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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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決闘戦後

 目が覚めると、俺は保健室の布団の上に寝かされていた。


 そこで、俺は一度言ってみたい事があったため言う事にした。


「…知らない天井だ。」


 俺はそう一言、言い満足すると周りを見渡した。


 窓の外は暗くなっていて、今の時間が夜だと分かる。


 俺は上半身だけを起こして体を確認すると、ニノとの戦いで軽い斬り傷が付いたところには湿布が貼っており、横っ腹にできた傷は包帯で巻かれていて腹巻きのようになっていた。


 だけど、横っ腹にできた傷は治されているようだ。この包帯は固定するためのものだろう。


 そして不思議なことに顔には傷が1つも無く、とてもスッキリとしている。


 俺はやることが終わると一息ついたが、この後、何をどうすればいいのか分からなくて困っていた。保健室に誰もいないから判断に迷う。


 そこで今、俺の中で出ている選択肢は2つだ。それは、このままこの保健室にいるか、それとも保健室を出て寮に戻るかだ。


 俺がどうしようかと考えていると保健室に誰かが向かって来る気配を感じた。


「この魔力はニノだな。」


 俺の言葉と同時にニノが保健室の扉を開ける。そして俺を見ると手に持っていた桶みたいなものを落として、辺りが水浸しになってしまった。


「あ〜あ、何落としてるだよ。」


「…。」


 俺はニノに近づきながらそう言ったが、ニノからの反応が得られなかった。


 不審に思った俺はニノにもう一度声をかけると何故か抱きしめられる。


「どうしたんだ?ニノ。」


「…アレクが倒れた時に、血がいきなり沢山流れ出して死んじゃうと思ったから。」


「あー、だから俺に抱きついているのか。まあ、心配をかけたな。」


「うん。」


 そうニノは言うものの、俺を離してくれない。俺は困りながらもどこか嬉しい気持ちになった。


 すると、扉から視線と気配を感じて見ると、保健室の先生が扉の隙間から俺達を覗いていた。


 俺と目があった保健室の先生は、一瞬ビクッとするとそ〜っと扉を閉めた。


 なんだか恥ずかしくなった俺はニノに先生が見ていると声をかける。


 すると、ニノも恥ずかしくなったのか顔を赤くしながら、俺から離れてくれた。


「コホン、先生、入ってどうぞ。」


 俺が咳払いをし、保健室に入るのを促すと、先生は迷っているようだった。


「本当に入って大丈夫?別にもう少し、仲良くしていてもいいのよ?」


「大丈夫ですから。それと、ニノは俺のことを心配してくれただけなんで。」


 俺がそう言うと、ニノからじっとりとした視線を向けらて、入ってきた先生には呆れの視線を向けられた。何故だ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして、俺は入ってきた先生に体の事をひと通り説明されると帰っていいと言われたため、ニノと一瞬に寮に帰ることにした。


 もちろん、俺は制服を着ている。上裸のまま帰ったら変態だからな。制服はサンアが控え室から持って来てくれていたようだ。


 保健室を出た俺達は先生に見送られながら並んで寮に向かった。


「ニノ。」


「何?」


「さっきの先生の話しは驚きだったよな。」


「うん。治療魔法を使うと自然回復力が落ちるなんて驚き。」


「怪我をしても、傷が深く無いなら『ヒール』は無しだな。」


「うん。それと、決闘戦での傷はごめん。」


 そうニノは申し訳無さそうに言った。


「気にしてないぞ。それにこっちこそごめんな。腕はまだ痛むか?」


「大丈夫。それに、アレクが綺麗に折ってくれていたおかげで簡単に治った。」


 これはニノの軽い冗談だろうか?まあ気まずいのも嫌だしのっておこう。


「ははは、どっちもどっちだったな。それにしても、ニノは魔力のレベルが上がったな。」


「うん。だけど、アレクに勝てなかった。」


「いや、まあそうだが。う〜ん。」


 そう悔しそうにニノは言うが、俺は笑えなかった。だってあの時はニノが無意識状態だったから戦えただけで意識がある状態のニノと万全の状態で戦ったら多分、負けるからだ。


「どうしたの?」


 俺はニノを見て話すのを止めた。同じくらいの実力があると思ってもらった方がニノもやる気が出るだろう。


 それにニノは普通の人と違う。そのため、俺が離れてしまうとニノは孤独になるだろう。だからこそ、俺が一緒にいないとな。


「いや、俺ももっと強くならないとと思ってな。」


「私も、強くなる。」


「なら、俺はニノに負けないように更に強くなるか。」


「むっ、なら私はそのアレクに負けないほど強くなる。」


「なら、俺はそれよりも強くなる。」


「私はまたそれよりも強くなる。」


 俺達は互いに睨み合って、そして笑いあった。


 そして俺達は他愛の無い話をしながら寮に帰るのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ニノと別れた俺は男子寮の部屋に戻るとサンアが本を読んでいた。


「久しぶりだな。」


「そうだね、決闘戦では忙しくて寮に戻る時間が無かったからね。それにしても、怪我は大丈夫なのかい?」


「おう、全然大丈夫だ。」


 そう言って俺は腕を回して、大丈夫だとアピールをする。


「確かに大丈夫そうだね。それと、決闘戦優勝おめでとう。」


「あ、そういえば優勝していたな。」


 正直、ニノと本気で戦えたおかげ、満足していたから、すっかり頭から抜け落ちていた。


「だから、明日になったら優勝商品を貰いに行くんだよ。学校長にいえば、貰えると思うよ。」


「そうか、なら明日の授業の時に先生に話せばいいか。」


 俺がそう結論すると、サンアが言った。


「明日は授業が無いよ。完全な休みだね。」


「まじ?」


「まじだよ。」


「そうか、なら優勝商品は授業が始まる時に貰えばいいか。」


 するとサンアが呆れながら言った。


「駄目だよ。明日、受け取りに行くんだ。そうしないと、学校長が優勝商品を渋って渡していないとか噂が流れる可能性があるんだ。ほんと、アレクは面倒ごとを後回しにする癖があるよね。」


 やれやれと首を振りながら俺に言うサンア。


 確かそうかもしれない。なら、明日に行きますか、学校長にも迷惑をかけたく無いしな。


「分かった分かった。それじゃあ明日は朝食を食べてから行くとするわ。」


「それがいいよ。」


「ところで、部活って明日はやってるのか?」


「さぁ、どうなんだろう。やっている所もあればやっていない所もあるからね。」


 サンアもわからないようだ。まあ、先輩達のことだ、どうせ部活をしているだろう。


「そうか、まあ優勝商品を受け取ったら、部活に顔を出してくるわ。」


 それから俺とサンアは決闘戦の時に何をしていたのかを話しあって、眠りについた。


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