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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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古代の魔法制御

 食堂から去った俺はとても恥ずかしい思いをしながら、部室に向かった。


 部室に入るとメレス先輩だけがいた。この時間帯なら誰もいないと思っていたんだがな。


 まあ、先輩と話しでもして気分を落ち着けるか。


「先輩。」


「わっ!…なんだ、アレクか。脅かさないでくれよ。」


 座りながら後ろを振り返った先輩が言う。


 恥ずかしさのあまり、気配を消していた事をすっかりと忘れていた。


「すみません。驚かせるつもりは無かったんですが。それで、何をやっているんですか?」


「ああ、古代魔法の魔力消費を抑えるにはどうすればいいか色々と試しているんだよ。」


「あー、そうしないと試し打ちなんてできませんもんね。」


 前に、1番威力が小さそうな古代魔法の攻撃魔法を使って、大変なことになった。あの魔力の強さだと部室は軽く吹き飛んだだろう。


 あの時は先生が止めてくれたけど、もしいなかったらと思うと震えが止まらない。


「それもあるけど、古代魔法は魔力を沢山使うからね。これを誰でも使えるようにするためには魔力の使用量も減らさないと。」


「それで、上手くいってますか?」


「全然だね。」


 そう、笑いながら言う先輩だが、目に隈ができている。昨日夜遅くまで考えていたに違いない。


 だけど、俺はそれをやめさせようとは思わない。俺も、同じだから先輩の気持ちがよく分かる。


「やっぱ、古代魔法の陣を変えるのって難しいですよね。」


「そうだね。古代魔法は1つ1つが独立してできているせいで、規則性も無いから他のができたら次も、という訳にはいかないからね。」


「そうですよね。その魔法陣を理解できれば後は簡単なんですけど、理解するまでが難しいんですよね。」


「まあ、資料が沢山あるって訳じゃ無いからね。少しずつ理解していくしかないよ。」


 実際、古代魔法を発動させた俺でも古代の身体強化を理解するのに数ヶ月もかかったからな。


「それで、どんな魔法ですか?」


 俺がそう聞くと、先輩が資料を見せながら説明してくれた。


「この資料から、多分だけど雨を降らせる魔法なんじゃないかと思っているよ。」


 見せてもらった資料の絵には確かに雨のように見える。本当、先輩は生活がより良くなるような魔法が好きなんだよな。


「それが、誰でも使えるようになったら、食料で困ることは無くなりそうですね。」


「分かるかい!その他にも水不足や大規模な掃除とかでも役にたつんだ。」


「なら、頑張らないといけませんね。」


「そうだね。僕はまた試していく作業に取り掛かるけど、アレクはどうするんだい?」


「俺も、自分が取り掛かってる古代魔法をやろうと思います。」


「そうかい、頑張ってね。」


 そうして俺も自分の机に向かい、乱雑に置かれている資料から使う資料を選び、調べ始めた。


 俺が今、取りかかっているものは古代の魔力制御法だ。


 俺は、こんなに魔力を消費する古代魔法を昔はポンポン使っていたなら、効率よく魔力を運用しているんじゃないかと思い、調べていて見つかったのが古代の魔力制御法と思われるものだ。


 古代では、魔力制御も魔法を使っていた事が分かったため、何か無いかと探していたら、古代の身体強化について載っていた本に古代の魔力制御の魔法陣が載っていたんだ。


 この時ばかりは本当に嬉しかった。だけどこの時は古代の身体強化も並行してやっていたため、魔力制御はここで終わらせていた。


 だけど、決闘戦までという期限が無い今、思う存分やれる。


 そして、俺が古代の制御魔法でやりたいことは魔力暴走の制御だ。これができれば俺は物凄く強くなれる。


 ニノに負けないためにも絶対にものにしなければ。


 ここで、魔力暴走についてだが、魔力暴走とは前世で言う熱暴走みたいなもので、制御できないほどの魔力が流れると、それが空気中の魔力を吸う事により魔力が大きくなり暴走するんだ。


 魔力暴走が起こると、大きな火傷を負い、皮がデロンデロンになる。酷い場合だと魔力暴走が起こった所が吹き飛び、最悪出血多量で死に至る。


 まあ、そんな危険はあるが、もし制御できるようになると制御中だけ魔力の威力が3倍になる。


 今のニノと同じレベルの身体強化になるってことだな。


 それから俺は古代の魔力制御を調べ、途中でディナ先輩が「友達にアレクくんって可愛いねと言われたんですけど何か知っています?」と言われて、忘れた恥ずかしさが蘇ってきたが、いつもの日常を過ごした。


 そして、部活が終わりの時間になったので先輩達と俺は寮に帰る。


 帰ってからはいつもと同じように夜を過ごしたが、いつも向けられている視線が今日は女子が多かったような気がする。


 そうして、俺は眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 次の日、俺はいつものように目が覚めると、昨日の事を途端に思い出し、学校に行きたくなくなった。


 だけど行かなくてはならないため、俺は気持ちを切り替えるように朝の鍛錬に取り組む。


 そして、いつものようにサンアと教室に向かうと何故か1組の女子が全員教室にいた。


 男子達は遅いため、この時間帯はいつもいない。まあ、俺たちが早すぎるだけなのかもしれないが。


 俺が一歩を踏み出すと、周りで話している女子達の視線を感じた。だけど、周りを見てみても誰も俺に視線を向けていないで話し合っている。


 俺は緊張しながらもなるべく普段通りになるように、話し合っている2人に挨拶をした。


「おはよう、ニノ、ラーヤ。」


 俺はニノと言う時に一瞬詰まってしまったが、まあ、普段通りだろう。


 後ろからサンアの小さな笑い声が聞こえるが、コイツは後で締める。


「おはようアレク。」


「アレク、おはよう。」


 俺はそう言って、自分の席に着いた。すると、ニノが近づいて来て人差し指に嵌めた指輪をしゃがんで俺の目線に合わせ、見せながら言う。


「アレクとお揃い。」


「くっ、昨日言ったことは忘れてくれ。」


「嫌、忘れない。」


 そう言ったニノの顔はとても嬉しそうだ。まあ、昨日のあんな顔をされるよりはよっぽどマシだけどな。


「たっく、何でそんなに嬉しそうなんだよ。」


「アレクとお揃いだから。」


 ニノはまたそう言って、にんまりとする。


 なんだろう、そんなニノの顔を見ていると昨日の恥ずかしさとか、もうどうでもよくなってきた。


「そうか、まあ、喜んでもらえて嬉しいよ。俺はお前のその笑顔が見たかったんだ。」


 俺は軽く笑って、ニノの頭を軽く撫でる。


 すると、ニノの動きが一瞬止まり、いきなり立ち上がって自分の席に座って顔を伏せてしまう。


 その時に、周りの女子達が見えたがその女子達の様子も変だった。


 なんだ?この時間帯になると女子はおかしくなるのか?


 俺が困惑していると、サンアと一緒にいたラーヤが俺に近づいて来て言った。


「この、女たらし。」


「ヘ?」


 そう言うと、ラーヤは俺から去ってニノの方に行ってしまった。


 ますます意味が分からなくなった俺が助けを求めるようにサンアを見るとサンアは苦笑いをしながら言った。


「今のはアレクが悪いと思うよ。」


 そうして、俺は訳がわからないまま授業が始まった。


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