学校
あれから2年経ち俺達は10歳になった。
この2年間で1番の変化はニノが魔法を使えるようになった事だろう。そして魔法の練習だがニノは失敗することもなく魔法を使いこなせた。まあ、魔法を使う前から俺が魔法の制御とかを教えていたから当たり前の結果だろう。
そして俺は身体強化と神経強化の2つを発動させる事ができるようになった。そのおかげで神経強化の痛みも軽減されている。これも、魔法の制御を頑張ったおかげだろう。
その他にもユークさんとの訓練もやった。ニノを連れてきた時はユークさんも驚いていたが普通に一緒に訓練をした。
習った事は動物に気付かれないようにするための足音を消す訓練と魔力感知を使わないで敵の気配を探る訓練を行った。その他にも何が危険な植物でどの植物が使える植物なのかの説明をしてくれた。
そして1番キツかったのは俺とニノで森の中で3日間を過ごすように言われたことだ。なんでも今までに通してきた事を活かすためらしい。もちろん食料も武器も無い、身一つだ。
ただ、これのおかげで殺気が分かるようになった。その他にも寝たまま身体強化を発動させ続ける事ができるようになったり、木の芯を武器に変えて道具を作ったりとサバイバル技術も身についた。これを1年に1回やったから2回やった事になる。
それでいて魔法の勉強と訓練と父さんとの鍛錬。最後にニノとの魔法有りの本気の模擬戦。最後の模擬戦は母さんが監修して行った。
10歳になるまでの2年間をこうして振り返ると自分をどれだけ追い込んでいたのかが分かる。
そして現在、俺達は魔法の勉強が終わり待機中だ。なんでも俺とニノの母さん達が前々から準備していた事を実行するらしい。俺は嫌な予感を感じながらも隣りにいるニノに聞いた。
「ニノ、何が起こると思う?」
「分からない。」
「だよなぁ、俺も全く持って予想ができないんだ。」
この2年間を振り返ったのはこのためである。何か思い出せればと思ったが結局、何も思い出せなかった。
「私達なら大丈夫。」
俺の不安を感じ取ったのかニノが言った。だが考えてみれば確かにそんなに心配する事はないと思った。
「確かに、俺達でならなんとかなるか。」
俺がそう言うと同時に母さんとアレイシアさんが帰ってきた。そして母さん達の手元を見ると教科書らしき物があった。
「それは何?」
ニノがアレイシアさんに質問する。
「ニノとアレクくんのための教科書ですよ。」
新しい魔法の勉強用の本かと思ったが母さんに否定された。
「あっ、ちなみにこれは魔法の本じゃ無いわよ。」
「そうなんだ。なら何の本?」
「これは学校の教科書よ。」
その言葉を聞き全てを理解した。学校に入るのは強制だと。そして母さん達は入るからには1番にしようと考えたのだろう。確か学校に入る時に試験をするらしいからその試験のための教科書だろう。
それでも一縷の望みをかけて母さんに聞いた。
「一応聞くけど、それって強制じゃ無いよね。」
「強制よ。」
俺は多分とても嫌そうな顔をしているだろう。ニノを見ると向こうも同じ感じだった。
こうして俺達にはプラスで学校の勉強が増えたのだった。




