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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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ニノのセンス

 ニノと戦ってから一週間が経った。あれから特に変わった事はなく、あえて上げるならニノと一緒に午後から剣を教えて貰ったり体術を教えたりしている。


 そうして今日、いつもの様に剣を教えて貰っていると、ニノに剣で勝負しないかと言われた。


「いいけど、俺はまだうまく使え無いぞ。」


「成長の確認をしたいだけ。その後アレクもお願い。」


 お願いと言えば俺が教えている体術のことだろう。


 ただ、俺が教えている体術をどんどん理解して強くなるニノを見ていると普通に負けるんじゃ無いかと心配になる。


「分かった。だけどニノは吸収が早いからもう俺が教え無くても十分に自分で強くなれると思うけど。」


「それは無い、それなら私の方が驚き。アレクは私が教えたことを全てできている。だから凄い。」


 できていると言われてもただニノの真似をしているだけなんだが。だから、戦闘になったらまともに使えるかどうか。


「そう褒めて貰えるのは嬉しいけど、あまり期待しないでくれ。」


 俺が自分を下げるように言うとニノは少し怒っていた


「アレク、アレクは私に勝った、だからそう自嘲気味に言わないで欲しい。それは負けた私への侮辱。」


「ごめん、悪気は無かったんだ。」


 俺は頭を下げた。


「別にいい、分かってる。アレクがそんなつもりじゃないことぐらい。だからこそ不思議、アレクはどうしてそんなに自信がないの?」


「それは、…」


 本当は自分でも分かっている。ただ、前世一部の記憶で自分はどうしようも無い奴だった。だからこそ自信が持てない。もし前世をしっかりと生きていたなら俺は自信を持てていたのだろうか。


「別に無理に言わなくてもいい。たけどもし、自信が持てないと思うならアレクの目標にこれを加えればいい、『世界最強になる』と。これなら自信も持てる。」


「はは、そうだな、世界最強か。」


 それなら、確かに自信を持てそうだ。もし自分が世界最強なら、頂点なら、俺は俺と言う存在を認めてもいいのかもしれない。だから今までの気弱な自分を捨てる。


 その覚悟を言葉にする。


「なる、なってやるぞ!世界最強に!」


 そう俺は言葉にした。


「なら、まずは剣で私に勝たないと。」


 そう隣でニノが笑っている。俺は素直にニノを凄いと思った。まだ子供なのにこんなにも成長している。だから俺は宣言する。


「ニノ、お前は俺の好敵手だ。そしてお前も『世界最強になる』という目標を入れろ。俺達はどちらも強くなってこの世界に名前を轟かせるぞ。」


「いいよ、だけど手加減はしない。」


 そうして俺達は新たな目標を加えて勝負をするが戦った結果は全敗。一本も取ることなく、負けた。


「だあ!ニノ強すぎだろ!」


 そう言い俺は地面に寝転んだ。


「それは当然、剣を一週間しかやっていないアレクに負けたら恥。」


「そうだけどさぁ、あんなにイキってこの様だと思うとなんかさぁ。」


 そう俺は不満を愚痴った。


「ふふ。」


「あ!今笑っただろ。」


「そんなことは無い。気のせい。」


「次の体術では覚悟しろよ。」


「望む所、絶対一本は取る。」


「まあ、戦う前に少し休憩だな。」


「うん。」


 そうして俺は寝転びながら目を瞑った。そしたら隣にニノが座る気配がする。目を開けるとニノが座りながらこちらを見ていた。


「なんだよ。」


「なんでも無い。」


 そう、無表情で言われ俺はニノから視線を外した。


「そう言えばさニノのお父さんって騎士だったんだよな。」


 俺はなんとなくで質問した。


「そうだけど、何で知っている?」


「いや、俺の父さんから聞いた。何でも怪我が治らなくてこの村に来たんだろ。それならニノはニノの父さんに勝てるなかって思ってさ。」


「剣を教えて貰っているからわかる。戦ったら瞬殺。」


「そんなにか!ニノでも駄目なのか。俺もさ、父さんと組み手をするんだよ。だけど全然勝てないからさ。ニノはどうなんだろうと思って。」


「私は試合とかはしないけど軽く手解きされる時は手も足も出ない。」


「はあ、父は偉大ってやつだな。」


 それから少しだけ2人でまったりとし、いい感じに休憩できたので体術の成長を見ることにした。


「さて、体術の成長を見るか。」


「分かった。」


 そう言いニノは俺から少し離れた位置についた。


「準備は整ったな。」


「うん。」


「なら、勝負。」


 こうして試合が始まった。試合は三本勝負の3試合。攻撃をくらった判断は自分達ですることにした。


 構えてからどちらも動かない。流石に来ないか、ならニノはカウンター狙い。


 ニノは戦闘センスがずば抜けている。だから、俺も迂闊に攻められない。攻めたら俺が負ける可能性がある。だから絶対に勝てるよう隙を作らなくては。そう思い俺はジリジリとニノとの距離を詰めて行った。


「ニノ、教えてやろう相手が防御の構えならこうやるんだ。」


 そう言い俺はニノの懐に入り込みニノが攻撃してきたらその手を上から軽く押してずらすとニノは力の入った拳に引っ張られバランスを崩し転倒する。


「だけど、これは本気の戦いじゃ無い。」


 そう言い俺は倒れそうなニノの腕を掴んで助けた。


「大丈夫か。」


「助けはいらなかった。」


 そう言ったニノは不機嫌そうだった。


「だけど、転んだら汚れるだろ。剣の時は汚れる様な事はあまりないけど体術は絶対汚れるだろ。」


「そうだけど。」


 まだ納得していない顔だったため俺はいった。


「俺、やだよ女の子を土まみれにしているって噂が流れたら。」


「分かった。」


 そう言ったらニノは分かってくれたのか渋々頷いてくれた。


「なら、続きをやろうか。」


「うん。」


 こうして2試合目を始めた。


 その勝負はニノが得意の素速さを活かして攻めてきて、いくつかヒヤットした場面があったがなんとか勝てた。


 そして3戦目は最初と同じ戦法を取って来たが、俺も迂闊に手が出せなかった。何故なら初見殺しの技をもう見せてしまっていたからだ。だから俺は真っ向から勝負する事にした。


 ニノにタイミングを合わされない様に足を不規則に動かし、翻弄して何とか俺が勝った。


 ひと段落勝負が終わると2人してその場に座り込む。


「疲れた。」


「そうだな。それにしてもニノ、お前凄いな。何回かヒヤットした場面があってとても疲れたぞ。」


「そう?それなら嬉しい。」


「そうかい。なら、本の話でもしようぜ。」


「いいよ。」


 こうして特訓が終わったら本の話しをする2人だった。


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