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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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古代魔法の実用化

 ニノと一緒に鍛錬をしてから数ヶ月が経過して、残り数日というところまで決闘戦が近づいてきた。


 決闘戦に出場する事に決めた選手は学校で配られた紙に『出場する』と書くだけでいい。また、決闘戦は真剣で行うため、『ヒール』が使える魔法使いを常備していてかなり本格的だと分かる。


 また、真剣を使うため毎年大怪我をする者は何人も出るらしいが、死傷者は出ていないらしい。


 普通なら学園が死傷者出たら口止めしていると思うだろうが、この決闘戦は一般人にも公開されるため、そんな噂を一度も聞いていないから死傷者が出ていないのは本当なのだろう。


 それは、それだけ治療師の腕がこの領は良いという証明でもある。そして、アブソート家に光の公爵家の長女が嫁いでから更に負傷者は減っているようだ。


 そして、その決闘戦だが毎年1000人近くが出場する。その戦いを観るのは学生だけでなく、一般人も観に来るのだ。


 そのため、優勝商品が結構豪華らしい。学校に入学してもらうためにその豪華商品を一般人に見せて子供を学校に入れてもらう魂胆もあるようだ。


 そんなわけで、決闘戦が近づいて来ると学校中がピリピリとした空気になっている。


 いつものように4人で昼食をとっていても、周りからは食器の音しか聞こえない。そのせいで俺達も何故か話してはいけないような空気になっているんだ。


 まあでも、たまには真剣な空気も必要だろう。なんだって俺とニノが本気で戦うんだ。このくらいが案外ちょうどいいのかもしれない。


 それから俺達は解散していつものようにそれぞれの選択授業に向かった。


 そして、俺の選んだ古代魔法学だが、驚いた事にもう学ぶようなことが無いらしく各自で学ぶような形になっている。


 何でも先生の話しでは1年で終わるように授業を組んでいたらしい。だけど普通なら難しくて頭を悩ますのを俺はスラスラと理解するからその遅れも考慮していたのが無駄になっただからだそうだ。


 去年の先輩達もそうだったのか先生に聴いたら『あれ?あんまり悩んでいなかったかも。』とか言っていた。


 まあ、そういうことで俺は授業を受ける必要がないため、決闘戦に向けて実習室で自分の事に集中している。


 因みにこの部活の先輩達は決闘戦には出ないようだ。試しに俺はディアン先輩に『優勝したらモテますよ』と言ったら震えながらに言った。


「女にモテても碌なことがねぇ。」


 だそうだ。何でも学会から帰ったらモテるようになって天狗になっていたところ影で女子生徒が言っていることが聞こえてしまったらしい。


 ディアン先輩は最初は自分の事を話しているのだろうと思ったらしいが、聞こえてきた言葉に崩れ落ちたようだ。


 何でもその女子生徒達はただ『古代魔法の発動方法を見つけた人の嫁』と言う肩書きが欲しかっただけのようだ。


 そのせいで、ディアン先輩は若干の女性不信になってしまったらしい。因みに、この話はディナ先輩から聞いた。


 まあ、そんなわけでこの部活からは俺だけが出場という事になった。


 そして俺が今取り組んでいることは、古代の身体強化の1人専用バージョンを作っていることだ。


 それを実用化するためにはいろいろなことが必要だ。まずは魔法陣の簡略化。これができるようになって初めて実用化と言える。


 次に魔法陣の大きさだ。これを変える事によって1人用を作れるだろう。これは簡略化する時に見つけられた。


 ここまでは改良ができた。だけど最後が問題だった。それは、この古代魔法の持続時間を延ばす方法だ。


 これが中々に難しく、現在は最初に魔力を沢山込めればいいんじゃ無いかと思い、実験している。


 俺は小さくなった魔法の壁に数文字書くと、俺の真下に魔法陣が出現した。


 俺はその魔法陣の中心に魔力を大量に送り込んだ。すると、魔法陣は光だして古代の身体強化が発動される。


 すると体が物凄く軽い事に気がついた。


「古代の身体強化を強くする事はできたか。」


 だけど感覚で分かる。この身体強化も3時間で切れてしまうと。俺はどうすれば長時間発動させておく事ができるか考えているとメレス先輩に声をかけられた。


「アレク、考えごとかい。」


「はい、どうすれば長時間発動させておく事ができるか悩んでいます。」


「別にいいんじゃ無いかな?そこまで改良できたのは充分すごいと思うけど?それに決闘戦でそんなに長く戦う事になるとは思わないけどね。」


 確かに普通ならそうだろう。だけどニノは普通じゃ無いから3時間くらいなら耐えてきそうだ。


「そうかもしれません。ですが俺が戦う相手は普通じゃ無いので。」


「まったくアレクは何と戦う気なんだい。」


 そう言ってメレス先輩は、思いついたとでも言うように続けて言った。


「なら、魔法陣を残すようにしたらいいんじゃないかな。そうしたら、切れた時にまた魔力を送ればいいだけだし、それに送る量を変えたりすれば強さも自由に変えられる。」


「そうですね。ですが、それだと動く時に魔法陣から離れてしまいますよ。」


「なら、体に貼り付ければいいんじゃないかな?」


 その言葉は俺にとって、とても衝撃的だった。


「それですよ!先輩!さっそく取り掛かってみます。」


 俺はメレス先輩のアイデアをメモを取って忘れないようにしてやってみる事にした。


「まずは魔法陣を更に小さくして体に貼り付けれるくらいの大きさにして、それから、魔法陣が出現する座標も変更しないとな。それと…」


「アレク、声が漏れているよ。」


「ああ、すみません。興奮してつい。」


「別に怒っていないよ。それじゃあ完成できるまで、僕も自分の事をしているよ。」


 俺はメレス先輩に注意されながらも3時間ほどで完成させた。


「できた!」


「何が出来たって?」


「うおっ!ディアン先輩ですか。驚かさないでくださいよ。」


「すまねぇ。それで何ができたんだ?」


「ああ、すみません。メレス先輩の思いつきを魔法陣に組み込んでいたんです。まあ、見ていてください。」


 俺はそう言って作った魔法陣をさっそく発動させる。


 魔法の壁に書く文字数が少し多くなったが、身体強化と神経強化を発動させていればすぐに書くことができるから誤差だ。


 俺は不安に思いながらも実際に発動させた。すると魔法陣が服の上から俺に張り付いており、試しに魔力を送ってみると発動した。


「成功なのか?」


「成功です!成功ですよ!これで、古代の身体強化が実用化になりました。」


「それはすげぇじゃねぇか!」


 俺達の叫び声が隣の部屋に聞こえていたのか、他の先輩達もやってきた。そして実用化に成功した事を伝える俺達は喜びあう。


 こうして、決闘戦までに俺は古代の身体強化を実用化させる事に成功した。


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