ゴブリン殲滅9
俺達は父さん達の場所に向かおうと歩いている時、ふと思った。なんで周りが明るいのかと。
周りを見ると光の玉が浮いているのが分かった。俺はその光を指差しながらリガルドさんに聞いた。
「リガルドさん、これはなんですか。魔力量は生活魔法ほどですけど浮いてるんですが?」
「ああ、生活魔法だ。騎士は生活魔法を高いレベルで扱うように訓練されたんだ。」
「生活魔法って、手から離れた場所でも訓練すれば使用できるんですね。」
生活魔法は属性の適性が無くても全ての属性を使えるが、こんな使い方があったなんて驚きだ。
「攻撃手段にもなった?」
俺が驚いているとニノがリガルドさんに質問した。それは俺も気になってたことだ。
「なっていたぞ。主に人を捕まえる時にな。例えば今周りに浮いている生活魔法は魔力を込めればもっと光が強くできるんだ。それで目眩しをしたり、不意打ちを防いだりと活躍したんだ。」
その話を聞いたニノは無表情だが俺には分かる、あの目は試してみたいと言う感情だ。ニノを見ているとニノが俺に振り返る。
「アレク、これは使える。」
「そうだな。そう言えばニノって魔法は使えるのか?使っているところを見たことないんだが。」
そう言うとニノは少し落ち込んだように言った。
「私は自分の適性が分からない。」
そう言えば魔法を使うには自分の魔法を理解しておく事が大事だったな。適性が分からないと試せないか。
「なら、俺の母さんに見てもらうか?俺の母さんは適性を見る事ができるみたいだし。」
「本当?」
「母さんなら普通に見てくれると思うぞ。」
「それは私からもお願いしよう。」
俺達が会話をしているとリガルドさんも入ってきた。自分の娘が強くなれる可能性が広がるのはリガルドさんにとって重要だろうしな。
「分かりました。母さんに話しておきます。」
「よろしく頼む。」
リガルドさんはそう強く言って頭を下げた。
「分かってますよ。」
俺は話しを変えようとした。流石に大人に頭を下げられるのは気まずいからな。
「ニノは魔法適性で属性は何が嬉しい?」
「火がいいと思ってる。」
「なんでだ?理由は?」
「魔法の中でも火力が高いこと、物語の冒険者が火魔法で魔物を薙ぎ払ったこと、この2つ。」
珍しくニノが長文を話したかと思ったら冒険者が出てくるからかよ。
本当、ニノは冒険者が絡むと子供らしくなるな。
「そうかい。なら魔法の適性があったら練習するのか?」
「する。」
「なら、俺の母さんに教えて貰うか?夜に俺が教えてもらっているんだが、どうだ?」
俺がニノにそう聞くとニノが言うよりも早くリガルドさんが反応した。
「な、なにを言っているんだアレク!」
「えっ、いやこっちの方が効率的だと思ったからですが。」
「婚約もしていないのに1つ屋根の下というのはどうかと思うんだが!」
俺はリガルドさんの話を聞いてリガルドさんが親バカを発動させていると思った。
第一、子供なんだから間違いなんて起きるはずがないのにな。俺が呆れた視線を向けていると、ニノがリガルドさんの足を踏み付けて俺に言った。
「アレクの家に行く。」
「分かった。なら、魔法適性があったら一緒に勉強するか。それとリガルドさん、ちゃんとニノはお返ししますから落ち着いてください。」
俺はリガルドさんを宥めにかかった、さっきまではかっこいい大人だったのに、ニノが絡むとなんかなぁ。
俺の言葉が聞いたのかリガルドさんは少し落ち着いたようだ。
「そ、そうだ、ずっと離れている訳ではないんだ。落ち着け私。それにアレクは私が認めた男だ。」
最後の方の言葉は聞こえなかったがリガルドさんはぶつぶつと独り言を言った。
リガルドさんは自分の中で整理がついたのか落ち着いた雰囲気で俺に話しかけてくる。
「アレク、ニノをよろしく頼むよ。」
そう言うとリガルドさんは俺と握手をした。だけど苦渋の決断だったのか握られたとき少し痛かったが。
「その時になったら分かりました。」
話しがひと段落すると俺は魔力感知を発動させた。魔力感知はその生き物が持っている魔力量を感じる力だ。
魔法を使うのに絶対に必要な技術だ。これのおかげで身体強化を見る事ができる。だから身体強化を教えた時、短時間で魔力感知を習得したニノは天才だ。
「そう言えば父さん達の場所はもう少しですね。」
俺は父さんの魔力が近くにある事が分かったため言う。身体強化を使えるリガルドさんも当然、魔力感知が使えるためリガルドさんも確認する。
「そうだ、それとこれは戦闘が終わった後のようだ、魔力が動いていないから間違いない。」
「良かったです。異常だと分かって心配しましたが父さん達には何の問題もなかったようですね。」
「まったくだ。」
俺とリガルドさんが話していると、自分の魔力は感知できるが周りの魔力を感知できないニノが不思議そうな顔をしている。
「どうしたの?」
「ジーク達が無事だと分かったんだ。」
「ニノ、リガルドさん走って行きませんか?父さん達も待っているみたいですし。」
「「分かった。」」
こうして俺達は父さん達の所へ走って向かった。




