表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人で目指す世界最強  作者: カラス
72/100

決闘戦4

 退場した俺達は廊下で話しをしていた。


「負けました。アレクくんは強いんですね。それに最後は助けてくれたようですし。」


「ありがとうございます。それと最後のは自分のせいでもありましたから。」


 本当、あれはただのマッチポンプだ。だからお礼を言われるような事じゃ無いんだよな。


「いえいえ、あれは私が全力で相手をした結果ですから。それに私も魔力が限界で怪我をする可能性がありましたしね。」


 俺はその言葉に少し罪悪感を抱いた。何故なら先輩が全力だったのに、俺が全力じゃなかったからだ。


 それに、先輩が俺の実力を見たら騙されたと感じるかもしれない。と言うか、ニノと戦う時点で本気を出すのを確定だからな。


 俺は少し考えて自分の本当の実力を話すことにした。だけど話すのは今じゃない。話すなら次の戦いが終わってからだろう。


「先輩!」


「は、はい!」


 俺が少し大きな声で話しかけたせいでパルナ先輩はびっくりしていた。


「次の戦いが終わったら話したいことがあるんですが、時間は大丈夫ですか。」


「だ、大丈夫ですけど。」


「なら、俺の戦いが終わったら会いに行くので、出口で待っていてください。」


「分かりました。なら、それまではアレクくんの応援をしていますね。」


「ありがとうございます。」


 そうして俺達は別れた。


 別れた後、俺は控え室に向かい、次の戦いが終わるのを待っていた。


 すると決着がついたのか人が戻って来る。戻って来た人は俺がどこかで見覚えのある人の方だった。


 それから30分の休憩をはさむことになり、俺は誰だか思い出そうとしていると相手から話しかけてきた。


「アレクくんでいいんだよね。今日はいい戦いをしよう。」


「分かりました。ところで、失礼ですが俺達ってどこかで会ったことあります?会ったことがあるような気がしているんですが。」


「覚えていてくれたんだ。僕は毎日朝に剣を振っている人だよ。」


 俺はそう言われて全てを思い出した。


「ああっ!思い出しました。まさか、朝に剣を振っている人と戦うなんて嬉しいです。」


「そう言ってくれると嬉しいよ。僕も胸を借りるつもりで戦わせてもらうよ。」


「胸を借りる?」


「そんな変なことではないと思うんだけど。だってパルナさんに勝っただろう。」


「勝ちましたけど、パルナ先輩ってそんなに強いんですか?」


「そうだね。なんだって去年の決闘戦では2年生ながらに本戦で8人以内に入っているからね。」


 パルナ先輩ってそんなに凄い人だったのか。


「そうだったんですか。」


「だから、今年の優勝候補だったんだけどアレクくんが倒したから、今はこの話しで持ちきりだよ。」


「まじですか。」


「まじだよ。」


 俺は面倒だと思ったが、優勝する気のため今更関係ないと考え直した。


 すると先生に呼ばれて俺達は会場に向かう。すると最後の戦いという事で会場は大盛り上がりだ。


 それから俺達は戦いを開始して、俺が勝利した。先輩の戦い方はラーヤと同じような相手を翻弄するような戦いだった。


 それから俺は会場全体にスピーチを求められたが当たり障りのない事を話しておいた。


 すると、なんだか人が多くなっていることに気がついたが俺は控え室に戻り、パルナ先輩に会いに向かう。


 控え室から出口に向かっていると、生徒の人達とすれ違った。何故、生徒達がいるのか不思議に思ったがパルナ先輩に用があるのを思い出し、そちらを優先することにする。


 出口に向かうとパルナ先輩が待っており、俺は申し訳なく思った。


「遅れてしまってすみません。」


「気にしないで、私も今来たところだから。」


「そうですか、それじゃあここだと人が多いので場所を移しましょう。」


 俺はそう言って人気の無い校舎裏にパルナ先輩を連れて行った。


 移動中に俺が不思議に思った事をパルナ先輩に聞くとその生徒達は敗者復活戦に参加できる人達らしい。


 そんな事を話していると校舎裏に到着した。


 到着すると、周りに人の気配が無いのを確認して俺はパルナ先輩に向き合った。


 パルナ先輩は何か期待しているような目をしているが俺の勘違いだろう。俺は先輩を騙していた罪悪感を感じながら言う。


「先輩聴いてください!」


「ひゃ、ひゃい。」


 ひゃい?幻聴か。まあいい、しっかりと伝えないと、俺は喉からあと少しで出るというところで恐怖で声が喉から出なかった。


「…すみません、やっぱりなんでも無いです。」


 俺は勇気を振り絞れないダメな奴だ。するとパルナ先輩が真剣な表情で言った。


「言って、アレクくん頑張って。」


 俺は先輩のもの言いに驚く。


「もしかして、俺が言おうとしていることが分かるんですか。」


「分かっている。だから勇気を出して、私は言ってくれたら嬉しいから。」


 先輩には俺の事がお見通しだったのか、それなのにあんなに全力で戦ってくれて。


 いつのまにか先程の恐怖は無くなっていた。先輩のおかげで覚悟が決まる。


「先輩、俺は、俺は」


 俺が言おうとして先輩の顔を見ると慈愛の表情に満ちていた。その表情を見てで俺は全てを許されたような気がし、言葉がスラスラと出てくる。


「俺は先輩と全力で戦っていませんでした!先輩は全力で戦ってくれたのに、だから本当にすみませんでした!」


 俺はそう言って頭を深く下げる。


「へっ?」


 先輩から変な声が聞こえたから顔を上げるも何故か先輩は顔を隠していた。するとしゃがみ込んでしまった。


「あの、先輩?」


 すると独り言が途切れ途切れに聞こえる。


「勘違い?…囲気…白…かしい。」


 俺は何を言っているのか分からなかったが先輩としっかりと話さないとな。


「先輩!」


「ア、アレクくん。そう、そう全力じゃなかったことね。それは私がアレクくんの全力を出せなかっただけだから。それじゃあね。」


「あっ、先輩。」


 先輩は顔を赤くしてそう捲し立てて言うと走ってどこかに行ってしまった。


 こうして変な感じで2日目の決闘戦が終わってしまった。


勘違いが発生しましたね。


まあ、パルナ先輩は王子様に助けられる自分を想像するのが好きなようで、そのせいで少し妄想癖がありますから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ