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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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2回目の決闘戦4

送り出した2人はそれぞれ定位置の線上に立つ。そして、試合の開始が宣言された。


次の瞬間ニノがミミに肉薄する。ミミはそれを何とか防ぎ、弾かれて距離ができるがまだ距離を取る。


ミミがニノの攻撃を防いだことにより、会場は大盛り上がりだ。


ミミとの特訓の時、何回も何回も俺がニノの攻撃を再現して繰り出したからな。防いでもらわないと困る。


距離を取ったミミは警戒しながらすぐに古代の身体強化を発動させる。ニノに追撃をされてでも発動させるのはいい判断だ。


だが、ミミの警戒は無意味に終わった。ニノは追撃をせずにミミの古代の身体強化を待っていたからだ。


どうやらニノはミミに本気を出させて真正面から倒す気らしいな。


側から見ればニノの挑発行為に見えるが、最初の攻撃を防がれたから、純粋にどの程度の強さが有るのか気になったんだろうな。


そして、ミミの古代の身体強化が発動する。これには観客達も驚く。中には去年と同じ事が起こるかもとワクワクしている人もいる。


ただ、それはあり得ないだろう。それほどまでにニノとミミとの間には絶対的な差がある。


古代の身体強化を発動させたミミがニノとの距離を詰める。


流石は獣人というべきか一瞬にしてニノの前に移動し攻撃に移った次の瞬間、ニノに攻撃を弾かれる。


それでも、ミミは連続して攻撃を加えるが全て弾き返されてしまう。


ミミの方が手数が多いが、その手数の差を埋めるほどの速度でニノは剣を振るっている。


体勢を立て直すために一旦距離を取ったミミは激しい動きをしたせいか若干息が荒くなっている。対してニノは涼しげだ。


ミミが感じている疲れは身体的な事よりも精神的なものの方が大きいだろう。


俺がそう思いながら見ていると2人は何か話し出した。



side ミミ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「終わり?」


そう聞かれて私は、透き通るような青い髪を靡かせ、誰も振り向くほどの美貌を持った無表情なニノ先輩を見る。


というか、強すぎませんか!絶対年齢詐称してますよ!


私は息を整えて言う。


「そんな訳、ありませんよ。」


嘘ですけど!というか、何も手がありません!古代の身体強化をしている私よりも速いって意味が分からないんですけど!


「なら、待ってあげる。」


そうニノ先輩に言われて、私は困ってしまった。その時、私はついアレク先輩を見てしまう。


いつも頼っているせいか、困った事が起こるとアレク先輩を見てしまう癖が私にはできていた。


だけど、アレク先輩を見た時、私は唐突にあの日の事を思い出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それはアレク先輩に古代魔法を教わっていた時、私はふと気になった事があった。


「アレク先輩!アレク先輩の本気ってどれくらい強いんですか!見せてください!」


「なんだいきなり。」


「いいから見せてくださいよ〜。」


私はそう言って、目をうるうるさせながらアレク先輩に頼み込んだ。こうすれば先輩は断れない。


「うっ、そんな目をするな。それと、今の俺は本気を出せない。本気を出せば周りが吹き飛ぶからだ。」


そう言った先輩の目は真剣だった。


「…冗談、ですよね。」


「まじだ。それに、本気を出したら俺は気絶するからな。」


そういえば、アレク先輩の噂で聞いた事が有る。アレク先輩が決闘戦を優勝したと同時に倒れた事を。


私は危険を承知していたけれどそれでも、好奇心が勝ってしまった。


「なら、気絶しない範囲の本気を見せてください。」


「まあ、それならいいが、ならいくぞ『神経強化』」


神経強化、そう先輩が言った瞬間私の視界から先輩が消えた。そして次の瞬間、私の首に先輩の手を当てられた。


「…。」


「まあ、こんな感じだ。」


そして、驚いて固まってしまった私の横を通るアレク先輩を見た時、私は絶句する。


アレク先輩の体の中の線に魔力が纏わりついていたからだ。


私は小さい時にこれとよく似たようなものを見た事がある。


私が見た時、その似たようなものは人の中にあり、その人はずっと激痛が走っていると言っていた。


それが全身となると立っていられないほどの激痛のはずだ。


「…先輩、痛く、無いんですか。」


私がそう聞くと、先輩が振り向く。だけどそこには目から血を流した先輩がいた。


「せ、先輩!血が!」


「これなら大丈夫だ。それより、痛く無いってどういう事だ?」


そう先輩に詰められだけど血のせいで集中できない。


「先輩!早く止血しないと!」


「分かった分かった。もう止血したから大丈夫だ。それで、どういう事だ。」


そう言った先輩の目からは血の流れがなくなり、血の跡だけが残っていた。


「ほ、本当に止まりました。それどころか線に纏わりついていた魔力も無くなってます!」


「いや、話を聞けよ!1人で納得されても分からんって。というかどうして、俺の神経強化が痛い事を知ってるんだよ。ミミ、俺に説明してくれ。」


私はアレク先輩に大きな声で言われて混乱から回復しました。


「す、すみません混乱しちゃって!」


「あ、うん。分かったからそれで、説明してくれ。」


「はい、実は…」


それから私は自分の体質のことや先輩の事を話す。


本当にそれだけのつもりだった。なのにいつの間にか私は自分の事を先輩に話してしまっていた。


私が魔力が原因の病気を教えても信じてもらえず、数日経ってその病気が起こると、怒られること。


そして、集落でこの病気が流行り、私が教えて上げていたら私がこの病気の原因だと思われ、家族共々私のせいで集落を追い出されたこと。


そして、せめて家族の生活を楽にさせようと思い、勉強を頑張っている事を話した。


話しが終わるとアレク先輩が私の頭を優しく撫でながら言う。


「よく、頑張ったな。俺はミミを尊敬するよ。」


その瞬間、私の瞳から涙が溢れてしまい、私はアレク先輩に抱きついてしまう。


だけど、アレク先輩は拒否することなく、私の頭を優しく撫でて続けてくれていた。この時、私はアレク先輩に恋をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私はアレク先輩に恋をした時の思い出に引っ張られて顔が赤くなるのを感じていた。


「だけど、やり方は分かりました!『神経強化』!」


そうして、私は『神経強化』を発動させる。


って、とても痛いですね!アレク先輩はこれ以上の魔力でやっていたってことですか!それって相当痛かったんじゃ!


痛い思いを我慢しながらもニノ先輩を見ると、その表情は私にも分かるほど驚きに満ちている。


「…それはアレクの技。教えて貰ったなんて、狡い。」


と、思ったんですけど、なんか嫉妬と怒りを感じます!


そして、次の瞬間ニノ先輩が眼前で剣を振り抜いていた。


私はそれを避けると反撃をする。それから数合い打ち合い、互いに距離を取る。


そうして、私とニノ先輩の一歩も譲らない剣の応酬が始まった。

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