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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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特訓

 それから約一年半が過ぎ俺は3歳になった。それとこの世界では誕生日を祝うと言う風習はないようだ。


 そしてそんなある日の夜のこと父が言った。


「アレク、お前はもう3歳だから外で遊んでもいいぞ。と言っても庭の前までだけどな。」


 父は笑いながら言う。


 俺はこの世界に魔物と呼ばれる生き物がいる事を知ってからは身を護る術が必要だと思っていた。そのため外に出られるようになった時は父にお願いしたい事があった。


「父さんそれなら俺を鍛えてくれない?」


 俺の言葉に驚いたのか両親が固まる。だが父は頼られたのが嬉しいのか直ぐに返事を返してくれた。


「いいぞ!それならまずは体作りからだな。」


 そう父が言ったが危険な事が嫌いな母が反対した。


「ダメよ!アレクちゃんはまだ3歳なのよ!まだ体が丈夫じゃないのよ。だから許可は出せないわ。それにアレクちゃんはよく魔法の本を読んでいるから魔法を使ってみたいでしょ、だから魔法の練習をしましょうね。」


 そう言い母は俺の手を握ってきた。だが父はそれを良しとしない。


「リリア男なら体を鍛えて強くなるべきだ。それに魔法なら後から覚えられるだろう。だが体作りは小さい頃からやらないとダメなんだ。」


 父はそう力説するがそれに反論するように母は言った。


「魔法だってそうよ!魔法は小さい頃から使えば使うほど強くなるんですから、だから魔法をやるべきだわ。」


 そう母は言い返し、後少しで修羅場になりそうだった。


 流石に自分が言った言葉のせいで喧嘩になられたらたまらないので何とかしようと考えていたら、ふと思いついた。


(それなら体を鍛える事と魔法どちらもやればいいと。)


 そうして後少しで修羅場に入るところで俺が待ったをかけた。


「父さん母さん、それなら二つ同時にやればいいでしょ。」


 そう言ったら両親は驚いたが、少し冷静になったのか落ち着いてくれた。それから二人は何か話しあって俺に言ってきた。


「アレク、本当に二つやるんだな。それはとてもキツイぞ、それに遊ぶ時間も減ってしまうがいいのか。」


「別にいいよ父さん、キツイのは同然だと思うし、それに物語の勇者もとても辛そうだったもん。」


「そうか、なら妥協は許さない。最後までしっかりとやり抜くんだ。」


「分かった。」


 そう言い覚悟を決める。


 そうして次の日から地獄の特訓が始まった。


 最初は父の体作りだそうだ。俺は戦いかたを教えてくれると思っていたからとても拍子抜けだった。


 だがそれは間違いだった。まずいきなり走れと言われて走った。だがいくら走っても終わりと言ってくれず精神的にも参ってきて段々と足取りが重くなっていった。


 それで転んでも直ぐに怒鳴るような声で走れと言われて走り続けた。それからこんな事に何の意味があるのか、こんな辛い事早く辞めたいと思った。


 そんな時いきなり前世一部の事を思い出した。それは酒に浸り部屋が汚くやる気が一切感じられない男が写っていた。


 これが自分なのか?


 こんな生き様をこの世界でも晒す事を考えると、より一層自分がしっかりと生きないとアレクに申し訳ないと思った。


(そうだ!そうじゃないか!この体は本当はアレクの物なんだ。それなのに俺は自分勝手な理由で好きに使ってわせてもらっているんだ。だからアレクの為にもしっかりとこの人生を生き抜かないといけない!)


 そう思い直してからは俺は走ったどんなに終わりが見えなくても走り続けた。ただ、人の身体はいつか限界が来るもの、俺は気絶した。




side ジーク

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は昨日言ったアレクの言葉が本当かどうか確かめる為に終わらない走りをアレクにやらせた。これは俺が弟子入りした師匠が言っていた根性をはかる為のものだった。これはただ走るだけだがそのキツさが断然違う。


 これはゴールがないからこそどんどん精神的にキツくなる。それから頭の中でどんどん弱音が出てくる。そして走っている事が馬鹿らしくなり走るのを辞めてしまう。人間は何か目標がないと努力ができない。


 だからこそこれをやり続けられる者はそう多くない。


 そう、多く無いのだ。だからこそ俺は今、目の前で起きている事にとても驚いていた。それは満身創痍ながらも未だに走り続けているアレクだった。


 リリアからアレクは魔法の天才かもしれないと聞いていたから運動は得意では無いだろうと思っていた。だがそれは違っていると目の前の事が物語っている。そしてアレクの顔を見ると目がとてもギラついていて力強い目であった。


 それから3時間くらいアレクは走り続けた。そしていきなり力が抜けたように倒れた。ジークは咄嗟のことで助けられ無かったが直ぐに駆け寄りアレクに話しかけた。


「アレク大丈夫か!」


 そう言い顔を見ると眠っていた。ジークは身震いした、まだ3歳の子供が気絶するまで走ったなど誰に話しても信じてくれないだろう。だが、この子をしっかり鍛えあげたら物凄い強者になるだろうと思った。そして自分の実力を超えていくのだろう。


 そう高ランク冒険者の自分を。


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