身体強化
CランクからDランクに変更しました。
ニノと戦う様になってあれから2年がたち俺は7歳になっていた。今日もいつもの様に朝から父と特訓していると父が言った。
「アレクももう、十分体ができてきただろう。だから、剣を使った訓練もしようと思ってな。それで剣を使った訓練もするか?」
体ができていないと言われ剣を使わせてくれなかった父が剣の使用を許可したのは驚いた。
「い、いいの?」
俺は信じられなくて父に聞き返した。
「ああ、流石に剣の特訓をやろうと思ってな。それにリガルドの娘自慢を聞いてな・・・」
そう言った父は苦笑いを浮かべながら言った。確かにこの2年間でニノの成長が物凄い事になっているからな。俺との体術戦闘でどんどん体の動かし方が分かって来たのか今では体術はほぼ俺と互角だしな。さらに剣技に俺の足の動かし方を入れてきたのはとても驚いた。
まあ、そのせいで俺はニノからまだ一本も取れて無いんだけど。だからこそ父から剣を教えて貰えるのは俺にとってありがたかった。
「そうなんだ。それじゃあ、剣の指導をお願い。」
「おう、任せろ。まずは剣を持って来ないとな。」
そう言い父は家の倉庫に剣をとりに向かった。
因みに俺がニノと戦う時に使っていた剣はニノの予備の剣を貸して貰っていた。
それから、父が両手に剣を持ち、片方を俺に渡した。
「アレク、剣で大切な事はわかるか。」
父が久しぶりにこの様な質問をしてきた。
「分かってる、基礎が大事なんでしょ。」
「そうだ、何でもかんでも基礎が大事なのさ。」
それを俺は理解している。嫌と言うほど基礎訓練をやったのだから。
「それで、何をすれば良いの。」
「素振りだ。やってみなさい。」
「分かった。」
俺は、いつもニノに教えて貰っている様に素振りをしたら父が驚いた顔をして言ってきた。
「アレク、お前、剣を扱えるのか。」
その質問に俺はしまったと思った。何故なら両親には剣を使っている事を隠していたからだ。
「あー、扱える。」
俺は正直に答えた。正直なところ、お前に剣は早いと言われていたのに剣を使っていた事に罪悪感を感じていたんだ。
「そうか、どこで覚えてきたんだ。」
父はそう質問してきた。これは怒られるかもと思ったが正直に話した。
「ニノに教えてもらった。」
そう言ったら父は少し黙り込んでしまった。それを俺はニノに怒りに行く気だと思い、慌てて言った。
「と、父さん、別にニノが無理矢理やらせたわけじゃ無いよ。俺が自分から頼んだんだ。だからニノを叱らないでくれ。」
そう俺が言うと父はきょとんとした顔をして言った。
「いや、別に怒っていない。ただ、この後どうアレクを成長させるか考えていたんだ。素振りの仕方が騎士のそれだったからな。」
「どう言うこと?」
「ああ、騎士の剣は対人用なんだ。だけど俺が教えようとした剣は冒険者の剣なんだよ。冒険者の剣は対魔物様でな。だから騎士の剣と違うんだ。だから騎士の剣を使ったアレクをどうしようかって考えてたのさ」
「なら騎士の剣を覚えたのは悪いこと?」
「そんな事はないさ、どちらにも良い所があるからな。それで提案なんだが、アレクは冒険者の剣も習う気は無いか。」
その提案は世界最強になる俺にとってはとても重要だった。だってそうだろう2つの戦い方の剣が使えればそれだけで戦術の幅が広がるのだから。だから俺の返事は決まっていた。
「冒険者の剣も習う!」
「そうか、だがそんなに気を揉まなくていい、騎士の剣を使えるアレクなら直ぐに冒険者の剣を使えるだろう。なんたって冒険者の剣は騎士の剣ほどの技術は必要ないからな。」
「そうなの。ならどんな感じ?」
「そうだなぁ、見たほうが早いだろ。」
そう言うと父は一瞬だけ魔力を込めて剣を振った。そうしたら父の剣の風圧で土が削れていくではないか。
「な、何それ!?」
「これか、これは身体強化を使ってただ剣を振っただけだ。」
「さっきの一瞬の魔力が身体強化なの。」
「そうだ、だいたいの人はこれを使える。」
「えっ、俺は使えないけど。」
「そりゃ、やり方を教えて無いからだ、身体強化は簡単だからすぐに教える事はできるが、アレクの体が耐えられるかどうか分からないからな。」
「そうなの?因みに身体強化を覚えるのは何歳からが普通?」
「そうだな、だいたい10歳くらいじゃないかな。」
「父さん、それは俺みたい訓練をしている子で?」
そう俺が言うと父は今気づいたという顔した。
「そうか、ならいけるか。よしなら教えてやる。アレクは鍛えているから大丈夫だろう。」
父は踏ん切りがついたのか俺に身体強化を教えてくれる様だ。
「それじゃあ教えて。」
「ああ、やり方は簡単だ。まず、魔力を動かせ。」
「動かしたよ。」
魔力を動かすのは簡単だ、毎日母とやっているからな、それと魔力を空にする事も、だから俺の魔力量はとても多い。
「魔力の動かし方が上手いな、次に動かした魔力を放出するのではなく体を包み込む様にしてみろ。そうしたらできているはずだ。」
「分かった。」
そう父に言われた通りにすると魔力で包み込んだ部分から力が溢れている感覚があった。それらを全身に回して体全体を覆った。
「凄いぞアレク!母さんとやっていた魔法学のおかげでお前の身体強化はとても高いものになっているぞ」
「ならどのくらい強い?」
「ああ、Dランク冒険者上位くらいだな。」
「それって強いの?」
俺は冒険者ランクを正確に理解していないから分からなかった。
「ああ、強いぞ冒険者でいう中堅一歩手前だ。」
「そうなんだ。それで話がズレたけど最終的に冒険者の剣は何?」
「ああ、冒険者の剣は力強い剣なんだ。そして、逆に騎士の剣は相手を制圧する剣なんだ。」
「なら、騎士の剣には身体強化は使われて無いの?」
「いや、使われているぞ、だけど騎士は冒険者と違って長い時間戦う事が多いから少しの魔力の身体強化を使っているんだよ。」
「そうなんだ、なら一概に騎士が弱いってわけじゃないんだね。」
「そうだな、もし騎士が本気を出したらかなり強いぞ、だからこそ騎士は騎士なんだ。さて、長話はここまだにして特訓を始めるぞ。それとこれからは身体強化を使ってやろうか。」
「いいの?危なく無い?」
「大丈夫だ。」
「なら、遠慮なく行かせてもらうよ。」
こうしてまた朝の特訓が始まったのだった。