ニノ視点3
洞窟へ向かっているとシンシアさんが話しかけてきた。
「ニノちゃん、アレクと仲直りできてよかったね。」
私はシンシアさんにニノちゃんと言われるのは少し寂しく感じたから勇気を出して言った。
「はい。それと私のことはニノ、でいいです。」
「分かった。よろしくねニノ。」
私はシンシアさんと仲良くなれて、ずっと聞きたいことがあってそれを聞こうと思った。
「シンシアさんの好きな人はレイさんですか?」
「バレちゃったね。そう、レイだよ。」
そう言ってシンシアさんは照れくさそうに笑う。私の予想は当たっていた。シンシアさんはレイさんに過剰にくっついていたから。
「なら、どんなところを好きになったんですか。」
シンシアさんは少し考えて困ったような顔をした。
「そうだね、沢山ありすぎて困るな〜、でも1番好きなところは優しくて芯があるところかな。あれ?これじゃ2つになっちゃた。」
シンシアさんはそうおちゃらけたように言う。
「それで、ニノはアレクのどんなところが好きなのかな?」
そう言ってシンシアさんはニヤリと私を見てきた。
「ッ!」
私は今の話しがアレクに聞こえてるかもと焦ったけど、大丈夫だった。
「ごめんね。こんな話し最近できてなかったから。それで、アレクのどこが好きなの?」
私はシンシアさんにそう言われて考える。
努力をしているところが好き。優しいところが好き。真剣な眼差しが好き。私を理解してくれているところが好き。気遣ってくれるところが好き。曇りない笑顔が好き。話しをしっかりと聞いてくれるところが好き
…好き…好き…好き
考えただけで、またアレクを好きな気持ちが溢れてくる。
「ニノって、アレクのことを考えている時だけ分かりやすいよね。」
そう言われて自分の頬を手で触ると熱があるのが分かった。私は恥ずかしさのあまり黙ってしまった。
「…。」
「ニノも私と同じなんだね。好きな人の好きなところが沢山ありすぎて困っちゃうってところ。」
「うん。」
そうして、私達の恋話は洞窟に着くまで続いた。
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ゴブリン殲滅が終わり、一晚明けて冒険者達が帰ろうとしているところに遭遇した。
私とアレクは冒険者達に駆け寄った。するとシンシアさんが私達に気づいてくれた。
後ろからレイさんもついてきていて、私はシンシアさんと少し話しをする事にした。
「さよならだね、ニノ。」
「うん。」
私は少しの間だけど、シンシアさんにはとても良くしてもらっていたから、泣きそうになる。
「ニノ、そんな顔しないで、それにニノは冒険をするんだったよね。」
「はい。」
「なら、いつか私達と会えるよ。だから会った時のために約束をしよう。」
「約束?」
そう私が言い返すとシンシアさんは私の耳に口を近づけて言った。
「そう、約束。次に会った時に互いに彼氏として紹介するの。」
私は顔が紅くなるのを感じた。少し想像してしまった。
「ふふ、可愛い反応だね。じゃあ約束だよニノ。」
「分かった。」
こうして、私とシンシアさんの女と女の約束ができた。
(冒険者になりたてだけど、シンシアさんはもうレイさんを彼氏にしているはず、私もいつかアレクを彼氏に…。)
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私は今、ゴブリン殲滅戦の時にアレクにお願いした魔力適性を見てもらうため、アレクの家に来ている。
私は初めてアレクのお母さんを見たけど、とても綺麗な人だった。
私はアレクのお母さんに魔力適性を見てもらう事にお礼を言った。
そして、どちらが先に測るかで、私はアレクにお願いした。アレクのお母さんの前だからくん付けで呼んだけど、なくていいと言われた。
そして、アレクが少し寂しく感じてくれたことが嬉しかったけど、私は顔に出さないようにそう思った。
そして、アレクが魔道具に触ると赤、青、緑ととても綺麗に光った。
そしてすぐに私の番が来て、測ると魔道具がとてつもなく光ってアレクのお母さんに勇者かもしれないと言われた。
そして、勇者と言われて私は1つだけ思い当たる節があった。それはアレクに説明してもらった身体強化のレベルが上がった事。
勇者の身体能力は普通の人よりもずっと高いと本で読んだ事があった。
この2つの情報があって、さらに私が魔質の変化を簡単にできれば勇者となる。
そして、話していくうちに成人まで私は勇者だと明かさない事にした。
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私はアレクのお母さんに魔法について教えてもらっていた。
前にもアレクに教えてもらっていたけど、しっかりと魔法のことを学んで魔法がどれだけ危険か分かった。
そして、夜になるとアレクが私のことを家まで送ってくれる事になり、アレクに今日はどうだったかを聞かれて正直に答えた。
そして、そんな危険な力を簡単に行使できる人間が近くにいたら怖いと思う。
私はこの力のせいでアレクが離れていくと想像してしまい。私は泣きそうになった。
そんな弱音がこぼれてしまって、私はアレクに自分の気持ちを言ってしまった。
アレクは私を拒絶すると思った。だけど、帰ってきた言葉は私が1番欲しい言葉だった。
私はアレクが嘘をついていないことが分かっていたけどしっかりと確認せずにはいられなくて言ってしまった。
「本当?」
私がそう聞くとアレクはわざと挑戦的に言った。それを聞いてアレクの優しさが私の胸の奥まで染み込んでくる。
そして、アレクも好敵手と思っていた。
私はさっきまでの気持ちが吹き飛び、笑顔でアレクに宣言した。絶対に勝つと。そして、絶対に離れないと。
そうして、私達は並んで歩く。




