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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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試験と寮

 俺達は無事に野宿を終えて朝になり、俺達は野宿に使った道具を片付け始めた。


「さて、こんなものでいいだろう。火もしっかりと消したから山火事にもならないだろうしな。ニノも終わったか?」


「終わった。だから『クリーン』。」


 ニノが初級魔法の光魔法を発動させる。『クリーン』は、体の汚れや匂いを消す魔法だ。使い手の力量が高ければ高い程、浄化能力が上がる。なんでもこの魔法を使い込んだ人は不死属性の魔物を浄化したそうだ。


「いつも悪いな。それと助かってる。」


 俺がそういうとニノは首を振り言った。


「適性の問題、それに私の魔法の練習になる。」


「そうか。それじゃアブソートに向かうぞ、あとだいたい6時間後くらいに学力試験が始まるからそれまでにはつかないとな。まあ、走れば3時間くらいで着くが急いで行くぞ。」


「分かった。」


 そして俺達は走り出した。


 俺達が向かっている学校には組み分けをするために学力試験を受ける。その試験の結果で組が別れるのだ。


 そして、学校での成績が上から100名が王都にある高等学校へと推薦で入学することができる。まあ、だいたいが貴族や商人などで一般家庭の生徒はなかなか難しいようだが。


 俺はニノと学校について話しながら向かった。まあ、後半の話は学校の図書館の話になったが。


 そして、俺達はとうとう街の門が見えて来たところまで着いた。


「ニノ、見えてきたぞ。あれがアブソート公爵領首都アブソートだ。ただ、門の前に行列ができているようだが。」


「後、3時間で入れる?」


 ニノに言われて俺は行列を見ていたら分かった。どうやらあの行列は学校の入学式と聞いて儲かると考えた行商人達と馬車で来た人達だけが止められてるようだ。よく見ると歩いて来た人達は簡単な確認だけで門を通されている。


「全然大丈夫そうだ。俺達はあの馬車の列じゃなくて、隣にある人用の道を使えばいいっぽいからな。」


「良かった。でもなんで行商人がこんなにいるの?」


「俺の予想だが、行商人が扱うのは小物だから、都会まで来た学生が記念と思って買うのを狙っているんじゃないか。」


「その気持ち、分かる。」


 俺の説明に納得したのかニノがしみじみと頷いた。


「まあ、俺達も似たようなものだけどな。ただ、俺達は物じゃなくて食べ物だが。」


「あれは抗えない。全てが美味しそうに見えた。」


「まあ、俺達の村のご飯は基本的には薄味のものばかりだからな。」


 ほんと、俺達の村の食べ物は薄味だった。だけど体にはいい物ばかりだったんだよな。そのおかげで俺達は丈夫な体になったんだけどな。


「アレク、列に並ぶ。」


「ああ、そうだな。」


 そして10分後、俺達は簡単な検査をさらて街の中に入った。街の中に入るとそこかしこから商売をしている声が聞こえてくる。俺も圧倒されたがニノも少し圧倒されているようだ。


「アレク、これからどうする?」


「そうだな、最後に勉強の復習といくか。そして入学式が終わったらある程度、物を買ってまた外で野宿だな。宿は学生達で全部埋まっているだろうし。」


「分かった。」


 そうして俺達は勉強するために店に入った。勉強はニノの母さんのアレイシアさんが見てくれていて、とても分かりやすかったのを覚えている。


 その教えを思い出しながら復習し、その結果、俺達は大丈夫だった。学力試験は歴史、国語、数学の3つを見られる。そして学校に入れる時間になった。


 俺達は店を出て学校へと向かった。学校へ向かって行くと周りには若い人達ばかりになる。その中には自信たっぷりな奴や、びくびくしている奴、友達と話している奴と様々だった。


 そして俺達は学校に着いた。


「さて、着いたが、それにしてもでかいな。」


 俺は改めてこの学校の大きさに驚いた。


「1万人は入るらしい。お母さんから聞いた。」


「そうなのか、いくら他の学校があるからと言ってもそのくらいは必要か。まあ、この後は試験だ受付に行こうぜ。」


 そして俺達は受付にて自分達がどこで試験を受ければいいのかを確認すると、俺とニノは同じ教室で試験を受ける事になった。


「アレクと同じ教室。」


「どうやら、席の順番はこの学校に来た順番らしいな。俺達は、20階の12教室だったけ?」


「そう。」


「なら、行こうか。」


 俺達は20階まで階段で向かった。前世では20階を階段で上がるなんて面倒だが、この世界では基本的に体力が多い人が多い。だから20階なんてすぐという認識だ。


 俺達は教室に着くと自分達の席に着いた。受付で1〜30の番号をもらいその番号の席に着く。ちなみに俺とニノの番号は15番と16番だ。


 俺はニノと話そうかと思ったが周りの生徒たちが皆んな勉強をしていて静かなのだ。俺は空気を読んで勉強をする事にした。


 そして、試験開始から10分前に扉から先生が入って来た。そしてこの試験の説明を始めた。


「さて、皆さんこれから10分後に試験を始めます。一つの科目に50分の制限時間があり、計3つあり、1科目が終わるごとに10分の休憩があります。そして、お手洗いは教室から出て左奥と右奥、そして真ん中とあります。そして、違反行為は即失格です。説明は以上です。何か質問はありますか。」


 先生がそう確認するが誰も手をあげない。


「質問が無いようなのでこれで説明を終わります。問題用紙と解答用紙は5分前に配ります。」


 そして、先生の説明が終わった。それから時間になり問題を配られて驚いた。だって、試験の内容があまりにも簡単だった。


 国語は有名な本が問題文として出ていて全てが文章からの抜き出し。


 数学はほぼ小学生高学年レベルで、少し中学生の問題がある程度。


 最後に歴史だが、日本の都道府県を全て書くのと同じくらいのレベルだった。


 そして、全ての学力試験が終わった。俺は野宿するための準備を考えていたところ、先生に驚く事を言われた。


「試験お疲れ様です。では男子寮、女子寮の場所と規則について話します。」


 その話を聞いて確かにと思った。この街には1万の学生が集まる。それら全てが宿なんかに泊まっていたら冒険者などの人達が泊まることができなくなる。


 俺は先生の話を聞いて納得したのと野宿じゃなくてラッキーだと思った。そして、寮での規則だが、2人で1部屋で、敬意を持って年上に接しろくらいで後は当たり前のことばかりだった。


 そして、ご飯とお風呂だが、ご飯は無料で食堂に行って各自自由にとっていいらしい。そしてお風呂は個室にあるのと大浴場のどちらを使っても構わないらしい。


 その説明が終わると解散となり、俺はニノと一緒に途中まで寮に向かう事にした。


「ニノ、試験どうだった?」


「驚くほど簡単だった。」


「だよな、アレイシアさんに教えて貰った範囲の1割で全て事足りたよな。」


「うん。」


「それにしても驚きだったよな寮の事。俺は全く知らなかったわ。」


「うん。…」


 俺が寮の事を話すとニノは少し落ち込んだようだった。理由を考えたが俺は1つしか思い浮かばなかった。


 同じ部屋の人と仲良くできるのか。


 多分、ニノは仲良くできるか不安なんだろう。なら、俺が励ましてやらないとな。


「ニノ、そう不安がるな。」


 俺がそういうとニノは意外そうに俺を見た。


「同じ部屋の人と仲良くできなくても、俺がいるからな、何かあったら頼ってくれ。それに、ニノはこの数年で表情が豊かになった。だから普通に仲良くなれると思うぞ。」


 俺がそういうと、ニノはとても不満そうな顔をしていた。なんでだ?俺が不思議に思っているとニノが小さく何か言っていたが聞こえなかった。


“私はアレクと離れたく無いだけ”


「ニノ、すまんがもう一回話してくれ、聞こえなかった。」


「嫌。」


 ニノに顔を背けられてしまった。ニノは昔から頑固だからな、時間がかかりそうだ。俺がどうやって、ニノから話しを聞き出そうか考えていると、ニノが言った。


「アレク心配してくれてありがとう。でも大丈夫。」


 ニノの目を見て分かった。ニノが無理に虚勢を張っているわけじゃないことが。


 確かに俺も心配しすぎだな。これじゃあ、俺がニノの成長のチャンスを無くしてしまう。


「そうか、なら頑張れよ。ただ、ニノは1人じゃないからな。困ったら俺に話せよ。」


 そうして俺達はそれぞれの寮へと別れて行った。


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