決闘戦2
2日目となり決闘戦の決勝戦進出者が決まる戦いとなった。
ここまで上り詰めてくる選手同士の戦いになると試合時間が長くなるようで朝からの戦うことになる。
俺は自主訓練室に向かい、控え室に入ると周りの人達から視線を向けられる。
何事かと思ったが全員がピリピリしていたため聞く事ができなかった。
そしていよいよ3戦目が始まる事になる。俺は1番最初に呼ばれるようになった。
12番目だから2回勝てば3番目になる。だから4番目まで呼ばれる事になる方式では俺が1番最初に呼ばれるようになるのは必然だった。
会場にたった俺は対戦相手を見てフーバンと同じくらいの強さだと分かったため昨日と同じように一瞬で倒そうかと思ったが相手が構えた時にその考えを辞めた。
何故なら、飛び込んだらカウンターは受けないが防御されると分かったからだ。流石はここまで上り詰めて来ただけはある。
フーバンと同じくらいの実力だが、心構えは全然違う。
そこで審判から開始の合図が入った。俺は昨日と同じように突っ込むのを止め、受けの構えに変えた。
すると昨日と同じように俺が一瞬で決めない事に観客席が騒めき出す。
すると対戦相手の先輩が話しかけて来た。
「一瞬で勝負を決めているようだがしないのか。」
俺は不思議に思った。何故ならこの対戦相手は俺の戦い方を知らないはずだからだ。
2回戦目の時、この人は呼ばれた8人の中にいたが、俺が一瞬で対戦相手を倒していた時は自分の試合に集中していて気づいていなかったようだしな。
そこで俺はある可能性に気がついた。観客席に友達がいてその友達から情報を貰っているのだと。
例えば、俺に対しては防御に専念した方がいいとかだな。
「なるほどな、戦いはもう始まっていたと言うことだったか。」
「いきなりなんだ。」
「いや、こっちの話しです。それで、さっきの質問の答えですが、先輩こそ来ないんですかぁ?」
俺は挑発的に3年の先輩に向かって言う。先輩が俺の挑発に乗るようならカウンターを決めてすぐに倒せる。だけど、友達からの情報を信じて防御に専念するようなら少し時間がかかる。
結果は。
「いいだろう。1年だからといって容赦はしない。」
そう言って俺に攻撃を仕掛けてきた。まあ、そうだろうな前世の中学生と同じ年齢でこの世界の価値観だ、分かってはいたが挑発に簡単に乗る。
それに、友達と言ってもその友達が観客席から観ているなら自分の方がその友達よりも優れていると心の底では思っているものだろう。
だからこそ、友達からの情報よりも自分の情報の方が正しいと思い攻撃を仕掛けてくる。
フーバンほどの強さで防御に専念していないなら後は簡単だ。俺はギリギリで相手の攻撃を避けて剣で相手を斬ると、その衝撃により相手の態勢が崩れる。
そこで相手の肩を掴み、下に体重をかけると相手はバランスを取れずに倒れる。後は相手の腕を足で抑えて剣を振れないようにしたら喉に剣をあてるだけだ。
そうして俺は3戦目に勝利した。
4戦目は相手が2年生だったため、一瞬で倒すことができた。やはり、フーバンほどの実力になるにはこの学校で3年間学ぶ必要があるのか。
フーバンは貴族としての教育が7年間あっただろうに三年で平民に追いつかれるって、どんだけ練習をサボっていたんだよ。
何故フーバンの教育期間を知っているのか、それは貴族は5歳から教育が始まるからだ。この話しはサンアから聞いた。
そうして昼休憩の時間になったが、休憩時間は1時間ほどだ。俺は特にやることが無かったため、食べ物を屋台で買ってそこら辺をぶらぶらとしていた。
そうして歩いていると、マイクと同じような魔道具で観客達に今まで戦いの振り返りみたいのを話しているのが聞こえてくる。
それを聞きながら観客席で観客達はご飯を食べながら話している。
そして、選手達の紹介が始まった。俺は自分の紹介を聞くのが恥ずかしくなり、声が聞こえて来ない場所まで移動することにした。
移動した場所は周りに誰もいなくて静かな場所だ。そこでふと思う。
学校で周りに人が居ないのは初めてだと。俺は不思議に気持ちになりながら次の戦いまで、考え事をしながら待つ事にした。
そう言えば先輩達は応援に来るって言っていたけどどこにいるか分からなかったな。
サンアとラーヤは貴族として忙しいとかで応援には俺が戦うと思っていた場所でしかできないそうだ。
暇だな…3戦目の人みたいに情報収集でもするか。
俺は早速とばかりに選手紹介が聞こえる場所に向かった。
選手紹介は名前順のようで俺が次に戦う選手の紹介は終わってしまっている。
だから次の次に戦うであろう選手の紹介を聞く事にした。だけど1人の紹介は終わってしまったようだ。
選手紹介を聞いていると俺以外全員が三年生のようで、俺の異質感が際立ってる。
そして、俺の次の次の1人の対戦相手の紹介になった。
名前は『パルナ』と言い、モーガン商会の娘だそうだ。それで、魔法使いらしい。
「魔法使いか、なら中級魔法が使えると言うことだな。」
そのまま紹介を聞いたがそれ以上に詳しいことは分からなかった。
そして、昼休憩が終わり、5戦目になった。5戦目の人も情報収集をしていたようで防御の構えだ。
そして、この相手は迂闊に飛び込めばカウンターをくらうほどの相手だった。
だけど俺は少し打ち合いをしたい気分だったため、最初と同じように距離を詰めた。そして、打ち合いに持っていくためにわざと狙いを剣に向ける。
そうして、甲高い金属音が響く。そして互いに剣を弾き飛ばしての打ち合いが始まる。
だけど戦って分かった。俺の方が剣の技量が上だと。
それからは少しずつ俺の攻撃が入るようになる。そして、相手は攻撃を受けるのと、身体強化の魔力消費により、魔力が無くなり、俺の攻撃により体に傷がつく。
そこからは身体強化の無い相手のため、俺はすぐに剣を弾きとばして相手が驚いている隙に首に剣を当てた。
そうして、5戦目は俺の勝利で終わった。
戦いが終わると同じように控え室に向かおうとしたら対戦相手の先輩に握手を求められた。
先輩は剣術部の人らしくて、俺が剣で打ち合ってくれたのが嬉しかったらしい。
どうやら俺は剣術部では何故かとても強い人になっているようだ。
そうして、先輩と少し話して俺は控え室に戻った。それから少しすると控え室の扉から先生が来て対戦表の横にいる先生と話すと先生は対戦表に何かを書き込み始める。
そして、俺の次の対戦相手はちょうどいい事に俺が選手紹介を聞いたパルナ先輩のようだ。
そうして6戦目の対戦相手が決まった。




