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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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ゴブリン殲滅5

 ゴブリン殲滅に向かった列は先頭がユークさんとグレンさんそして父さんで、後ろに大空とリガルドさんそしてニノと俺が並んでいる。


 少し進むとユークさんが何か狩人達に指示を出しているのが見えた。


 するとユークさんから指示を受けた狩人達が先行して先に進んで行く。


 俺はあの一連の行動が気になりリガルドさんに聞いたらリガルドさんは狩人達を見ると周りを見渡して言った。


「ここの近くにゴブリンの巣があるんだ。ユークさんはこの列の進行を止めたくなかったから彼らを先行させたんだろう。」


「そうなんですか、ありがとうございます。」


 ユークさんが言ってたゴブリンの巣ってリガルドさんが近くにあると言った巣の事か。


 それから俺は大空のパーティーから冒険の話しを聞きながらゴブリンの殲滅に向かった。


 それから一時間後、ユークさんが手を上げた。この行動は狩人チームと冒険者チームに分かれるサインだとレイさんに聞いた。


 そのサインを確認した俺達は迅速に行動して別れると、ユークさんと父さんが話しているのが見える。


 話し終わるとユークさんは狩人の全員を連れて森の奥へと入って行ってしまった。


 父さんはユークさんと話し終わると冒険者チームの方に向かって来る。


「アレク、いるか。」


「いるよ。」


 俺は父さんの所まで向かうと俺を見つけた父さんは肩に手を置いて言った。


「アレク、ここからは実戦だ。俺はお前を見ているが成長を奪いたいとは思っていない。だからお前が死にそうな時意外助けない。分かったか。」


 父さんが真剣な表情を浮かべているのが分かり俺はその思いに応えるように簡潔に答えた。


「分かった。」


 するといつもの表情に戻った父さんは冒険者達を集める。


「俺の息子のアレクだ。戦いでは足手纏いにならないはずだ。」


 するとレイさんとシンシアさん以外の冒険者がとても驚いていた。特にグレンさんは人一倍驚いた様だ。


「し、師匠、本当っすか!」


 驚いた表情のままグレンさんは父さんに質問した。


「本当だ。それと人前で師匠呼びは辞めろと言っただろう。」


「では、先生。」


「駄目だ、普通にジークさんだ。」


「分かりました。」


 グレンさんはしょぼ〜んとしながら座り頷いた。するとリガルドさんがニノを連れて俺の隣に立って言った。


「ジークの紹介と同じく私も紹介しよう。冒険者ならジークの事は知っていても私を知らない人はいると思う、リガルドだ。そしてこの子が娘のニノだ。」


 どうやらリガルドさんの親バカは発動してないようだ。


「なら僕達大空も自己紹介をしよう。大空のパーティーリーダーのレイです。」

 

 俺達が自己紹介をしたからレイさん達も自己紹介をするようだ。


「私はシンシアです。」


「ダンだ。」


「ジャック。」


 大空達がテンポよく自己紹介をするとグレンさんが立つと言った。


「俺も自己紹介しないとか。俺はジーク師匠の1番弟子のグレンだ。」


「だから師匠と呼ぶな。」


 そう言い父さんは軽めのチョップをグレンさんにした。


「いてぇ。」


 そう言って頭をさするグレンさん、だがその表情はどこか嬉しそうだ。


 そんなグレンさんから目を逸らして父さんが言った。


「改めて自己紹介が終わった所で、ここから北に1キロ進むと洞窟がある。そこが今回行く場所だ。」


 すると父さんと変わってリガルドさんが言う。


「その洞窟だが、出入口が同じの一箇所だけで中は広いと分かっている。そして前、中、後の3パーティーに分かれて攻略する。パーティーは前がグレンとジーク、中が大空達、後がニノとアレクくん、そして私だ。」


「分かりました。」


 そうレイさんが冒険者の代表として同意する。


「なら、行くぞ。」


 そうして、父さんの一言で俺達は洞窟へと向かって行った。


 森の中を進むと開けた場所が見えてくる。そこには背の高いゴブリンと普通のゴブリンが合わせて10匹いた。


 レイさん達が攻撃体勢に入ると父さんが待ったをかけた。


「すまんな、レイ達。」


「大丈夫ですけど何をするんですか。」


 いきなり待ったをかけられてレイさん達は戸惑っているようだ。因みに俺も困惑している。


 すると父さんが俺を見てきた。とても嫌な予感がする。


「アレクが戦え、洞窟に入る前の練習だと思って。」


 するとシンシアさんが俺の前に立って言う。


「ジークさん、あの集団は難しいと思います。ボブゴブリンもいますし、戦うなら数匹です。怪我でもしたら大変です。」


 本当、そう思う。だけど立派に生きる為、世界最強になる為には、このくらいできないと。


「シンシアさん心配しなくても大丈夫ですよ。」


「アレク。」


「まあ、俺の戦いを見ててください。」


 覚悟を決めろ、生き物を殺す覚悟を。


 俺は覚悟を決めたと同時に神経強化を使うと数秒にしてゴブリン達との距離を詰め、真剣を抜き、首を斬る。


 そして、全てのゴブリンの首が斬れる。ボブゴブリンも関係なく。その時間は1秒もかからずに。


 俺はそのまま戦闘態勢を維持したまま周りを見ると少し先の茂みにゴブリンが3匹いるのを確認した。


 俺は魔法も使おうと思い無詠唱で風魔法の『ウィンドアロー』を発動させた。


 その魔法は3匹のゴブリン全てに突き刺さり絶命させる。俺は周りを確認して敵がいない事を確認して、剣をしまった。


 周りのゴブリン達の首を見た。だが何も感じ無い。罪悪感や寂寥感を感じると思っていたのに何も感じなかったのだ。


「俺が斬ったのか。」


 そう言い手を見るが何も感じ無い。


「俺は生き物を殺しても何も感じ無いような男なのか。」


 まるで虫を潰したような感覚だ。それが当たり前みたいなそんな感じだ。


 俺が呆然としていると肩を叩かれる。後ろを振り返ると俺の肩を叩いた人物はニノだったようだ。


「ニノか。」


「アレク、魔物を殺した時はどう考える?」


 大事な人を守るために殺した。


「大事な人のためにだったけ。」


「そう。それと初めての魔物討伐、おめでとう。」


 ニノの顔を見て、俺は余計なことを考える事は辞めた。それに今は初めて魔物を倒したことを純粋に喜ぼう。


「ありがとうな、ニノ。」


 俺は色々な意味を込めてニノにお礼を言った。すると父さんが近くに来ていた。


「アレク、お疲れ様。」


そう言うと父さんは俺の頭を撫でた。


「父さん、魔物は倒したよ。」


「そうだな、返り血も浴びてないし、切り口も綺麗だ。冒険者としての基本はできてる。」


「父さん。冒険者の基本とか初耳なんだけど。」


 切り口とか返り血浴びちゃ駄目とか初耳だ。


「そう言えば教えて無かったな。すまん。」


 そう言い父さんは手を合わせて軽く頭を下げた。


「別にいいけど。それじゃ、洞窟に行こう。」


 そう思ったが冒険者達がいない事に気付いた。


「あれ、レイさん達は?」


「そろそろ来るだろう。」


 そう父さんが言うと森から歩いて向かってくる集団が見えたと思ったら、その中でシンシアさんが走ってきて俺を抱きしめながら言った。


「アレク、怪我は無い!」


「シンシアさん大丈夫ですよ。」


 俺がシンシアさんの肩をとんとん叩く。


「良かったよ。ゴブリンの集団に囲まれた時はもう駄目かと思って目を瞑ったけど何も聞こえ無かったから、恐る恐る目を開けるとジークさんと話しているアレクがいるんだよ。とても驚いたよ。」


「心配かけてすみません。」


「ううん、無事で良かったよ。」


 そう言いシンシアさんはまた俺を抱きしめた。すると横から圧を感じて、見るとニノが俺を冷えた目で見ていた。


「シンシアさん大丈夫だから、離して。」


「あっ!ごめんね。」


 そう言ってシンシアさんは俺を離してくれた。俺は恐る恐る横を向くとニノと目があった。


 目が逸れることも無くずっと見られて俺は自分の罪が暴かれる犯罪者の気分になった。


「ニ、ニノさん。」


「…。」


 む、無言!それも顔が無表情。もしかして俺の心を読んだのか。


 ニノって時々俺の心を見透かす様に話しをするからな、それにニノだったらなんでもあり得そうで余計に怖い。


「ニノ、俺はやましい気持ちなんて微塵も無いんだ。このとおり。」


 そう言って俺は頭を下げた。だが、聞こえたのは絶望だった。


「やましい気持ちなんて聞いてない。」


 俺は脂汗を背中に書きながら、どうやってこの状況を切り抜けるか考えた。


 ニノは俺が邪な気持ちを抱いたと思ってるんだろう。なら怒るのは当然だ。


 友達が変態だと周りに思われると自分まで変態だと思われるからな。


 だが、俺は邪な気持ちを抱いていない、子供になった時点で性欲なんてどこかに行ったからな。だけどこの勘違いを崩すのは難しいだろう。


 なら相手を褒めまくればいい。それならニノの怒りもおさまるだろう。この考えが纏まるのに1秒もかかってない。


「すまない、ニノ、だが勘違いしないで欲しい。俺はニノを可愛いと思っているし、俺の事を考えてくれるし、優しいし、剣の腕は世界一だし、たまに見せてくれる笑顔が素敵だと…」


「…。」


 ニノが下を向いて顔を赤くしている!も、もっと誉めなければ。


「いや、まだあるぞ、知識が豊富だし、俺が遅れてもずっと待ってくれているし、剣の教え方が上手いし、何より、今日の髪型はいつもと違った雰囲気が出ていいと思うよ!」


 や、やばい!俺はもっと怒らせてしまったと思いまだ、褒めようとした時、俺は父さんに体を持ち上げられた。


「な、何父さん!?俺は今忙しいんだけど!」


 俺がそう必死に言うと父さんは呆れた顔をして言った。


「お前には女心を教えて無かったな。」


「えっ、どういうこと?」


 俺がそう言うとさらに父さんは呆れた顔をした。


「ハァ〜。すまないシンシアさん、ニノちゃんをリガルドの所に連れて行ってくれ。」


 ニノを見ると瞳が薄っすらと濡れており、泣きそうになっている。


「分かりました。それとアレク、女の子を泣かせたら駄目だよ。」


 そう言うとシンシアさんはニノを連れてリガルドさんの所に行った。


「えっ?」


 俺は全く持って意味が分からず、言葉が漏れてしまった。




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