話していると分かる。


「邪魔するぞ。」


そう声をかけて入ると、座るようにして布団に入っているミミがいた。


「あっ、アレク先輩!」


「思ったよりも元気そうだな。」


「そうですね、最後にニノ先輩に一発お見舞いできたので。」


そう言ってミミは“シュシュ“と空を殴る。


確かに、ニノに一撃入れたのは素直に凄い。それも絶対に勝てない相手にだ。


だいたいの人なら普通に諦めてしまうだろう。


「そうかい、そう言えば神経強化を使ったようだが体は大丈夫か?」


「あっ、それですよ!あれとても痛いんですけど、どうなってるんですか!」


「まあ、強化の代償みたいなものだ。」


神経強化は前世の知識を使って作ったものだから説明しても分からないだろう。それなら、分かりやすく説明した方がいい。


「代償?姉さんは代償がかかる技を使っていたんですか。」


ムムはそう言ってミミに詰め寄る。声が冷え冷えとしていて普通に怖いな。


まあ、俺には関係無い。だって俺は教えていないからな。


俺はこれ以上いたら巻き込まれると思い、ひと言、ミミに伝え退散することにした。


「ミミ、神経強化はどうしようもない時以外は使うなよ。何かしらの後遺症が残るかもしれないからな。」


そう言って、俺は医療室を出るのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから数日が経ちニノに呼び出された。


呼び出したニノは恥ずかしそうにしていると思ったら、校長先生から貰った優勝景品の腕輪を俺にくれた。


この腕輪は魔力の回復速度が上がるアーティファクトのようで、魔法をよく使う俺にプレゼントのようだ。


プレゼント、というなら断るのは失礼だと思い、受け取って手に装着した。


ニノもわざわざこんな人気のない所に呼び出してプレゼントをしなくてもいいのにと思う。


そうして、俺は新しい装備により、より強くなった。ニノには感謝しないとな。


後日、ミミに腕輪の事を聞かれて答えたら、ボソッと「…臆病者じゃないですか。」と言っていた。


何のことだろうか。そうして、時間が過ぎていく。


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