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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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本と魔法操作

 ニノの魔力適性が分かってから母さんがリガルドさん達とニノのことについて話してくるから、それまで遊んでいなさいと言われ、俺達は暇を持て余していた


「ニノ、何かしたい事でもあるか。」


 俺が質問するとニノは考える事もせずに即答した。


「魔法の練習。」


「却下だ。第一、俺もまだ完璧に扱える訳じゃ無いのに教えられる訳ないだろ。それに勇者の魔法の威力がどのくらいか分からないから余計にな。」


 俺がそう言うとニノは不満そうな顔をしていたが、理解はしているようだ。生活魔法と違って本格的な物だからニノの使いたい気持ちも分かるけどな。


「なら、本を読む。」


「それなら俺の部屋だな。ついて来てくれ。」


 そう言い、ニノを2階にある俺の部屋に連れて行った。


 母さん達が、俺が本好きなのを考えてくれて俺の部屋に本棚を移動させてくれたのだ。今では壁が本棚で埋まっている。


「本が沢山。」


「ああ、母さん達が移動させてくれてな。一応ここにある本は全て読んだぞ。それで何系を読むんだ?」


 本を見ていたニノが俺の話を聞いて、振り返って言った。


「冒険物。」


「了解。それなら布団に1番近い本棚の上から3段目だ。」


「ありがとう。」


 俺がそう答えるとニノは直ぐにその場所に移動して本を見始めた。すると面白そうな本を見つけたのかそれを手に取っている。


「布団の上に座って読んでいいぞ。」


 俺がそう言うとニノの動きが一瞬止まったが、ニノはゆっくりと布団の上に座った。


 椅子にでも座ろうとしたけど俺が言ったから、遠慮するのは申し訳ないとでも思ったんかね。不思議に思ったが気にしない事にした。


 ニノが座るのを確認すると俺は初級魔法についての本を手に取った。ニノが魔法を学ぶなら復習の意味も込めて、もう一度読もうと思ったからだ。


 俺はニノの隣に座って本を読み始める。本を読んでいる時はお互いに喋らない。喋るのは本を読み終わってからだ。


 本を読み始めてから数分、俺は思った。やっぱりこの本は読みやすいと。この本は初級魔法でできる事を書いたり、使った時の絵が描かれている為とても面白い。それに読むのに飽きないように時々、ギャグのようなものを挟んでいる。


 しかも分かりやすい為、しっかりと実力がつく。これを見て思うが、将来の役に立つ事を例として書いてある事はとても言い案だと思える。


 だけどこれが中級以上になるとしっかりと難しい。作者が違うからって理由がありそうだが。それと今更ながら思うと、この本の作者は名前が書かれてないのは変だよな。


 中級以上の本にはしっかりと名前が書いてあるのに、後で母さんに聞いてみるか。


 そんな事を考えながら1時間が過ぎて本を読み終えた。隣を見るとニノはまだ本を読んでいるようだ。それでも3分の2ほど読み終わっている為、読むスピードは早いと思う。


 俺が前世で8歳の頃なんて本なんて読んでいなかったから分からないが、そんなに早く読むことは出来なかったと思う。


 俺の前世の記憶は基本的に人間関係が記憶に無いんだよな。まあ、記憶障害の場合、長期記憶から消えていくらしいから、それに近いものなのかもな。


 俺はニノが集中して本を読んでいるのを邪魔しないようにゆっくりと立ち上がって本を戻しに行った。違う本を読もうかと思ったが、後数十分でニノが本を読み終わるだろうから、待っている間暇なので魔力の塊を回して待っている事にした。


 魔力の塊を回す事によって魔法の発動と操作が簡単になるのだ。俺はまだ中級魔法の制御が下手な為、まだ魔法使いとは言えない。魔法使いの定義とは俺は中級魔法まで使えればいいのだと思っていたのだが、どうやらその中に魔法の制御も入るらしい。ただ、魔法の制御は母さんが考えている魔法使いの定義らしいが。


 確かに魔法は向いている方向に向かって発射されるが、軌道が直線のため簡単に避けれてしまう。母さんが言うにはこの制御も含めてできたら魔法使いとして合格をくれるらしい。


 だからこの国では魔法は直線的に飛んでくるものばかりで能力が高い戦士は魔法使いに進みながら避けられるらしい。


 それでも魔法の速度は速いため大体の戦士は避けられずに当たるか、避けるのに精一杯らしいが。


 これが魔法使いが強いと言われている理由なのだそうだ。そして、魔法の制御もできれば大体の相手を完封できるらしい。


 俺が魔力の塊を回しているとどうやらニノは本を読み終わったようだ。そして俺と目が合うと聞いてきた。


「アレクは何をしてるの?」


「ああ、魔法の発動と制御の練習をしてるんだ。ニノが前に言っていた生活魔法を魔力が空になるまで発動させてから寝て魔力量を増やすものじゃなくて、魔法の発動と制御を鍛える事に特化してるんだ。」


 俺がそう言うとニノも試したくなったのかやろうとしたようだが、魔力の塊が手のひらにあるだけでどうやってやればいいのか分からないようだ。


「どうやって回すの?」


 俺はそう聞かれて答えが出せなかった。これは俺が前世の記憶から独自に考えてやったことでそれを説明できないんだよな。


「あー、すまんが説明が難しい。ちょっと考えるから待っていてくれ。」


「分かった。」


 この世界にあるもので回っている物は何かあったけな。それをイメージできれば簡単なんだが。俺が考えいることが口から漏れていたのか。ニノが何やら考えて実践し始めた。俺がそれを見ているとニノの手のひらにあった魔力の塊が動き始めた。そして、魔力がニノの手の上で縦に回転し始めた。


「えっ。」


「できた。」


 ニノはなんでもないかのように魔力を回転させ続けた。そして、コツを掴んだのか魔力の回転が横になったり、斜めになったりと完璧に回せていた。俺はしばし呆然としたが直ぐに頭を切り替えて聞いた。


「ニノ、何を考えたんだ。」


「馬車の車輪の回転。それに土がついていてそれを魔力の塊として見た。」


「確かにその考えなら回転させられるか。だけど、そう簡単に回せる事はできないと思うんだけどな。」


 俺は魔力の塊を回した時の事を考えていた。魔力の塊を回そうと考えて実践したはいいが少ししか動かず魔力も回ってはいなかった。そして、3日目でやっと回すことができたんだよな。そして徐々に回転を大きくしていったんだよな。


 だからニノがすぐにできたのは俺にとっては予想外だった。これなら教えなくても回転を大きくしていけるだろう。ただ、手の上でしか集中してやらないとできないようだけどな。


「ニノ、これをやれば魔法の発動と制御が上手くなるからやっといた方がいいぞ。それと回転を大きくしたいなら徐々に大きくなっていくように考えた方がいいぞ。」


「分かった。」


 俺の助言のおかげかニノは直ぐに回転を大きくして手の上で回していた。


「それを後は頑張って身体の周りを回すようにすれば完璧だ。ただ、これには初級魔法を使えるようにならないと出来ないから魔法の勉強を頑張らないとな。」


 身体の周りを回すとすると、手から離す必要がある。そのためには、手から離れる魔法の発射をできるようにしなければいけない。だから初級魔法が使えないといけないんだ。


 この時、俺は知らなかったが、手から魔法を出すのが一般的なようで、手から魔法を離すのは母さんの教えのせいだった。


「分かった。初級魔法の勉強頑張る。」


 そう言うとニノは魔力の塊を回す事を辞めた。それに丁度良いタイミングだしな。俺は魔力感知をして母さんが帰っているのを確認した。


 そしてニノがそう言い終わると同時に母さんが帰ってきたので俺達は一階へと降りて行った。


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