サンアの妹
ニノが金髪少女に勝ったのを見て、辺りを見渡すといつのまにかサンアがいなくなっていた。そしてサンアを探していたら、何か考え事をしているサンアがいた。
「どうしたんだサンア、そんな考え事をして?」
するとサンアは今、俺に気がついたのか少し驚きながら振り返った。
「いや、あの青髪の子とどうやって仲良くなろうか考えていてね。」
俺はサンアの言葉を聞いて、ニノに友達ができるならちょうどいいと思いサンアに忠告と共に言った。
「サンア、あれが俺の友達のニノだ。だから、勧誘しても無駄だぞ。」
「…驚いたね。まさかあれほどの実力者と友達だとは、それとアレクの話しを聞いて勧誘は諦めたよ。」
サンアに驚かれたが、俺にはそれより気になる事があった。ニノに負けたとはいえニノと打ち合っていた金髪少女は何者なのかと。
俺はサンアが知っているかもしれないと思い、サンアに金髪少女の事を聞いてみた。俺が何故、サンアが知っているかと思ったのか、それはあの少女の汗を拭く使用人と思われる人がいたからだ。
「なあ、サンアはあの金髪少女を知っているか?」
「ああ、あれは僕の双子の妹だよ。だからその妹に剣術で勝ったアレクの友達に少し興味が湧いたんだよ。」
「その言い方だと、ニノが勝てると思っていなかったって聞こえるんだが。サンアの妹はそんなに強いのか?」
「そうだね、僕が言うのもなんだけど妹は剣術の天才と言われていたからね。」
そうなのか、なら納得だ。ただ、何で戦いになったのだろうか。俺は直接本人に聞いた方が早いと思い、聞きに行く事にした。それに、少し時間が経って人が少なくなってきたしな。
「サンア、ニノ達の所に行くぞ。」
「アレクが言わなければ僕が言う所だったさ。」
そして、俺、サンア、サラさんの3人でニノ達の場所に向かった。
俺が向かうと俺の気配に気がついたニノがこちらを見てきた。俺が軽く手を振るとニノも手を小さく振り返してくれた。そして、ニノ達の場所に到着する。
「ようニノ、さっきぶりだな。それで、こちらの方は誰だ?」
「私と同じ部屋のラーヤ。」
「ラーヤよそれで貴方がアレクであっているのかしら?後ろにお兄様もいるみたいだけど。」
すると、サンアの妹のラーヤは俺を訝しみながら見てきた。俺が不思議そうにしていると、ラーヤが近寄ってきて俺の手を見てきた。
「何をしているんだラーヤ、失礼だろう。」
「いえ、お兄様、ニノがアレクも剣を使えると言っていたので確認しているだけよ。」
その言葉を聞いて、サンアは眉を指で押さえながら頭を振った。俺は、この場所に来た目的を思い出して、目の前でまだ俺の手を見ているラーヤに聞いた。もちろん、相手はサンアの妹とはいえ、初対面で貴族だから敬語で聞いた。
「それで、ラーヤさんは何故ニノと戦っていたのでしょうか?」
「それは、私が誘ったのよ。ニノと握手した時に相当剣を振っているのが分かって戦ってみたいと思ったのよ。」
そこでラーヤは言葉を溜めて言う。
「だから、貴方とも戦ってみたくなったわ。」
今さっきまでの雰囲気が変わり、とても好戦的な笑みを浮かべいるラーヤがいた。
俺は助けを求めるようにサンアを見たが、サンアがとてもいい笑みで言った。
「それはいい、僕もアレクの実力を見てみたいと思っていたんだ。」
俺は最後の希望と思いニノを見た。
「私もアレクとラーヤの戦いを見てみたい。」
どうやら、俺の周りには味方がいなかったようだ。こうして、俺はラーヤと模擬戦を行う事になった。




