成長
学校が休みの日になると俺とニノはいつものように寮を出た。
俺とニノは毎週事務室にお世話になっているため、新入生だが覚えられている。そして、門番に挨拶をし学校を出る。
「どこに行くの?」
「秘密だ。」
確か女子はサプライズ的なものが好きなんだよな。ふっ、俺は女心が分かる男。
そうしてニノを連れ、サンアに教えて貰った場所に着くと、そこは丘上に1本の木が立っていてのどかで風が気持ちよく、街が一望できた。
「綺麗。」
「そうだな。」
俺達は少しだけゆっくりとした。このように心を休めるのは重要だ。
「ここが、アレクの連れて来たかった場所?」
「そうだ。ここなら問題はないだろう。」
俺はアイテムボックスから木剣を2本取り出して片方をニノに投げ渡した。
「?」
「鍛錬をしようぜ。ここに来てから一緒に鍛錬をしてないからやりたくなったんだ。」
俺がそう言うとニノはジッと俺の顔を見て、ため息を吐いて言う。
「分かった。それにアレクはアレクだった。」
「俺は俺だぞ?」
不思議に思ったがニノが剣を振り始めたから聴くことができなかった。聴くことができないなら仕方がないと切り替え、俺はニノの隣に並び剣を振るう。
それから2時間ほど剣を振ると村の時と同じように休憩を入れる。
俺はアイテムボックスから手拭いを取り出してニノに渡す。互いに汗を拭き取ると、木を木陰にして腰を下ろした。
「なあ、ニノ。俺達は成長したよな。」
俺は久しぶりにニノと鍛錬をしたせいか、昔の光景が蘇ってきていた。昔と今を比べて凄い成長がある。
「うん。この成長はアレクのおかげ。」
「俺の?」
俺がそう聴くとニノは頭を俺の肩に預けて言った。
「アレクが居てくれたからここまで成長できた。もしもアレクが居なかったら私はここまで成長できたか分からない。だから、勝手に居なくなるのはやめてほしい。」
その言葉は、ニノに無断で王都に向かった事を含めているのだろう。
「ごめんな。それと俺もニノがいなければここまで成長できたか分からない。」
本当にそうだ。もし俺が1人だけだったら道半ばで諦めていただろう。これもニノのおかげだ。
「アレクも同じ思いだった。」
「そうだな、長いこと一緒にいるから考えが似てきたのかもな。」
「そうかも。」
そう言って、2人で笑うと俺達は休憩を終了した。この後、俺は魔力の塊を回しながら素振りをする。
ニノはこれを見ると『私もやっていた』と言い、同じように再現してみせた。俺達は考えが一緒と言う事にまた笑い合った。
そうして、また2時間ほど剣を振ると、昼頃になり、休憩がてらここに来る途中で買ったサンドウィッチを2人で食べる。面白いことにこの世界ではサンドウィッチと呼ばずにダブルぱんという。
なんでもダブル伯爵という貴族の領地で作られたからそう名付けられたようだ。
それからは少し話しをして、村でしていたように身体強化無しと身体強化有りの剣術と体術をした。
それらが終わって休憩を取ると俺はニノに聞く。
「ニノ、この後久しぶりに全力で戦うか?それとも、今は互いの実力を見ないで決闘戦で戦うか?どっちがいい。」
俺がそう聴くとニノは真剣な目をして言った。
「決闘戦で戦う。」
「ニノならそう言うと思ったよ。なら帰ろうか。それと負ける気は無い。」
「私も。」
そう言い合って寮に帰った。帰る時に夕日がバックになっていて、まるで俺達2人の闘いを太陽に応援されているようだった。




